勇者の引退ライフ   作:かりん2022

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まず服を買うことから始めさせる高級リゾート地

シティは補助カードを使われていた。

補助カードは多分巨大ビル。

でも大分アレンジが加えられており、全然別の場所に見えた。

道行く人の服はやはり統一感があり、制服まではいかないけれど、この場所独特の衣装が用意してあるのが理解できた。世界観の構築いいね!

しかも今はお祭りの特別バージョンらしい。

 

子供向けコースと大人向けコースで入り口が分かれている。

私達は警戒した。

 

「ああ、これ? 観光用の安全なコースと、術具とかの危ないものの売買とかやってる普通のコースに分けてんだよ。遊園地のキッズコーナーみたいなもん。安全だけどジェットコースターはないぞ。取ってあるホテルもイベントの席も買い物リストも大人向けの方。食事もお子様ランチがほとんどだし。あと子供抜きで退魔師が子供向け歩くと舐められる。あと、異能街は強い奴多いから、観光用以外では身を守れない子供は退魔師でも入っちゃダメなんだ。退魔師でも護衛頼んでる人多いし」

「そうなんだ」

「危険なんだね」

「それが意外にも、みんなが自主的に気をつけてるから、事件はねーんだ」

「みんなが事故がないように気をつけてる場所なんだよ〜。悪しき前例を作らないようにね。無防備さを見せないことも、その一環」

 

 なるほどなるほど。私達は田中さんの作って送ってくれたパンフレットを見た。

 確かに、1日目の午前中は子供向けコースを回って、そこから大人向けコースに移動となっている。田中さんの案でもまずは服だ。

 着替えを暗黙の了解的に求められるとは、お高い街である。

 二人で見ていると、そのパンフレットをヒョイっととってパラパラと見た。

 

「せっかくだし、服屋はもっといいとこ連れてってやるよ。瞳導師御用達の店とか、わからないだろ? 退魔師の御用達の店なんて大体決まってるから、案内してやるよ」

 

 えっ 助かる……。リハビリ頑張ってる玉英に遊びに行きますとも言いづらかったし、ゆっくり考えようと言う話にはなっていたのだ。

 

 案内されたのは、確かに知った顔が吸い込まれていくお店だった。

 元服の儀で見たことある人がポツポツと。カップルも多いが、一人の人もいる。

 出てくる人は皆、雫達みたいな服を着ている。異能街祭りバージョンって感じだ。

 みんな楽しそうな顔をしている。

 

 早速服屋に入って、店主に紹介してもらったあと服を物色する。

 

「退魔師用と職種を指定しないものがあるんだね。逆に魔女用とかは着たら駄目なんだ。異能街以外でも着ていいの? このTシャツ好みの柄だな」

「それも可愛いけど、持ち帰って部屋で着るようだな。これ着て」

 

 雫(琥珀)が水晶に服を持ってくる。退魔師用ので、とてもお洒落である。なんかもう水晶にあつらえたかのようなピッタリの服だった。

 

「ん、似合うよ」

「本当だ。ふふ。私もこれで異能街の一員だね? このワンポイントもかわい……これ君の家の家紋だね」

「あ、気づいた? 急ピッチで仕立てさせたの。俺の嫁って告知したかったし」

「君の嫁ではないかな……。失礼じゃなかったらいいんだけど、家紋って付け替えられる? 買い取るよ。そして2度と私に無断で私の服を仕立てないでくれ。あと琥珀、怒らないから私に合わせて仕立てさせた服全部出してごらん?」

 

 雫が視線をやると、店員さんがスゥッとやってきて超スピードで瞳導師の家紋を付け替えた。あ、この人子孫だ。ゲームアバターの生産システムを活用しておられる……。他にも何人もの店員さんがお洒落な服を着たマネキンを運んでくる。

 全部家紋が付いてて水晶に似合ってて水晶好みの服だった。

 

「婚礼衣装があるの、なんなんだよ!? 私は当主だって言ってるだろ、琥珀ぅ!」

「今は雫だから雫って呼べよ。前世を見る目で見られたくない。今の俺を見ろ」

「その割にはまんま前世の行動すぎるんだよ!」

 

 め、名家ムーブ……。ダンジョンコアでお金稼いでて本当に良かった。

 ちゃんと丁寧にお断りできる……。

 勝手に買われたものでもバッサリ断りすぎると問題になるからね。

 水晶が輝羅モードで雫を正座させてお説教を始めた。

 うーん愛されてるな。

 私は所詮2番目で政略結婚が主なので、こういう時ちょっと寂しい。

 わかりますよ、それくらいは。

 

 ちょっとそっちを見ていると、優しく声がかけられる。

 

「水晶は可愛いけど〜。僕は瑠璃の方が好きだよ〜」

「瑠璃ならばこちらの服が似合うと思うぞ」

 

 お洒落。でもお高いんでしょう?

