枯れた樹海と殺し屋たち   作:リンゴ丸12

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本当にペースか乱れます…。これからもしばらくこんな感じですね…。さーせん…。


覚悟を決めることです

俺の目の前に立っている男はグランシャリオだと名乗った。整った顔立ち、細身ではあるものの決して病弱には見えない体つき、そしてどこかの名門貴族の使用人が着ていそうな燕尾服。

最恐といわれた竜、タイラントが素材の帝具とはとても思えない。それが俺の第一印象だった。

 

「ウェイブ様、立ち話もなんですのでどうぞ中へ」

 

「あ、ど、どうも……」

 

思わず敬語を使ってしまう。ていうかこの屋敷はなんだよ。それこそ名門貴族のお屋敷だよ。なんで俺の心の中にお屋敷が立ってんだよ。

 

 

 

部屋の中は俺たちがいつも使ってる会議室の三倍はあろうかという広さだった。お前しかいないのに何故こんなに広いんだ。逆に虚しくならないか?

 

「さて、ようこそ…と言うよりここはあなたの心の中、ゆえにここもあなたのお屋敷なのですから、お帰りなさいませ。の方が正しいですか」

 

「いやいや!やめてくれよ!」

 

海の男にそんな事をされても対応に困るわ。作法とか全然分かんねぇし。

 

「そうですか。ではようこそ、ウェイブ様」

 

「あぁ…」

 

「ウェイブ様、『なんでグランシャリオがこんな執事の真似事をやっているのか?』と疑問に思われている事でしょう」

 

「い、いや!?別に!?」

 

動揺して、逆に肯定してしまった。

 

「フフ、そう身構えなくても構いません。あなた様はここにレベルアップの為に来たのでしょう?私も主人であるあなた様がさらなる高みに到達するのは吝かではありません。その為にもまずは私の話をお聞き下さいませ」

 

「…レベルアップの修行の説明だな?わかった」

 

そうだ、俺は命懸けの修行に来たんだ。こんな事で動揺してるわけにはいかない。

 

「…まぁ、その捉え方でも構いませんが……では始めましょうか。まずは軽く雑談程度の話、私の特徴の説明から」

 

「特徴?」

 

「えぇ。ウェイブ様、貴方は私のプロト版のインクルシオはご存知ですか?」

 

「あぁ」

 

ナイトレイドのブラートが所持してる奴だよな。あいつはこの前クロメを殺しかけた。忘れる訳がねぇ。

 

「ではそのプロト版のインクルシオと私、グランシャリオとでは何が違うかお分かりですか?」

 

「えっと…」

 

そういえば何が違うんだ?色…は区別のためだとして……そうだな………グランシャリオの方がなんかこう……近代的な感じかするな。

 

「単にグランシャリオの方が後期に作られて性能がいい、ってことじゃないのか?」

 

「確かに。私はインクルシオよりあとに作られておりますゆえ、基本スペックはインクルシオよりも上です」

 

「えっと…じゃあインクルシオはグランシャリオの下位互換ってことでいいのか?」

 

それなのに仕留めきれなかったってことは……実力の差ってことか……。

 

「いえいえ、一概にそうとも言えないのです。これが今回のレベルアップの肝となる部分でもあります」

 

「え?」

 

「簡単に二つを区別するならインクルシオは『進化し続ける鎧』、グランシャリオは『進化しきっている鎧』となりますね」

 

「『進化し続ける鎧』と『進化しきっている鎧』?」

 

「えぇ、インクルシオもグランシャリオもタイラントという竜の危険種から作られていることはご存知だと思いますが、インクルシオはタイラントだけをベースに作っている為進化の特性が顕著に残っています。しかし私、グランシャリオはタイラントの進化する特性に未来の技術を注ぎ込んでいるのです」

 

「未来の技術……まさか飛行能力とかか?」

 

「流石我が主人。ご理解が早くて助かります。そうです、飛行能力も私の中に眠っていた技術の一つな訳です。つまりインクルシオの進化は戦闘の状況を鑑みて決まっていくのに対し、グランシャリオは戦闘の状況は関係なく予め発現する能力が決まっている。その能力は使用者のレベルによってどこまで使えるかが変わってくる訳です」

 

「はぁ……じゃあお前はいわば未来の技術によって矯正されているわけ」

 

身なりの良さはそのイメージが強いってことか?

