勇者の引退ライフ   作:かりん2022

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婿様が来た! 瞳導師家大勝利!!!

「退魔師なら誰でもいいので早く結婚してください」

 

 申請に行くと国からお願いをされた。

 

「婿を探しているという情報が漏れてしまい、諸外国からも婿入りの申し出が殺到しており、大変な状況です。時間稼ぎしてますが、防ぎ切るのは難しいです」

「海外かぁ。その手もあったね」

「お願いですからやめてください。必ず禍根になります。最悪の最悪、戦争になります。夕闇家の血筋の方は国家戦略人材なんです」

「国家戦略人材」

「国の管理する人材か退魔師の中でどうこうする分には感知しませんが、それ以外は困ります」

 

 うーん。でも相手がなぁ。

 

「そうは言ってもね……。そんなすぐに相手ができたら苦労しないよ」

「弟さん達のお相手探しが始まるので、しばらく圧力は減るはずです。粒揃いで大勢なので、そのどさくさに紛れてはと。むしろその後だと有望なお相手がいなくなっちゃいますよ」

 

 そうね。同腹の弟達は加護が入るからね。

 なお、死傷率が高いのと遅咲きの子がいるのとで、幼い時に婚約が決まるとかあんまりない。桜は例外だったし、それだって中学生ぐらいではあった。ある程度の年齢まで生き残ったら改めて探す感じである。

 

「どうか、お見合いだけでも、どうか」

「異能街でお見合いで子作りまで行った人見たんですけど。やっぱり好みじゃないですって通るんです?」

「そ、それは……通らない、かもしれません……」

「まあ、相手は考えてみます」

 

 そんなこんなで、お店の事について話すついでに雫にも聞いてみた。

 どっちの家でも問題あるから、喫茶店である。

 

「弟が水晶達の弟の紅玉と子供作ったんだけど」

「紅玉は、その、元気?」

「ん。大変だったみたいだけど、うちに嫁に来る事になって弟も大事にするって言ってるから、そこは安心しろよ。紅玉も喜んでるし。まあ、家からは出さないで弟と妾と作れるだけ作る事にはなってるけど、ちゃんと正妻」

 

 子供が出来るのが結婚より先だったり、雫基準でも大変って言ってたり、マジで苦労したんだろうな、紅玉……。しかしほんとあれだな。子孫繁栄しているだけはあるな! これだけ繁殖頑張ってればそれは霊能者が表沙汰になってマイエリアが制度に組み込まれるわ。次転生した時は一般にも霊能力者広まってるかも。

 

「それでちょっと事情が変わってな。婿入りすんなら結婚してくれる?」

「いいのかい!? 君は次期当主で……」

「生まれた甥っ子が俺の霊力より大きいの。成長なしの赤ちゃんの状態で。組み合わせが良かったのか、玉英の第三子以下がすげー優秀でさ。それで、そっちと子供作るか、どうしても水晶と結婚するなら当主を弟というか甥っ子に譲るかって。俺はどうしてもお前と結婚したい」

「君は……! どうしてそこまで」

「お前が欲しい。生まれ変わっても、ずっと。本当はお前だけが欲しかった」

「私も……私も君が欲しいよ……! 本当は、本当は最初からずっと君が……!」

「輝羅」

「琥珀……!」

 

 二人は幸せなキスをして、ハッピーエンドである。

 いいなー。ここ喫茶店だからその辺にしてもろて。

 お気づきだろうか。私はたった今フラれた。知ってた。

 くっそもっといい男見つけてやる。

 

「あっ ということは子供コースのテナント買わないとだね」

「競争率くっそ高いぞ。新規参入はほぼ無理。でも俺が次期当主の時にした約束はそのまま守られるよ。アニメもそうだし、スライムもそう。俺が生きてる限り、子供コースのあの店は共同経営になる」

「休日に、二人でお弁当やさんしたいなって。いつもじゃなくていいんだ」

「そうだな。俺も水晶としたい事いっぱいある」

「婚姻届は今日出すのでいいかい? 役所と、退魔師協会と」

「いいな。すぐ出しに行こうぜ。引き払う準備はしてあるんだ。このままでも行ける。式の準備はおいおいでいいだろ。今夜が初夜でいいか? 初めてはお前のマイエリアがいい。お前の空間で、お前を独り占めしたい。異能街でのデートは産ませてからがいい」

「わ、私も君のマイエリアで、君の空間でして欲しいかなって……」

「可愛すぎんだろ、水晶……!」

「どっちでもいいから、二人とも帰ろう。こんなとこでラブチュッチュはやばいって」

 

 そんなわけで、婿を紹介した。

 最初家人も警戒してたけど、婿となったら手のひら返しして大歓迎状態になった。

 我が家の勝利です!

 

 どっちかっていうと琥珀の勝利かな?

 

 次の日の顔合わせ、弟さんは最初緊張と罪悪感でいっぱいって感じだったけど、雫と水晶のラブチュッチュを見てホッとしていた。水晶と二人、幸せそうにお腹を撫でているのを見て、本当にいいのかなんて聞く必要もないよね。

 紅玉も会えた。私たちに会った途端、泣いて縋ってきた。

 守れなくてごめんよ……。

 一応、今は幸せらしい。弟達を心配してたけど、玉英の奪還を苦々しく思ってたみたいで、意識して当家を蚊帳の外に置いてるようだから……取り戻すのは無理かな。ごめん。

 

 雫が一度だけ、実家に義理を果たさせて欲しいって事で、雫の指定したものを結納品にした。

 ショップの商品引換券12枚、ショップの優先購入チケット100枚、ショップのラインナップ事前閲覧権100年である。

 支払いはちゃんとするとの事だったし、優先購入チケットも12枚、閲覧権も1年が雫の希望だったし、なんならそれでも申し訳なさそうだった。でも雫は水晶の為に金に糸目をつけなかった。当主の元に、次期当主が当主の座を蹴っての婿入り。まさかそんなケチな真似はできない。なので水晶としっかり相談してこうした。

 こんなもので良かったんだろうか……。

 

 雫の家からは本当に色々もらった。

 水晶を迎え入れる用意をしてたのと、家としてちゃんとできてるのか不安がられていたので、本当に色々くれた。雫が自由に使える異能街の通貨、お金も。

 本当にありがたくて、やっぱりこんなもので良かったのか不安になる。

 向こうのラインナップを見て、土壇場で結納品にポーション100本足しといた。

 

 雫はニコニコしてたけど、後で水晶と二人、ガチ目に怒られた。

 いくらなんでもあげすぎらしい。

 いや、それはこっちのセリフですが……?

 ダンジョンコア望まれたらどうする? 普通に渡しますが??? あっ 申請はもちろんしてもらうけれども!

 

 なんかお買い物券はまだ時間稼ぎ出来るけど、ポーションを出すと私が狙われてしまうので不味かったらしい。でも雫の価値ですから、値引きはできないよ。

 水晶も頷いてくれた。

 

 雫は、表向き私も嫁にしたように見せかけつつ、玉英の子供達の婚活のどさくさに紛れて退魔師協会のいい人の情報を探ってくれるそう。とてもありがたい。

 

 どっかにいい人いないかなー。でもいい人ってのは大抵取り合いだからなー。

 最悪の最悪、雫と水晶に頭を下げて私も嫁にしてもらおう……。

 二人とも嫁で奪われるのは困るけど、婿なら話は別なのだ。雫は普通に超優良物件、こちらが頭を下げる立場である。

 でも強くてイケメンで私だけを愛してくれる人、ほしーい!




マシュマロ
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