枯れた樹海と殺し屋たち   作:リンゴ丸12

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10秒以内に

『じゃあ、改めて自己紹介といこー!』

 

大臣が用意してくれた部屋、というか会議室かな?ここが僕たちのナイアーラトテップの基地となるようだ。宮殿の地下にあるため少々薄暗い。「君たちにはうってつけでしょう」と大臣は言っていたが、それとこれとは話が違うだろう。まぁ秘密基地感が出ているとミソギ君は大興奮していたが。で、その彼が自己紹介タイムを切り出しきた。何気に彼は司会スキルがあるのかな?リーダーはミソギ君ってことにもなりそうだ。

 

『じゃあ、僕から!好きな女子の服装は裸エプロン!ミソギでーす!よろしく仲良くしてください!!』

 

テンション高くて、少々ウザい。

 

『帝具は「現実虚構オールフィクション」全てをなかったことにする帝具だよ〜ん』

 

「!!」

 

あ、カルマって奴が驚いてる。まぁそりゃそうか、伝説の帝具だもんな。最強の帝具といっても過言じゃない。ミソギ君自身は最弱だが。

 

「マジかよ、あんた……なんで、軍にいるんだ?世界を滅せるくらいの能力だろ?それ……」

 

確かに、自身は死なないしな。どんなチート帝具だよ。

 

『そうだねぇー、まぁ今はここにいた方が楽しそうってのがあるからかな?暇つぶしだよ暇つぶし』

 

そういえば世界をなかっことにすることが出来るって言ってたけど本当なんだろうか。暇つぶしでそんなことされたらたまったもんじゃないが。

 

『はい、じゃあ僕のターン終了〜。次は……じゃあケイ君!』

 

「…ケイだ。元暗殺部隊所属。そこから殺人鬼となってここに入る直前までは大臣の直属の部下をやっていた。よろしく。」

 

「へぇ、あんたがケイか…生きてたんだ。中々色男じゃん」

 

男に言われても嬉しくない。別に女の子に言われたいわけでもないけどさ。

 

「帝具は『無限殺法トエテシュレーガ』武器収納の帝具だ。帝具そのものに殺傷能力はない。あくまで武器を収納させるだけだからね。でも人殺しにはもってこいだぜ?」

 

あぁ、こんなこと喋ってたら殺したくなってきた。ミソギ君でストレス発散しちゃおうかな。殺されても死なないし。

 

『はーい、ありがとうケイ君。次、ムカエちゃん』

 

…察したか?チッ。

 

「えーと、ムカエっていいまーす。帝都の下町でひっそり暮らしてたら、ミソギさんにスカウトされてきました。特にやりたいことはないですけど、今は恩人のミソギさんについていくことにしてます。よろしくお願いします」

 

この子、ガチでミソギ君を慕ってるのか。この辺のカリスマは流石と言うべきかな?

 

「帝具は『万物腐朽ラフラフレシア』触れたものを問答無用で腐らせる帝具です。オンオフはつけられませんけどハイロウならつけられます。ゆっくり腐らせたり外側だけ腐らせたり、みたいに」

 

この子もどうやら、僕やエスデス隊長と同じ形を持たない帝具のようだな。見た所体そのものが帝具っぽい。何かの生き血を飲んだかな?

 

『はーい、ありがとうムカエちゃん。じゃあ最後、カルマ君、いってみよー』

 

ついにこの自己紹介の本命だな。さてさて、どんな奴かな?

 

「カルマだ。ここに来るまでは適当に盗んだりして生活してた。そしたら大臣に見つかってここに連れてこられたんだ。まぁ私も過負荷(マイナス)みたいだからよろしくな」

 

ふーんこの子も過負荷(マイナス)なのか……大臣の奴過負荷(マイナス)だけで部隊を組織する気なのか?僕は認めてないけどな、自身が過負荷(マイナス)であること。

 

「私は金が目当てでこのチームに入った。だから国のために働きたいなんてこれっぽっちも思ってない。ヤバそうだったら逃げるんでそのつもりで」

 

まぁ、この中に国のために働こうなんて気のある奴、多分いないけどな。みんな打算的に動いてるよ。

 

