タフという言葉はフリーレンのためにある   作:雁木まりお

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許せなかった……
フェルンの本当の父親が鬼龍だったなんて…!!


ラーメン大好きフェルンちゃん

♦……フェルンに哀しき過去……!!

 

 

「フェルン…今日はお前のご両親の命日なんや」

「おかあちゃんとおとうちゃん?」

「ここにご両親が眠ってるんや」

 

かつて勇者パーティの一員として魔王を討伐した僧侶ハイター。

彼は戦火によって両親を失った戦災孤児フェルンと共に、彼女の両親の墓参りに来ていた。

 

「さあフェルンもお墓参りするんや……フェルンの元気な姿を見てご両親も喜んでるで!」

「うん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

フェルンは戦火によって両親を失った戦災孤児である。

絶望から自ら命を断とうとしていたところ、偶然通りかかったハイターによって命を救われたのだ。

 

『魔族には心が無いのです。心がないから人の痛みがわからない。心がないから平然と人を傷つけ殺すのです』

 

『しかしあなたには心があるっ。魔族は肉を潰し、骨を折り、腱を切り、命を奪う……しかし崇高な魂は受け継がれていく。あなたはご両親から心を継いでいるのです。ならば死ぬのは勿体ないと思います』

 

フェルンは自分を救ってくれたハイターを敬愛していた。

不幸な目にあっても不幸せだとは思っていなかった。

しかし、墓参りをしたあの日以来、両親のいる他の子供と自分を比べてしまうようになっていた。

 

「フェルンのお弁当っていつも茶色やなぁ!僕なんかタコさんウインナーやで!お母ちゃんが作ってくれたんや!」

「……ゲンマイは体に良いんです!タコさんウインナーなんかほしくありません!」

 

それはフェルンの偽らざる本音だったが、その子のお弁当が、母親がいるという事実を羨ましいと思っているのも事実だった。

そして、自分がその子のお弁当とハイターが作ったお弁当を比べているという事実もまた、フェルン自信を傷つけていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「今帰ったで……フェルン?おらんのか?」

 

ある日ハイターが愛飲しているプロテインを買いに行っているとき、フェルンは何も言わずに家を飛び出した。

この辺りは魔物避けの結界は張られているが、夜になれば野生動物の活動が活発になる。

幼子が一人でうろつくのは自殺行為である。

 

「もう日が暮れてまう……フェルンーーー!!」

 

ハイターはプロテインが入ったレジ袋を投げ出し、風のような速さで駆け抜けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おかあちゃん……おとうちゃん……」

 

「私は絶対泣かないんですよ……魔法も得意になったんです!ホントですよ」

 

「だから……そんなところで寝てないで……出てきてよ……」

 

(フェルン……!)

 

フェルンが向かったのは両親が眠っている墓だった。

ハイターはようやく見つけたフェルンに、話しかけることも、近づくこともできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

泣きつかれてフェルンが眠ってしまった後、ハイターは彼女を背負い、家に向かっていた。

ハイターの背中のフェルンは、彼の上着を掛けられてはいるが、夜の冷たさは子供には酷である。

自然とハイターは急ぎ足になったが、鍛え上げられた体幹のおかげか重心はまったくぶれず、フェルンが目を覚ますことはない。

 

「……タコさんウインナー……」

 

ハイターは一瞬フェルンが起きたのかと思ったが、どうやら寝言のようである。

 

(タコさんウインナーか……)

 

思えば自分がフェルンに作っているお弁当は、健康のため見た目のことを考慮していなかった。

フェルンもまだ甘えたい盛りである。

それでもハイターを気遣って文句もわがままもいったことがない。

 

(よし……)

 

ハイターはフェルンをベッドに寝かしつけた後、深夜にも開いている人里の店に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわあっ!なんですかこれ!」

 

朝起きたフェルンの目に飛び込んだのは、タコさんウインナー、甘い卵焼き、ウサギの形にカットされたリンゴなど、普段の食事では見たこともないファンシーな朝食であった。

いつもならもっと健康を第一に考えたメニューが並んでいるはずなのに、これは一体どういうことだろうか?

 

「起きたかフェルン」

「おはようございますハイター様、この朝食は……ハイター様その手は?」

「ちょっと包丁でな……」

 

その日の朝食は、フェルンが生涯忘れることのない大切な思い出となった。

 

 

 

 

 

 

 

「ということが昔あったんですよ」

「へーっじゃあ今フェルンが食べてるものはなに?」

「ククク……ラーメンはビタミン・ミネラル・タンパク質⋯ そして塩分が含まれている完全食だァ」

 

小さな子供だったフェルンは、今は麻薬にとりつかれた薬中のようにラーメンを貪っていた。

ハイターも草葉の陰で泣いているだろう。

 

「いくらなんでも食べ過ぎだよ。これ以上太ったら置いていくからね」

「フリーレン様……私の体重が150㎏しかないことを忘れていませんか?」

「はっきりいってそれ病気だから。お前死ぬよ」

 

フェルンは着瘦せする体質のためか、そこまで見た目は太くないが筋肉の上に脂肪をつけ、その上にさらに筋肉をつけた肉の鎧をまとっている。

更にゾルトラークで魔族を葬る姿から、拳獣として名を馳せていた。

 

「アウラもなんか言ってやってよ」

「怒らないで聞いてくださいね?ラーメンしか食わない女とかバカみたいじゃないですか」

「貴様ァッ!ラーメンを愚弄するかぁ!」

「こ ⋯ こいつ 目が完全にイってるっ」

 

 




「アウラ、フェルンをお姫様だっこしろ」
「無理に決まってるじゃない」
「じゃあアウラ、空に浮かべ」
「はい……アウラ浮きます……って、魔族が飛べるのは当たり前じゃない」
「じゃあフェルンも飛べばええやんけ」
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