「パンプキンの素材となった危険種?」
「そ」
カボチャ頭に材質不明のボロボロのローブ。そんなふざけた格好をした化け物、つまるところ私の帝具、『浪漫砲台・パンプキン』が実体化した姿なわけだが、そのパンプキンがまた変な事を言い出した。
今しがた、この男(?)は私の精神を刺激し、失っていた記憶と心を再構築してくれた。そこには感謝している。私に忠誠も誓ってくれているようだ。
ここまま安心院さん?だっけ?に頼んでここから出して貰えばいいものを何そのクイズ。バカにしてんの?そんなんで絆が深まるわけないでしょうに。
「そんなの知らないわ。それよりここを出ましょうよ。みんなにも心配かけてるし」
タツミはしばくけどね。
「……これは安心院さんからの提案でもある。答えなきゃ出れないよ?」
「はぁ?」
どういうことよ。こんなことしている場合じゃないのに。
「正解できなかったらどうなるのよ」
「んー、まぁどうしても答えがでないって言うなら出してくれるんじゃない?でもその時は」
「その時は?」
「現実世界に戻った時、君はもう俺っちを使うことはできない」
「!」
な、何よそれ。さっき忠誠を誓うって……。
「できないっていうか、俺っちが君に使われるのを拒む。俺っちのことを知ってくれない主なんて御免だからさ。無理やり使えば拒絶反応がでるからね?」
ッ………まぁ……理は叶ってるけど………。
「どうする?やるかい?やるなら詳しいルールを教えるけど?」
「……やるわよ。やればいいんでしょ?」
危険種なら図鑑で何度も見た。しかも帝具に使われるような危険種は超級がほとんど。数は絞られる。
「さっすが、マインちゃん!それでこそ俺っちの主だよ!」
ローブが奇妙に動き出す。……喜んでるの……かしら?表情が動かないからわかりにくい……。
「はい!じゃあルール説明!すごい簡単だからリラックスして聞いてね?まず、君の解答権は4回です。その内に正解を出さないと俺っちとマインちゃんのペアリングは解消となります」
…4回………また微妙な……。
「それぞれの解答の後に俺っちはマインちゃんの質問に答えてあげる。だから最大3つのヒントが貰えるわけだ。もちろん答えに直接関わるような質問はタブーだけどね?よーく参考にしてくれ」
ヒント…超級の数は限られてるし、それならなんとかいけそうね。
「ルールはこれだけ。どう?簡単でしょ?」
「えぇ。ヒントまでくれるなら。絶対に答えてあげるわ」
「おぉ〜嬉しいねぇ。じゃあ始めるよ?まずはマインちゃん、答えを考えて」
…さて………とりあえず、他のメンバーの素材を振り返ろう。不明のものも多いけど、何かヒントになるかもしれないし。
タツミのはインクルシオ。確か素材は桁外れの生命力を持ち、どんな環境にも適応できる超級危険種・タイラント。アイツの進化する鎧に納得の素材ね。
ラバのは……えっと…クローステールだから……。…………そう、大陸東の島国に住むと言われている伝説の危険種・青龍、その頑丈な体毛を素材にしてたわね。
……やっぱり帝具の性能にあったものが素材になってるわね……。パンプキンも例外ではないはず。だから精神エネルギーを具現化して弾丸にする。それに関連するような危険種ってことかしら……。
………むぅ。解答が限られてるとなるとどうしても考え込んじゃうわね…。
……そもそもなぜパンプキンって名前なのかしら。パンプキンってカボチャのことよね?だからアイツの頭もカボチャなわけだし。まさかあの姿の形の危険種?イヤイヤ、見たことないし、あんなふざけた形の危険種聞いたこともない。
「……何か失礼なこと考えてない?」
パンプキン……。カボチャ……
………………植物……?
……試してみましょう。
「一つ目の答えよ、パンプキン。あなたの素材は錬金術の盛んな国、西の大国にいると言われる植物系の伝説の超級種、『マンドレイク』かしら?」
マンドレイクは植物型の超級危険種。その姿は種類によって大根のようだったり人参のようだったりで様々らしい。カボチャ型のがあっても不思議じゃない。その鳴き声を聞いた途端聞いたものは絶命すると言われている。一説によるとこれは精神を蝕む攻撃とのことだ。パンプキンにぴったりな危険種じゃない?