 私は金額を見ようと値段を見る。何これすっごい数字の後に変なマーク!?

 まさか!

 

「えっ!? 通貨違うの!?」

「当たり前でしょ。ここ日本じゃないよ?」

「日本じゃないの!?」

 

 事前に! 事前に言って!

 水晶も焦った顔をしてカード使えないのか聞いてる。異能街はコイン制らしい。

 現代経済仕事して!

 嘘でしょ!? 国が予約はしてくれたけど、ホテル代とか払うのは自分なんだよ!?

 

「大丈夫だ、全部俺たちが払うから」

「ちなみに異能街の通貨は日本円とは両替できないよ〜。体で返してね〜」

 

 流れるように借金漬けにして買おうとするじゃん!?

 

「あわわわわわ、どうすれば」

「物々交換でも受け入れておりますよ。アイテムボックスの中に何かないですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 初めて異世界人に感謝した。

 生きた魔物はクッソ高値で売れた。ごめんよヘルハウンドくん。

 君は私達の犠牲になったのだ。なったのだ。

 しこたま魔物素材と魔物を売っぱらい、どうにか資金を得た。

 気を取り直してお買い物である。案内人ならちゃんと案内して!?

 後田中さん、ちゃんとパンフレットに書いておいてよ!

 

「これ可愛いよ〜。今度はちゃんとプレゼントするよ〜」

「これは俺達の顔を立てると思ってもらっておいてくれ。案内した時に贈り物をするのはマナーだ」

「ちゃんと家紋もついてない。瑠璃に絶対似合う」

「今度は罠はないよね?」

 

 な、なんか露出多いな……。でもマントがあるから隠れるし、許容範囲内か。

 エロ可愛さ大爆発って感じだけど、正直興味ある。

 

「変じゃないかな? 派手すぎない? 実際どうなの? 着てる人いる?」

「2年前のお祭りモデルだけど、大人気で今もファンのいる服だよ」

「そうなんだ。ちょっと前に流行した服かぁ。でも異能街ってお洒落な服着た人多いもんね。これが普通なのかなぁ」

「これにしようよ」

 

 その時、男二人が服屋に入ってきた。

 

「当家の家紋の服を出して。一昨年の祭りで流行ったペアルックあったろ。あれすげーエロ可愛いからあれだして。両性用の。今日見合いでデートなんだ」

「かしこまりました」

「き、君の家紋を着るのは早いよ……。それに恥ずかしい」

「いいだろ、絶対嫁にするわ。お前しか考えらんない」

「本当?」

 

 片方両性らしい。思いっきりキスしてる。

 イチャイチャがすごい。青春である。ラブラブである。

 お互い一目惚れです! ってラブラブ感が凄くある。

 そして出てきた服が今着てる服に家紋が付いたものだった。

 一つ聞きたいんだけど、今の今でお店に飛び込んで自分家の家紋のついた一昔前のデザインの服を出せと言われて、すぐ出てくるってあり得なくない?

 

 戦慄していると、二人の着替えが終わる。

 うん、やっぱ露出多いよね。エロ可愛いけど、下品というよりアニメキャラ感が先に来る。若干コスプレっぽくはあるけど変ではないかなー。

 口説いてる方の人はペアルックみたいで、こっちはちょっとゆったりめで露出もない。でもペアルックなのはすぐわかる。

 

「似合う?」

「まじ可愛い。最高。似合う。もう絶対結婚する」

「本当?」

 

 さっとコインが入っているであろう袋を店員さんにそのまま渡して恋人の元に駆け寄る男。胸元からスマホを取り出し、カメラマンに転職。しかし両性用の服があるのか……男でよくね? ものはあるし胸はないし。両方あるデザインの両性具有ではなく、男性妊娠がイメージのベースで女神様の不思議パワーで作られた両性なので。

 

 写真を撮りまくってベタ褒めする様子に、相手も恥じらいつつまんざらでもなさそう。

 

 そして恋人に近づいたカメラマンはスッと腕を差し入れた。

 差し入れた!? 今ちらっと尻が見えたんだけど!?

