勇者の引退ライフ   作:かりん2022

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打ち合わせ

専門学校時代の友達に泣きつき、金曜日に東京へ行ってお高い店で食事した。

それ以外は料理の研究である。

1週間もないのに唸らせる料理を作れって無理ゲーなんよ。

食材のレベルで殴るしかないな……。

 

琥珀の屋敷だと、刹那や蒼穹が行けない為、駅近くの退魔師御用達のお店で集まることになった。ここだと個室があるらしい。

 

早めの時間に行ったのだが、なんとみんな先に来ていた。

飲み物は既に空になったものもあり、しばらく前から来ていたことが伺える。

 

「時間間違ってた? ごめん!」

「俺が楽しみで来てたんだよ。刹那のお兄さん」

「ちゃんとしたご挨拶はまだでしたね。桜木 輝羅です」

「俺は瞳導師 琥珀。いきなりの依頼ごめんな。でもお弁当とっても美味しかったから」

「私は瞳導師家で料理をさせていただいてる魚河 美菜です。おぼっちゃまを唸らせた腕、見せてもらいます」

 

 なんか凄い眼光の女性。ひぇぇ。やっぱり恨まれてる。

 

「じゃあ俺、今アニメでやってるモンバトのキャラ弁が食べたい!」

「私は主人公のドランのキャラ弁がいいな」

「私は季節の野菜をあしらったものをお願いします」

「ここ料理屋ですよ?」

 

 正気かこいつら。

 

「許可は取ってる。場所代も払ってる」

「蒼穹はお腹空いてないからパフェでいい。後、スライムと二人で半分こできるサラダがいい」

「僕はお肉が食べたい気分です。この前僕が仕入れたお肉の分厚いステーキがいいです」

 

 こ、こいつら……!!

 あるけどさ、モンバトのキャラ弁!!

 落ち着け、私は大人だ。こいつらはクソガキだ。

 まあ、こいつらパソコン費用くれたしな……。

 

 私は大人の心持ちで、それぞれが望むものを出していく。

 肉だけマイエリアで焼いて出した。

 でも私はこのお店の高い料理を頼みます。奢りなので。久々に鰻を食べたい。

 

「待て、スライムってなんだ」

「この前兄さんがペットにくれるって言った」

「言ってない」

「言った。スライムくれるって言った。すごく楽しみにしてた。紅蓮から世話の方法も聞いて水槽も用意した」

「行き来できるなら紅蓮のスライムで良くないか? どうせ世話できないだろ。仕事忙しくて」

「やだ。みんなに蒼穹のスライムって自慢できない」

「そもそも内緒にしてくれよ……」

 

 蒼穹が綺麗な石や川辺を模して草も植えてある、とても気合い入れた水槽を持ってきたので、私は諦めてガチャボールを入れた籠を出した。

 

 本来ならば、ペットアイテムのスライムは柴犬ぐらいデカいし敵も倒せるのだが、攻撃できる生き物を母と紅蓮に渡すのはとても不安があったのでゲームアイテムを漁った中にあったアイテムだ。

 スライムの期間限定のゲームイベントで、飾りつけた水槽に色とりどりのスライムを置いて眺めるミニゲームがあったのだ。飾りやスライムはガチャである。ちなみにプチスライムは茹でで薄切りにして食べると美味い。

 その水槽を母と紅蓮に渡した。

 ゲームアイテムはなんと転生する度に復活する神仕様なので、勇者時代の水槽と転生してから再度配布された水槽の二つがあるのだ。もちろん配信しないように念を押した。二人とも喜んでアレンジしていた。

 

 その時の期間限定のスライム水槽ガチャを突っ込んであるのがこの籠である。

 

「これと、これと、これと」

 

 蒼穹が欲張る。

 

「世話し切れないだろ。1匹にしておけ」

「大丈夫。紅蓮が世話簡単って言ってた」

「そんなのもらえるって聞いてないです。紅蓮も持ってるって教えてくれなかったです」

 

 ショックを受けた顔で刹那がいう。

 

「もう好きなだけ持ってきな……」

「帰りにペットショップに寄りましょう。水槽を買います」

「俺もいい? 俺、この琥珀みたいな綺麗な色のスライムがいい」

「見て琥珀! このスライム輝いてるよ! 私はこれがいい!」

「派手すぎない?」

「むむむ、ぼっちゃまをもので釣るとは……私はこのピンクのください」

「ぷにぷにしてる。可愛い」

「俺も触りたい!」

「私も」

 

 全員の意識がスライムに持ってかれたところで、料理が来る。

 気を取り直して食事に移った。弁当の写真撮りまくられるの恥ずかしい。

 

「美味しい! それに元気が出るのがいいよな!」

「食べなれないものばかりだけど、奇を衒ったわけでもなくてちゃんと美味しいんだよね」

「パフェうまい」

「ステーキこそ至高です」

「ぐぬぬ、私だってこの食材を使えていれば……! 初めて食べる食材ですが、明らかに食材がいいです。火加減といい包丁さばきといい、基本は出来ているようですが、もっと上を狙える食材ですよ、これは」

 

 退魔師だけあって、未知の食材なのとかスライムとか完全に受け入れているようだった。普通、初めて口に入れるなら躊躇しないか? 美味しいし体にはいいんだけどね? それから、私は宴の概要を聞いた。

 

 当主就任の宴だけあって、かなり格式高そうだった。

 

「格式高すぎない? 凄い不安なんだけど」

「どうしても無理なら、食材の提供だけでもありがたい。サポートはさせるしチェックもする。時間だってあるしリハーサルだってする」

「うーん、それなら、やるだけやってみます……」

「私、琥珀に腕輪をプレゼントしたくて。おっきな石がついた奴。一番派手な贈り物をしたいんだ。ダンジョンコアに願えば狩りができるんだろ?」

「そんなの俺もやりたい。俺も狩りしてアクセサリー作りしたい」

「退魔師のお偉いさん方に未知の食材9割の料理食べさせていいのかとか、クラスメイトの友人が一番派手な贈り物するのは序列的にどうなんだとか、主催者が自分も作りたいとかどうなんだとか、色々いいたい事はあるけど……。なんかもう全部話してない?」

「スラ吉、サラダ美味しい? 果物も食べる? 兄さん、果物ちょうだい」

「パンはまだです? ステーキにはパンがいいです。兄さん特製の胡桃パン」

 

 こいつら……。

 

「あんまり悪い子だとお前らのスライムを全部鍋で煮てスライスして食うぞ」

 

 悪鬼を見る幼児の目で見ないで。私が悪いのか?




マシュマロ
https://marshmallow-qa.com/lucaluca
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https://odaibako.net/u/karin2022v
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