「…いい答えだね。俺っちの名前から連想したわけだ。でも残念、ハズレだよ」
……いい線いってたと思うんだけど……次は質問ね……。せっかくだしこれを聞きましょう。
「質問よ。パンプキン、あなたの素材は植物系の危険種かしら?」
「……いいや?俺っちの素材は植物系の危険種ではないよ」
………くっ、違う…じゃあパンプキンって名前はなんなのよ!
植物が関係ないとなると……やっぱり性能から考えたほうが良さそうね。精神エネルギーを打ち出す……。銃の形のは関係あるのかしら?……インクルシオはその進化する特性を存分に生かしきれるように体を包む鎧になっているわけだけど……。パンプキンはどうかしら。
……んー……精神エネルギーを実体化して武器にするには弾丸にするのが一番効率的、って意味で銃にしただけって感じがするわね。危険種のヒントにはならなそうね…。
…そういえば…確かパンプキンには劣化版の銃が帝国に存在してたわね。あいつ……私の記憶と精神をめちゃくちゃにしてくれた、カルマも確か使ってたかしら。
………そう考えると結構レアな危険種ではない?危険種が超級に認定されるのは二つのパターンがある。一つは世界に数体しかいないと言われる希少性。もう一つは一匹で街一つを破壊するほどの力を有する凶暴性。パンプキンは後者なの?それならばその危険種をどうにかして狩れば……大量生産が可能なのでは?作る技術はもう失われたとしても危険種が手に入れば粗悪品なら作れそうよね?
………よし。
「二つ目の答えよ。あなたの素材になった危険種は『デスタグール』?」
デスタグール。超大型の竜の危険種で、その特徴は全身が骨だけのようにしか見えない、という事だ。パンプキンのくり抜かれた目と口がついた頭はその骨ばった姿の名残かもしれない。ガイコツのように見えなくもないし。それにデスタグールは確か口から高密度のエネルギー波を撃てたはず。それが精神エネルギーがどうかは知らないけど、私が最高にピンチの時に撃つビームと形状は似ているわ。
「んー……残念!ハズレ!」
……ダメか……半分使ってしまったわね。………次の質問は慎重にならないと。もっと絞れるような質問……。…………そうだ。
「2個目の質問。あなたの素材になった危険種は現在も存在してるの?」
「…と、言うと?」
「つまり、今現在、絶滅せずにこの世のどこかには生き残りがいるのかってこと。帝具になった危険種の中には今は絶滅してしまったものもあるでしょ?」
現にタイラントはもう絶滅したと言われている。まぁ厄災とも言われた生物だ。古代の人々が絶滅させた、と言った方が近いらしいが。
「……2個目にして核心をつくようなことを聞くね。これは君にとって大ヒントになりうるよ?」
「!!」
やった!これで相当絞られる!
「でも簡単には大ヒントになるかどうかは君次第だ。その質問に対して『現存するといえばする、しないといえばしない』と答えることになる」
「はぁ?」
なによそれ。答えになってないじゃない。
「どういうことよそれ!トンチやってんじゃないのよ!ちゃんと答えなさいよ!」
「次は質問じゃなくて答えの番だよ」
……こいつ………!もう少し親身になってくれてもいいじゃない……。私をパートナーとして認めたんじゃないの!?………落ち着け私。そうだ、よく考えたらすごいヒントになるかもしれないじゃない。現存するかに対して『現存するといえばする、しないといえばしない』……よく考えなきゃ。あと2回しか解答権はないんだ。
精神エネルギーを用いる危険種……そもそもそんな曖昧なものを使える生物っているの?むむむ………。
「マインちゃん」
「何!」
気が荒くなってすごい勢いで返事をする。仕方ないじゃない!分からなかったら私もうパンプキン使えないんだから!
「そんなに悩みすぎても頭働かないよ?少し休憩にしようか」
「休憩て………」
「ほら」
「!!」
パンプキンが持ってきた皿には多種多様なお菓子、お菓子、お菓子!