『ふーん、よろしくね!カルマ君!』

 

「あ、あと私女だから」

 

「「「!!」」」

 

マジかよ。全然胸ないんだけど。髪も短いからよけいに女に見えない。残り2人も驚きを隠せないようだ。

 

「びびった?まぁ慣れっこだからいいけどね」

 

『おぉ…ボーイッシュガールか……君には裸エプロンじゃなくて、手ブラジーンズかな……いや、全開パーカーも捨てがたい…』

 

何を言ってるんだ君は。

 

「……」

 

ドン引いてるぞ、カルマちゃん。

 

「で?帝具はなんなんだ?見た所武器を持っているようには見えないが」

 

一人妄想の旅に出てしまったミソギ君に変わり僕が司会を続ける。

 

「あぁ、それはーーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……すごいね、カルマちゃん…私のとは大違い。すごい強力じゃない!」

 

興奮気味のムカエちゃん、まぁ君のはなんでそんな帝具が?って感じだからな。

 

「そ、そうかな…」

 

まんざらでもなさそうなカルマちゃん。でも確かに強力な帝具だ。攻撃力だけで言ったらおそらく全帝具のなかでトップ3に入るんじゃないか?彼女はこのチームの切り札になりそうだな。

 

『うん、確かに強力な帝具だ。しかも能力的にはマイナス寄り……最高、もとい最低だね!カルマちゃん!』

 

「ありがと、ミソギさん」

 

なんだかんだで仲良くなってるじゃん。やっぱ弱者に対するカリスマはあるようだね。

 

『それにしてももう一人の子は?カルマちゃん知ってる?』

 

「さぁ、途中まで一緒だったんだが……」

 

『飽きた』だっけ?まだ何もしてないのに飽きたって……

 

『まぁいいや。その内来るでしょ。そんな事より今日は結成祝いパーティだ!ケイ君!お菓子!』

 

「はいはい」

 

俺は近くの店で売ってあったお菓子を買い占めてきた。そのあと4人で雑談したり、ミソギ君の提案でボードゲームで遊んだりして親睦を深めあった。

 

…楽しいと思ってしまったのは秘密だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから3日。何事もなく時間が過ぎ、暇があれば鍛錬をしていた。

ムカエちゃんは今まで戦闘とは無縁な生活だったっぽいのでまだまだ弱いが鍛えればそれなりになりそうだ。まぁそれでもミソギ君には勝てるんだけど。

カルマちゃんはそれなりに強い。今まで盗みを生業にしてきただけあってそれなりに戦えるようだ。帝具の能力も素晴らしく、僕でも避けきれない。

そして相変わらず5人目のメンバーは来ない。大臣曰く見失ったそうだ。宮殿内で見失うとかあり得るのか?

ちなみにリーダーはミソギ君に決まった。僕にしようという案も出たのだが、過負荷(マイナス)を仕切るカリスマ性は彼の方が上だろうというわけだ。僕も異論はない。

 

「みんな、大臣から依頼が入った。初任務だ」

 

そして僕は大臣からの依頼を受け付けるメッセンジャーの役割となってしまった。要はパシリだ。

 

「革命軍とのつながりがあるらしいジンギ内政官とその取り巻きの暗殺。相手の人数は不明だが、かなりいると思っていいそうだ」

 

『ふーん、まぁ初任務としてはやりごたえたっぷりでいいんじゃない?』

 

「チーム編成はどうするんだ?」

 

質問するカルマちゃん。多分この子が僕の次に戦闘なれしてるな。ミソギ君はよくわかんないけど。

 

『んーとりあえずケイ君が敵のアジトに特攻していって相手のボスが出てきたところを討つ、って感じかな?今回に限らず大体の依頼はこんな感じで進めることになりそうかな。まともに戦えるのはケイ君くらいだし』

 

まぁ、確かに。ムカエちゃんはまだ先陣を切って戦わせるのには戦闘経験値がやや心配。カルマちゃんは攻撃力はあるが防御力がザルだ。相手の特攻には対応できないだろう。ミソギ君に関しては帝具の性能は素晴らしいが、本人が最弱だ。見事に僕しかいない。まぁ、暗殺なんだからいいけどさ。これはイェーガーズとかナイトレイドと戦ったら全滅だな。もう一人に賭けよう。

