枯れた樹海と殺し屋たち   作:リンゴ丸12

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投稿だいぶ遅れてしまいました…。申し訳ないです……。



覚悟はよろしいですね

『……………』

 

カルマちゃんが死んだ。ムカエちゃんから聞いた話だと彼女を逃がすために命を張ったらしい。

 

「ごめんなさい…ひっ……うっ………私が………私が…弱いから………ごめんなさい……ごめんなさいっ……!ううっ…」

 

大粒の涙をボロボロ流してムカエちゃんが言う。正直見るに堪えない。

 

『………オールフィクション、カルマちゃんの死をなかったことにした』

 

「ミソギ君」

 

『オールフィクション、カルマちゃんの死をなかったことに』

 

「ミソギ君!!」

 

『なんでだ!!なんで発動しない!!カルマちゃんが死を望んでいたとでも!?ふざけるな!認めないぞ…!!オールフィク…』

 

バキッ

 

僕はたまらずミソギ君を殴りつける。……ホント、最近の僕はなんなんだろうか。死んだ仲間のためを思って感情的になるなんて。

 

「いい加減にしろ!!カルマちゃんは命懸けでムカエちゃんを助けたんだ!!想いがこもってないわけないだろう!!」

 

『ッ!!』

 

ミソギ君は見たこともない顔をしていた。この前の激昂した顔とはまた違う、深く絶望したような顔だ。

 

「まさかカルマさん程の実力者がやられるなんて……」

 

イートちゃんも苦虫を噛み潰したような顔をしている。当然か、仲間が死んだんだからな。

 

「これからどうしますか?正直、カルマさんはこの部隊でケイさんの次に強いです。その彼女がやられたとなると…」

 

確かに。人数的にも戦闘力的にも武が悪い。イェーガーズと合併して人数だけでも確保するか…?いや、俺たちはあくまで殺し屋。イェーガーズに言えないようなこともやっている。そんなところを見せたらエスデスさんやクロメちゃんはともかく、セリューちゃんやウェイブ君は快く思わないだろう。チームワークに不安が出てくる。

 

「……くなりたい」

 

「ムカエちゃん?」

 

「強くなりたい!!もう誰も殺させない!!だから……誰よりも強くなります!!」

 

そうムカエちゃんが叫ぶ。過負荷(マイナス)らしからぬ発言ではあったが、泣き腫れたその目から放たれる言葉は決して軽いものではなかった。

 

「……だったら私の出番ですかね。私はそういう帝具ですから」

 

改竄魔人・リアルイーターとしてのイートちゃんは言う。帝具の改造…大丈夫なのか?相当な負担がかかるらしいが……。

 

「お願いイートちゃん。私、どんなに辛くても耐えるから!!」

 

…心配は無粋だったか。

 

「じゃあ暫くは修行ってことかな。ナイトレイドも暫くは怪我を治すのに使うだろうし。僕も武器を揃えておくか。………ミソギ君はどうする?」

 

『…………僕は少し姿を消すよ。キャラが壊れ始めた。作り直さないと』

 

「……は?」

 

『ある人に会ってくる。確かめたい事もあるし。そこで僕も強く、もとい弱くなってくるよ』

 

「……そうか」

 

師匠がいるのか?まぁ……彼もリーダーとして責任を感じているのだろう。そっとしておこう。

 

『その間リーダーを任せるよ。ケイ君』

 

「了解」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クロメは到着後すぐに医務室に運ばれた。当然だ。常人ならば即死するような傷なのだから。隊長が付き添っているし心配はないはずなんだけど……。あれから3時間音沙汰がない。

 

と、思ったら医務室から隊長が帰ってきた。

 

「隊長……クロメは……」

 

「……命に別状はないそうだ。意識は戻らんが……」

 

「……それで……その………やっぱりボルスさんは……」

 

「……なんとも言えないが、帰ってきていないのならおそらくそういうことだろう」

 

「……ッ………」

 

「そう自分を責めるな。今回は私の采配ミスだ。まさか南東方面がフェイクだったとは。…私が殺したようなものだ」

 

「そんな!悪いのはナイトレイドです!!アイツら……ボルスさんが何を……!!奥さんと子供までいるのに………!!」

 

「……戦とはそういうものだ。いつどこで誰が死ぬかわからん。………その悲しみを乗り越えられなければ死あるのみだ」

 

「………………」

 

「強くなれ。ウェイブ。ボルスの死を無駄にしたくなければな」

 

「………はい」

 

「……今日はもう休め。ボルスの家族には私から伝えておく。隊長としての責務だ」

 

「………お願いします…。失礼します…」

 

 

 

 

………クソッ……クソクソクソッ!!もっと強くならならねぇと!!セリューもランもコイも…そしてクロメも!!もう誰も傷つけさせねぇ!!そのためにも……。

 

 

「……グランシャリオをもっと使いこなさねぇと」

 

あの子のところへ行ってみようか…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………」

 

「ナジェンダ…」

 

「何だ」

 

「………いや…なんでも………」

 

……ここまで堪えるとはな。いつも一緒だった分、悲しみも……。

ナイトレイドの隊長失格だな。仲間の死をすぐに消化できない。シェーレやブラートのことはこんなことにはならなかったんだがな。

 

 

……つまりはそういうことか。

 

 