「こ、これは!」
「安心院さんが用意してくれたんだ。一緒に食べようよ。夢の中だし太らないよ?」
お、美味しそう……最近スーさんのご飯もろくに食べてなかったから……。い、いや今はそんなことをしてる場合じゃ……。
「食べないの?」
「ふ、ふん!今はそんなことしてる場合じゃないわ!あんた一人で食べれば?わ、私はいらないわ!」
「…………」
「……ま、まぁ?あんたが一人で食べるのが寂し「じゃあいいや、俺っちが全部食べちゃおー」」
………………。
「うわ〜、美味しそう。俺っちケーキ大好きなんだよねぇ。お、クッキーもある!チョコも!食べるの久しぶりだなぁ。ぜーんぶ食べちゃおー。いただきまー「ま、待ちなさいよ!」」
「食べる!食べるわ!甘いもの食べて頭を活性化させないとね!」
「……素直じゃないなぁ」
「うるさい!」
……はぁ……おいひぃ………。
「顔緩んでるねぇ」
「う、うるさいわね!いいじゃない、あんたが誘ったんでしょ?」
「どうだい?落ち着いた?」
「まぁ……ね」
甘い物を食べて脳に糖分が行き渡った。あと2回の解答権と1回の質問権。上手に使わなきゃ。
「それにしても、あんた本当に甘い物好きなのね」
私も相当食べたが(太らないと言われたので遠慮なくいった)パンプキンは私の1.5倍くらい食べてる。(個人的にはこいつの動かない口の前でお菓子が消えていくのが軽くホラーだったが)
「ふふ、俺っちも甘いものが好きでね。特にキャンディやチョコレートは大好物なんだ」
「へぇ〜」
ケーキを食べながら答える私。……うーんこいつとはこれからも付き合っていきたい。何としても答えなくては。
「心配しなくても、マインちゃんなら大丈夫。俺っちは君を信じてるからね」
「ふふん!見てなさい!あんたの正体を丸裸にしてやるわ」
さぁ、第二ラウンドを始めましょうか。
「さて、じゃあ三回目の答えを聞こうかな?もう答えられる?」
「えぇ」
ケーキを食べながらある考えが出た。これが答えであってほしい……正直これがハズれるともう手駒がない。
「三回目の答えよ。パンプキン。あなたの素材になった危険種は『木獣』じゃないかしら?」
「……………」
木獣。これはマンドレイクが出る前に思いついた。こいつはフェイクマウンテンによくいる木や植物に擬態する危険種だ。
こいつは最初にありえないと思った。なぜならこいつは良くても二級の危険種。とても帝具になれるとは思えなかったからだ。
しかし、二回目のヒント『現存するといえばする、しないといえばしない』を聞いて思い立った。
帝具が出来る前、危険種は今より凶暴なものがわんさかいたらしい。人間がまだ危険種に対抗する術か薄く、生存率が高かった為だ。当然だ、あんなもの1000年前の人間が狩れるわけがない。
つまりその頃の木獣は今より生息数が違ったのだ、サイズも大きいものがいただろう。それこそデスタグールと同等のサイズがいても何ら不思議ではない。そのサイズのカボチャ型の木獣がいたら?そのサイズの木獣を二級の危険種と呼べるだろうか。
『現在するといえばする、しないといえばしない』とは超級クラスの木獣はいないが、その子孫とでもいうべき二級の木獣は存在するということではないだろうか?
さらにこれは植物系の危険種ではない、という縛りにも抵触しない。なぜなら木獣は限りなく植物に近い姿だが正体は動物なのだ。
精神エネルギーに関しては、正直納得のいく正解が見つからなかった。しかし木獣は二級のものが現在している。これなら帝国中で使われている銃にも説明がつく。二級の分、パンプキンより威力も制度も低いのも納得だ。
これ以外にもう考え付かない。お願い…!これが正解であって!
「マインちゃん………」
「……………?」
「……………ハズレだ」
「ーーーーッ!」
な………ぐっ………!どうしよう………、もう頭の中の超級危険種は10回以上確認した!もう……どうしようも………。
「さ、最後の質問だよ。何かあるかい?」
どうする………どうしようがある………?
……まさか……超級でない?いや、まさか………。……でも……シェーレのエクスタスもメイン素材はオリハルコン。超級危険種は使われていない……。
もう、これしかないか……。
「最後の質問。あなたの素材になったのは超級危険種なの?」
「……………ここに来てまたまたいい質問をするね。それもまた、核心を突く質問だ。イェスノーでは答えられない」
「……………」
「ただ…俺っちが思うに最も凶悪で悍ましい生物だと思うよ?」
最も凶悪で……悍ましい………。ここに来てまたこんがらがるような返しを……。
植物型ではなく、『現存するといえばする、しないといえばしない』、そして最も凶悪で悍ましい生物………。
…………………………………。
……………………………………………………。
………………………………………………………………………。
……………………………!!
そっか。そういう事か。何が危険種よ。詐欺じゃない……。
「………その様子だと分かったみたいだね」
「えぇ、正直信じられないけどね」
「じゃあ聞こうかな?」
「パンプキン……あなたの素材になった危険種……というか生物は………」
ーーーーー人間ね?