 

「あ!?」

「うんいい感じ」

 

 カメラマンはオオカミさんに変じて、恋人を抱き寄せあっちからこっちから服に手を差し入れる。ええっ これそんなとこもスリット入ってるの!?

 っていうかえっ ええっ!?

 

「これ着て歩いてるだけで気持ちよくなってくるんだって。今夜のイルミネーション見ながらイチャイチャしよ」

「だ、ダメに決まってるだろ、私達、今日会ったばっかりで……!」

「みんなイルミネーションか恋人しか見てねーから大丈夫だって。そこにいる奴だって着てるじゃん。それに絶対結婚するって言っただろ。今更断られても嫌だしそっこー作って責任とるわ。異能街の祭りは退魔師のデートスポットランキング1位だし、大体初子はこの日できるって言われてるから。俺は慣例に沿っただけ」

「だ、だって、こんなの着たら、私、君しかダメにされちゃうよ……」

「俺しかダメにするんだよ。今日絶対お前孕ませるから。初子は他と生まれる時期合わせたいし。同じ月生まれの子が多いと小さい時から訓練捗るからな」

「本当に私でいいのかい?」

「何度も言ってるだろ。お前だけだって」

「うう……でも、イチャイチャは二人だけの時にしてよ……その時だったらエッチな服もちゃんと着るから。今夜ホテルでもいいだろ?」

「夢見てたシチュ全部したい。理想の相手と理想のデートしたいってそんなにいけないこと?」

「責任、取ってくれる?」

「絶対取る。可愛い。超可愛い」

 

 ゆったりした服にもスリットがあった。

 

「あっ ここで初めては勘弁してくれ……!」

 

 えっ あっ そのデザインそういうこと!? 外でこっそりエッチするようなの!?

 

「お客様。代金が多かったので、二人用マントをつけておきました。服がドロドロになってしまった時におすすめです。今のお時間ですと、今から向かうとこちらの地図の場所でカップル向けの魔女のイリュージョンがちょうど開始時間です。とても綺麗で見応えがありますよ。そして、ちょうどいい距離歩けます」

「ありがと。じゃあ行こっか」

「立てなくなったら支えてくれないか……?」

「あまりにも可愛すぎてもうここでもいいかって気がしてきた。早く行こうぜ」

「それは嫌だ。せめてデートスポットまで我慢してくれ」

 

 おいおいおいおいおい。

 私は呆然とお互いしか見えていないバカップルを見送った。

 二人はラブラブしながら去っていった。

 

「イリュージョンだって! 行こうよ!」

 

「……着替えるね」

 

 この会話を聞いてなぜそうだね! となると思ったし。

 残念そうな顔をするな。ないから。ないから。エッチなしって契約だろ!

 後ろで水晶は心配そうに店員に声をかけている。

 

「この服はエッチな気分になる効果ないですよね?」

「いえ、これらの服は全部ついてますね」

 

 水晶は目を瞑って深呼吸した。

 目を瞑った隙にチューしようとした雫にアイアンクローをかましながら、店員に質問する。

 

「瞳導師の家紋ついたお祭り時期の衣装で無難なのないですか? エッチじゃないやつ。後、雫。エッチはなし」

「キスはえっちではないだろ!」

「見解の相違だね。で、あります?」

「ございます」

 

 あるんかい。瞳導師も名家なんだな……。もはや想像もできない世界だ。

 

「それでお願いします」

「私もそれで……」

 

 残念そうにするな男ども。だいぶ昔のっていうけどこれもお洒落じゃん。

 後、大人用ってやっぱりそういう意味じゃないか。

 大人コースはエッチな人が出没するから子供と分けてるんじゃないか。

 危険なものが売ってるとかだけじゃなくて、絶対その区分けもあるだろ!!! っていうかその区分けが大きいから、異能者コース観光者コースじゃなくて大人コース子供コースなんだろ! 退魔師要素よりR18要素の方がでかいってどう言うこと!?

 子孫いい加減にして!

 なんだ歩くだけで気持ちよくなる服って。エロ漫画の設定をリアルに持ち込むな!! どうやって作ったんだまじで……。ゲームアバターの裁縫の生産の特殊効果付与でどうにかしたのかな……? いらない発見と発明と工夫をしおってからに……。お前らほんと油断できないな! やばい知識ないと食い物になる。田中さんカムバーック!

 




マシュマロ
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