 

「雨が降ってきたな」

 

「雨?……今日は晴天…………」

 

「いや雨だよ」

 

私の頰に冷たい雫が垂れてきているのだから。

 

「…冷えてきたな。中へ入ろう。風邪をひいてしまう」

 

 

 

……ラバ、見守っていてくれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「チェルシー、傷の具合はどうだ?」

 

「もう大丈夫よ、ありがとう」

 

戦闘から三日、私の傷はだいぶ良くなっていた。まぁ弾は貫通してたし、ちゃんと治療してもらえばどうってことのない怪我だった。むしろ私より…。

 

「私よりアカメちゃんのほうが……。まだ目を覚まさないんでしょ?」

 

 

私に防護服をかぶせてルビカンテの爆風をもろに受けたアカメちゃんは火傷と裂傷が酷かった。常人ならば死んでもおかしくないほどに。アジトに帰ってきて来れたのも奇跡に近いらしい。

 

「あぁ、命に別状はないらしいんだが依然昏睡状態は続いている。アカメのことだし簡単にはくたばらないだろ。…それよりボスの心の傷のほうが…」

 

「……それも私のせいね。私が深追いしなければ…ラバだって…」

 

涙があふれてくる。ホント、弱っちい自分が嫌になってくる。迷惑しかかけてない。

 

「だぁあ!!泣くなって!もしかしたらお前もアカメも死んでたかもしれなかったんだ。それだけでもよかったさ」

 

「タツミ……」

 

「生きててくれてありがとう。チェルシー」

 

にっこりとほほ笑みかけてくれるタツミ。あぁ…もう…。

 

「ホント、そういうところが………」

 

「え?なんて?」

 

「な、何でもない!もう寝るわね!おやすみ!」

 

 結局告白できてないなぁ…。はぁ…。次の任務で二人きりになった時にでも……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ行きますよ。覚悟はよろしいですね?失敗すると廃人になる可能性もありますが」

 

「うん…私は強くならなきゃいけないの。もう誰も失わないためにも」

 

「…じゃあいきます。イタダキ「待て!」」

 

誰?……!!!

 

「う、ウェイブ君!?」

 

「帝具のレベルアップだろ?俺も連れてけ」

 

「私は構いませんが……ムカエさんはどうですか?」

 

「………………」

 

正直、ウェイブ君のことはまだよく思ってない。ミソギさんにも騙されるなって釘打たれてたし、セリューちゃんやコイちゃんとは仲良くなったとはいえ、命懸けの修業で彼と一緒なのは………。

……………でも………ウェイブ君がレベルアップすれば帝国の戦力も上がるわけだし………。

………仕方ないか………。

 

 

「別に構わないわ。でもウェイブ君。あんまり話しかけないでね。私はあなたが嫌いだから」

 

「……あぁ。迷惑はかけないよ」

 

「では異論はないということで。いきますよー」

 

 

 

 

 

 

ーーーイタダキマスーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは………」

 

真っ暗で何も見えないな……ココが精神世界なの?

 

「あなたがムカエちゃん?」

「お前がムカエちゃん?」

 

「……そういうあなたは……ラフラフレシア?」

 

「そうだよ?」

「そうだぜ?」

 

「どこにいるの?暗くてわからないのだけど……」

 

「あぁごめんね。今明るくするから」

「あぁ悪いな。今明るくするからさ」

 

さっきから男と女の二人の声が聞こえるのだけど……。どういうことかしら。

そんなことを考えてるうちに辺りが明るくなっていき、ラフラフレシアの姿があらわになる。

………これが………ラフラフレシア…………。

 

「初めましてムカエちゃん」

「初めましてだぜムカエちゃん」

 

そこには二人の男女が座っていた。女の方は顔の左側だけ仮面を。男の方は顔の右側だけの仮面をしている。

 

「だけどラフラフレシアは帝具の名前だから私あんまり好きじゃないんだ。だからこう呼んでくれると嬉しいな」

「だけどラフラフレシアは帝具の名前だから俺嫌いなんだよね。だからこう呼んでくれると嬉しいぜ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「私の名前はアスタロト。よろしくどうもムカエちゃん」

「俺の名前はアスタロト。よろしく頼むぜムカエちゃん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが俺の精神世界………」

 

真っ暗だな。何もねぇ。本で見た死後の世界みたいだ。ここでグランシャリオと対話を……。元となった危険種はタイラントという凶暴な竜。そう易々とパワーアップに力を貸してくれるとは思えないのだが…。

などと心配していると、コツッコツッと足音が聞こえてきた。革靴?こんなところで?

 

「ウェイブ様ですね?」

 

「誰だ?」

 

「あぁ、大変失礼しました。灯りもつけませんで」

 

そう言ったかと思うとあたりが薄ら見え始めてきた。……なんか洋館みたいなとこだな。

そして目の前には燕尾服をきた執事のような風貌のすらっとした男が立っていた。

 

「えっと…あなたは?」

 

「フフ、変なことをお聞きになりますね。ここはリアルイーターによって作られた世界なのですよ?ここには入れるのはあなたとその帝具だけです」

 

「え…じゃ、じゃあ…」

 

「はい。私がグランシャリオです。よろしくお願いいたします。我が主、ウェイブ様」

 

 

 

 

 

 

 

 

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