それでも私の書きたいのはこれです。
次回陽翔視点
蒼穹は、婿入りするからと瞳導師家に入り浸っていたのだが、問題が一つあった。
肝心の、琥珀の妹さんの、翡翠との相性が悪かった。
両方甘えっ子な末っ子気質なのだった。蒼穹は紅蓮にも我儘弟ムーブする生粋の弟気質なのである。最近は、翡翠の付き人のお兄さん(長男)に懐いている始末。だが、婿入りは蒼穹にとって文字通り死活問題。心配はしていた。
宴まであと半年というところで、琥珀は困った顔で相談があるといった。
「翡翠につけてる晴翔が、その、蒼穹に手を出して、蒼穹が責任を取れって話してる」
「は?」
「晴翔はそんなことする人間じゃないんだ。大事にもしたくない」
困ったように、何か言いたげにする琥珀。
もちろん、俺には言いたい事がわかった。
話し合いの場には、琥珀と俺、そして翡翠とその前に平伏する晴翔とドヤ顔の蒼穹。
「晴翔は蒼穹とエッチしたから蒼穹と結婚する」
「申し訳ありません、琥珀様! じ、自分でもどうしてこんな事をしたのか、わけがわからなくて……!! も、申開きもございません!」
俺は、ぶん殴った。
もちろん、蒼穹を。
そして踏む。
「蒼穹……。お前、女神様のお恵みを悪用したのか」
「そ、蒼穹!? 輪廻さん、いったい何を」
「あー。女神様のお恵みはわからないけど、蒼穹はエッチしたと勘違いさせる術式を持ってる」
「えっ」
琥珀の言葉に、晴翔さんは目を白黒させる。
翡翠さんが続けた。
「ちなみに、ナンパされる度に面倒くさがってその術式を乱用して悪い噂が広まったから逃げるために私の婚約者になったの」
「あれは身を守るためだけのものだろ! なんで晴翔さんを貶める為に使った!! 女神様と晴翔さん、翡翠さんに謝りなさい!!! 琥珀にも!!! お前のためにみんな協力してくれてたんだぞ!」
ゲシゲシと踏む。流石にやって良いことと悪い事がある。痴漢冤罪はあってはならぬ事なのだ。晴翔さんの人生をなんだと思ってるんだ。
「ご、ごめんなさい」
「もっとちゃんと謝る!!!」
「ごめんなさい!!!!」
蒼穹は頭を地につけて謝った。
「蒼穹、こんなこと言いたくないけど、晴翔は男だから結婚できねーんだよ」
「兄様。私は表向き蒼穹くんが旦那さんで良いけど、実際は輪廻さんが良いなって。どうせ血が繋がってるからバレないわ」
琥珀と翡翠さんが宥めてくる。なんて大人なんだ……。それに比べてうちの子は。
「いや、迷惑は掛けられない。蒼穹。お前もう帰れ。自分で壊したんだ」
「やだ。初めてなんだもん。ずっと一緒にいたいって思った人、初めてなんだもん。晴翔と駆け落ちする! 結婚できるし、赤ちゃん産めるもん!!!」
「晴翔さんに迷惑だろ!!! 良い加減にしろ!!」
ゲシゲシゲシゲシ。流石にキレて何度も蹴る。
結婚は片方の意思ではできないんですよ!
「ど、どうかおやめください! 俺も勘違いさせるような事をしてしまったんです。慕ってくれるのが可愛くて、弟達が独り立ちして寂しくて……。俺は怒ってないですから、どうか蒼穹くんを叱るのはやめてあげてください」
「輪廻。俺としても、蒼穹は取り込みたいんだ。翡翠もこう言ってくれてるし、子供ができないのは翡翠の評判に関わるから、悪いと思うなら翡翠の案を飲んで欲しいんだけど。実質的にも蒼穹と夫婦になるのは翡翠も可哀想だし」
「晴翔さんは」
「その、これだけ必要とされるのは、嬉しいと思います」
俺はため息を吐いた。
「蒼穹。自分のやった事の責任はしっかりとれ。晴翔さんと結婚するならちゃんと結婚しろ」
「ちゃんと晴翔の子を産む。男の子」
「その、蒼穹くんを貰い受けたく思います……」
はぁぁ……。
俺は晴翔さんに土下座した。
「弟をよろしくお願いします。私で出来る事はできる限りさせていただきます」
「任されました」
「翡翠さんにも私なりに出来る限りの保証をさせていただきます。結婚はちょっと事情があってできないですけど……。今回つけてしまった傷を回復してあまりある保証をします。もちろん、琥珀にも」
「兄様。どうする?」
「うーん。輪廻がそこまで言うなら、まあ。でもその代わり、出来る限り他家には行かないって約束して」
「はい」
「じゃあ、ここからは俺と輪廻でお話な。悪いけど、当主としての面子もあるからさ。そういう決着なら相当そっちに譲ってもらわないとこっちの顔が立たない。晴翔が蒼穹に手を出したって形なら凪原の家とのやりとりもあるし」
「ご面倒をお掛けします……。あっ 翡翠さんには賠償の品を選んでいただきたいので、翡翠さんも残っていただけると」
「兄様、良いですか?」
「そういう事なら」
こうして、蒼穹は嫁入りした。
勇者の財力があってほんと良かった。
そして当主の宴の日。
「兄さん。良いお知らせがあるから、今日の宴で発表したい」
「今忙しいから手短に言ってくれる? あと、琥珀のお祝いの席で変なことすんな」
「子供できた」
「絶対琥珀の宴で言うなよ? 祝いの席が混乱するわ」
蒼穹は悲しげな顔になった。
「うちわでちゃんとお祝いはするから、良い子にしてて! あと晴翔はなんて?」
「産んでから驚かせる」
「最悪なサプライズやめろ。それに仕事休まないとだから報告は必須だろ」
「兄さん、輝羅と付き合ってたんですが、子供ができました。どうしよう、医者できます? とりあえず今日言っていいですか?」
「お願いだから絶対に今日は黙っててくれ。絶対に今日は黙っててくれ。ちなみにつきあってるの琥珀知ってる?」
「言ってないので知らないと思います」
「絶対今日は言うなよ。大荒れになるから」
琥珀は輝羅とは大親友でなんでも話せる仲なんだって自慢してたからな。
でも明日、話し合いに参加して欲しいことは言わないとな。
明日は合同家族会議である。
瞳導師家、桜木家、夕闇家の合同会議。
一応、お祝いの用意もしておくが、お通夜や殴り合いにならない事を祈ろう……。
土下座の練習したほうがいいかな?
勇者の財力にも限りはあるぞ。
マシュマロ
https://marshmallow-qa.com/lucaluca
返信不要の場合は返信不要と書いておいてください。
https://odaibako.net/u/karin2022v
リクエスト、返信不要の匿名感想はこちらにお願いします。