勇者の引退ライフ   作:かりん2022

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策謀どろどろ

美姫さんはとても有能で、桜ちゃんは一生懸命だった。

 

 自分の子供が産まれたら当主にしようとしないかと不安だったが、とんだ邪推だった。美姫さんのミッションは、異能者っぽい私と優秀な霊能者の子供で、いい感じに霊力と異能を持った子供を観察。良さそうだったらその血筋を家に持ち帰る事なので、むしろ子供が当主になると色々困るらしい。とりあえず、桜ちゃんとの子供と美姫さんの子供を結婚させてその子供を実家に出荷する事を考えてる模様。

 琥珀としても、それ込みでの政略結婚だから問題無しと。桜ちゃんの所は本人も乗り気だし、時代の波が来るなら早めに乗りたいとのこと。

 

 子供の教育は次代を担える子か観察したい美姫さんの目的に沿ったお仕事で、それはもう一生懸命してくれる。私では担えない、家の差配も。

 

「輪廻様。スラちゃんとドラちゃんのプレゼント、とっても嬉しい。でも、私のいない時に私のお部屋には入らないでくださいね。私のスラちゃんとドラちゃんは美味しくないです」

「食べない食べない」

「スライム、結構簡単に繁殖するのに何故か玄関のスライムの数が増えないどころか減ってるって」

 

 げっ ちょっと摘んだのがバレてる? そんな食べたかなぁ。

 

「桜ちゃんのスラちゃんは食べない。約束するよ」

「約束ですよ。ちゃんと毎日数を記録してるから、増えた分を食べてもバレますよ」

「はい……」

 

 そこへ、千里が来た。

 桜ちゃんは自然に私の前に立つ。

 幼女に庇われるのは情けないけど、この前美姫さんに奥の事は任せるように言われたんだよね。しきたりとか慣習とか色々あるから、私は子供を作ることだけ考えていて欲しいと。実質戦力外通告である。料理とかは喜んでくれてるし、報告さえすれば自由にさせてくれるけど、外交などの権限は私にはない。桜ちゃんはある。

 なので私は大人しく桜ちゃんに守られる。

 

「輪廻さん、私と手合わせしてください! 私が負けたら、この身を捧げます」

「どうして負けたらご褒美貰えるんです? 輪廻様の利点がないです。輪廻様は戦いがお嫌いです」

 

 桜ちゃんがズバッという。うん、元女なので、そんなに女の子に惹かれないんだよね。琥珀の方がいいというか、琥珀がいないと支障が出るくらい。それを分かった上で、翡翠さんも桜ちゃんも望んでくれてるし、だから私も2人を例外としているし、せめてベッドの中以外の場面では優しくするよう努めている。ようは政略結婚なのである。利があるから、お互いに尊重して歩み寄るよう努力してる。

 

「当主である琥珀様も、輪廻様を試すなと仰られてました。千里さんは戦いたかったんですよね? それは琥珀様が叶えてくれてます。自分より強い人と付き合いたいって希望も、あなた程度の強さならごろごろいます。自分より弱い相手でも良いって言ってくれる人もその中にいると思います。輪廻様である必要はないです」

「私はっ……女に生まれて、子供を作らざるを得ないなら、せめて一番強い人の子を産みたいと……!」  

「子作りですか? それはもう貴方に期待されてないです。それに一番強い人ってのは貴方の望みで輪廻様の望みじゃないです。せめてって、最低条件で一番ですか? 随分すごい望みですね? 貴方にそんな価値あります? 輪廻様を巻き込まないでください」

「あなたみたいな子供に何がわかるの!? 輪廻さん、輪廻さんは女の子に挑発されて悔しくないの? 私に負けるのが怖いから戦いたくないんでしょ?」

「いやぁ……勝っても粘着されそうだし、もともと私、女の子好きじゃないんだよね。翡翠さんと桜ちゃんが特別扱いなだけで。ごめんね」

「貴方は女の仕事を舐めすぎです。妻は当然、妾だって選ばれないとなれないんです。貴方が戦闘員としてここにいられるのは琥珀様と輪廻様の慈悲あってこそ。輪廻様にこれ以上ご迷惑をお掛けするならご実家へ戻します」

「っ」

「下がりなさい。誰かある!」

「ごめんねー」

 

 私は千里を見送った。

 

「一度視野が狭まっちゃうと、他に何も見えなくなる子いるよね。桜ちゃんに何かされても嫌だし、まだ何かいうようだったら、幻惑魔法で誤魔化しておくよ。行動パターン的にしばらくしたら托卵しだすから、そしたらDNA鑑定して托卵先に引き取ってもらおう」

「つけあがりませんか? それに托卵しなかったら」

「しばらく我慢しないとではある。それとあの子はやるでしょ」

 

 その日、夜這いされたので幻惑魔法をした。

 もちろん報告した。

 

 2年後、千里は無事お家に返却することに成功した。

 

 ここまでくると目端の効く人には幻惑魔法バレてるのだが、鈍くて助かった。

 ただ、幻惑魔法かどうかの見分け方として子供ができるかや行為中の写真と撮ることが出来るかを思い付かれてしまったのが面倒である。

 

 ベイビー達が順調に育つにつれ、妾志望とかホモ野郎から粉をかけられるようになったが、バレバレの幻惑魔法で交わしている。

 

 あっ 捌くの大変なので蒼穹の幻惑魔法禁止令は解除した。

 

 幻惑魔法は相手に幻を見せて無防備にし、戦意も削ぐ術なのでバレてても普通に有用なのだ。悪用はダメだけどね。

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