 

 

「じゃあ時間も押してるし、行こうか」

 

『そうだねー、あ、ケイ君、殺せるようならそのまま殺しちゃっていいからね?別に僕らに獲物を譲るとかは考えなくていいから』

 

!こいつ……

 

「……分かったよ。殺せるようなら、僕が殺してしまう」

 

『よろしくー』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジンギ殿!革命軍への密書の用意が完了しました!」

 

「うむ、では早速マーグファルコンの足にくくりつけて飛ばせ」

 

オネスト大臣がケイを正式に軍に加入させたこと、そしてそのケイが所属する新たな組織ができたこと、この2つはナイトレイドにとって欠かせない情報。確実に届けねば。この国を救うためにも。

 

 

「失礼?ジンギ内政官?」

 

「!」

 

気づくと窓に男の影が。私の周りの兵が一斉に銃を構える。

 

「やめとけよ、それじゃあ僕は殺せない」

 

「何者だ…」

 

「僕はケイ、あなた達を殺しに来た殺人鬼、もとい殺し屋です」

 

瞬間、男はどこから出したのかマシンガンを両手に持ち乱射。そんな…私の側近たちが一瞬で……

 

「くっ!」

 

「ジンギ殿!こちらへ!」

 

外の警備に当たらせていたものが来てくれたようだ。私は撃たれた者たちに罪悪感を抱きつつも逃げ出す事にした。すまない……お前たち…仇は必ずとってやるから…!

 

「逃がさないよ」

 

「ジンギ殿を守れ!この命に代えても!」

 

別の部屋にいた警備兵も駆けつけてくれた。お前達……

 

 

 

「あぁ……逃げられた。ミソギ君達がなんとかしてくれるだろうけど…ミソギ君に弱みを握られたかなぁ。僕の弱点を」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……」

「ジンギ殿!裏口から参りましょう!あそこなら誰にも…『させないよ』」

 

そこには、3人の男女が立っていた。さっきのケイの事を考えるとこいつらが……

 

「お前たち、オネスト大臣が組織したという暗殺部隊だな?」

 

『え?なに?知ってんの!?うわー嬉しいなぁ!有名人になっちゃったな〜僕たち。ご名答!僕たちはオネスト大臣に組織された特殊暗殺部隊ナイアーラトテップだよ!あ、サインはまだ考えてないからあげられないよ?握手ならいいけど』

 

「み、ミソギさん…あまり名乗らないほうが…一応秘密組織なんですから……」

 

「お前たち!遠慮はいらん!この者たちは帝都を腐敗させている大臣の部下達だ!撃て!」

 

私は二人の側近達に発砲命令。一人の女に命中、がその女は倒れることはなかった。

 

「な!銃弾が溶けた!?」

 

『せっかちだなぁ…握手ならしてあげるって。ムカエちゃん?』

 

「はぁい」

 

と、桃色の髪の女が私の側近に急接近。まずい!やられ……手を取った?

 

「はい握手☆これからもよろしくです」

 

なんだ…?殺しに来たんじゃ…

 

「う……うわぁぁぁ!!!」

 

突然側近が悲鳴をあげたと思ったら彼の手がグズグズに溶けて、否、腐敗している!?

 

「そんなに驚かないでくださいよ、特別サービスです。ハグもしてあげますよ?」

 

そう言うと、桃色髮の女は彼に抱きついた。すると彼の体がみるみる……

 

「あ……が……」

 

あっという間にグズグズに溶けて骨も残らず腐り果ててしまった…なんだこいつら……化け物か…

 

『さて、カルマちゃん?もう一人はお願いできるかな?』

「あいよ」

 

「くっ、舐めるなぁ!」

 

「バカ!よせ!ここは逃げるぞ!」

 

私の命令も聞かず、もう一人の側近は赤髪の男に特攻。彼は剣術の達人だが…やめろ!こいつらはヤバイ!

 

「ーーースカーデッド」

 

男がそう呟いたと思ったら側近が急に血しぶきをあげて倒れこんだ。いつの間に刃物を!抜刀の達人か!?

 

『ヒュー!カッコいい!カルマちゃん!流石だね!』

「私もカルマちゃんみたいな絵になる帝具がよかったなぁ。私の絵面悪すぎ……」

 

そんな軽口を叩いている3人。くっ、万事休すか。

 

 

『さて、ジンギ内政官?もうおもりがいなくなったけど?』

 

「…殺せ」

 

『潔いね。大臣の命令は君たちの皆殺しだけど…うん、気が変わった。君は助けてあげる』

 

「ちょ!ミソギさん!?」

「何考えてんだ、ミソギの旦那!初任務で失敗したら大臣に殺されんぞ!」

 

『10秒以内に消えな。申し訳ないけど僕は気まぐれでね。10秒以上気が変わらない自信はないよ』

 

……なんだか知らんが、助かった。急いでこいつらの情報をナイトレイドに……

 

 

 

 

 

 

『ごめん気が変わった』

 

瞬間、ドズン!と巨大な螺子が私の体を貫いた。

 

「ガハッ!……一秒も経って……ない…のに……」

 

『だからさ、10秒以内に気が変わらない、という気が変わったんだよ。やっぱり仕事はきちんとこなさないとね。人間として』

 

その言葉を聞くのを最後に私の意識はブラックアウトした。

 

 

 

 

 

「……流石だぜ、ミソギの旦那……惚れ直したぜ」

「流石ミソギさん!やっぱり私たちのリーダーです!」

 

『あはは、褒めても何も出ないぜ?さてケイ君はどうなったかなぁ?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前……こんなことしてタダで済むと思って……」

 

「ないよ。だから殺す」

 

そう言って最後の警備兵斬り倒す。ふぅ、これでとりあえず大丈夫か?それにしても警備兵50人近くいたな。すぐにジンギさんを追いかけて殺すつもりだったのに……これじゃあもうミソギ君に取られちゃってるな。参ったな。彼に弱みを握られるのはいささか問題だと思うんだが。

そんな懸念を抱きつつ、僕は屋敷を出る。そうすると。

 

『やっほー、ケイ君、お疲れー』

「お疲れ様です」

「お疲れさん」

 

「あぁ、お疲れ。どう?殺せた?」

 

『うん、最終的にはムカエちゃんがグズグズに腐らせたから骨も残ってないよ』

 

…そいつは重畳。

 

『ケイ君の方は?まさか警備兵が数人ってこともないだろう?』

 

「あぁ、50人近くいたよ。全員倒殺したよ」

 

『ふぅん……殺した、ねぇ…』

 

………ちっ、面倒くさいことになったな。

 

『カルマちゃん。一応この屋敷潰してくれるかな?もしかしたら生き残りがいるかもしれないし』

 

「そりゃ別に構わないけどよ。ケイの旦那が殺してんだぜ?生き残りがいるとは思えないが……」

 

『念のためだよ、念のため』

 

…………チクる気は無いようだな。

 

「まぁ、いいけどよ。ケイの旦那も構わねぇか?」

 

「あぁ、別に構わない」

 

「じゃあ離れててくれ」

 

 

そう言うと彼女は屋敷に手を伸ばす。

 

「バズーカーデッド!」

 

彼女の掛け声とともに屋敷が軋みはじめる。瞬く間に屋敷が破壊されていき、そのまま見るも無残に潰れてしまった。

 

 

「これでよし。問題ねぇだろ?ミソギの旦那」

 

『うん、オッケー。じゃあ帰ろうか?もうすぐ朝だ。眠い眠い』

 

あくびをしながらミソギ君はつぶやく。

 

「ミソギ君、帰ったら話がある」

 

『ん〜、何?眠いんだけど。君の体質、というか性質のことなら誰にも言わないよ?仲間だからね!』

 

グッ、と親指を立ててこちらに向けてくる。

 

「…頼むぞ。機密事項なんだからな」

 

『は〜い』

 

 

こうして若干の不安要素を残し、ナイアーラトテップの初任務は終わった(一人いないけど)




オリキャラ感があんまりなかった^_^;ほぼ飛沫ちゃん…
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