 

「じゃあインクルシオは野生児なわけか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

《…………ん………………?》

 

「どうした?インクルシオ」

 

《ん、いや……なんか悪口を言われた気がしたから……》

 

「?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んー、でもよ。それならインクルシオの方が強くねぇか?戦闘の状況によって進化するんだから絶対に有利じゃん。それに進化の内容が決まってないなら状況次第でグランシャリオと同じ能力になる可能性だってある訳だろ?」

 

「私の眠っている能力はは戦闘の状況による進化では発現しないと思いますよ。何度も言いますように、未来の技術な訳ですからね。それこそパーフェクターの使い手レベルの発明家なら別ですが、頭脳系の人間がインクルシオに適応するとは思えませんしね」

 

なるほど、グランシャリオの能力がインクルシオの進化によって目覚めることはほぼない訳ね。

 

「ご理解いただけましたか?」

 

「あぁ……でもよ、俺は隊長に完成しきった強さ、って言われてるんだけどよ。それでもここで修行すれば強くなるのか?」

 

今の話を聞く限り、完成しきっている俺に使いこなせる能力はないんじゃ……。

 

「完成しきっているのでレベルアップの余地がない、ということですか?それなら大丈夫です。失礼を承知で申し上げますが貴方様が完成されているのは肉体的な話で精神的にはまだまだ未熟です」

 

「…………」

 

「私はインクルシオとは違い、主に精神面でのレベルアップが能力向上の鍵となるのです」

 

「精神………」

 

確かに……イェーガーズの中では俺が最も殺しに躊躇いがあるだろう。いざとなれば殺せるが、殺さなくていい場合をいつも想定している。そのせいで反応が遅れたことも間々ある。

 

 

「私の帝具としての特徴とそのレベルアップの方法はわかりましたでしょうか?まぁあなた様は体で覚えるタイプなのでしょうからまどろっこしい説明はこの辺にして本題に入りましょう。精神向上のための試練です」

 

…待ってたぜ。なんだ?精神統一とか?滝修行とか?

 

 

 

 

「覚悟を決めることです。ウェイブ様」

 

 

 

ーーーあなた様は仲間を殺せますか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁて、もう面倒くさいから一緒には話さないぜ?」

「そっちの方がムカエちゃんも聴きやすいでしょ?」

 

「あぁ……うん。えっとアスタロト」

 

「「なんだい?」」

 

「えっと貴方達は二人で一つの帝具なのよね。区別しにくいから男の方がアスタ、女の方がロト、って呼んでいい?」

 

「安直だなぁ」

「いいじゃない。ロトですって。かわいい!よろしくね。ムカエちゃん!」

 

「あ、うん。よろしく」

 

そういえばなんでラフラフレシアはやなんだろ。

 

「なんで嫌いなの?ラフラフレシアって名前」

 

「別に嫌いじゃないけどよ、俺たちはアスタロトって名前を気に入ってるからな」

「曲がりなりにも私達は樹木の神なのよ?そう簡単に名前は捨てられないわ」

 

「えッ!?神って……神様なの……!?」

 

「そだよ。この世のすべての草木の神様さ」

 

「神様を……帝具に……それって凄い罰当たりなんじゃ……」

 

神殺しじゃない……。えぇー…なんか使ってて呪われるとかないよね……。

 

「んーまぁ合意の上だし……それに神に死ぬって概念もあんまりないしねー」

「そうだな。神としての俺達はちゃんと機能してるしな」

 

「なんかよくわかんないけど。貴方達がいいならいいわ…」

 

「うんうん!じゃあ早速修行しよっか?」

「つっても内容自体は簡単なんだけどな」

 

「どんなこと?」

 

「ここは口を揃えるか」

「そうね」

 

「…………」

 

 

 

 

「「ムカエちゃん君は腐敗についてどう思う?」」

 

 

 

 

 

「腐敗………」

 

 

 

「その正解を見つけたら新しい力を授けてあげる」

「解答権は一回のみ!よく考えてくれ?」

 

「「さぁー!シンキングタイムスタート!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ…」

 

さすがに二人を一気に連れて行くのは疲れますね。

 

 

「やぁやぁ。イートちゃん久しぶりー」

 

「安心院さん…」

 

「二人を無事に運べたようだねー」

 

「まぁ…そうですね」

 

「元気がないねぇ。疲れたのかな?……今回二人の試練はわりかし簡単だと思うんだけどなぁ」

 

「ムカエさんの方は確かに簡単かもですね。でもウェイブさんの方は少し難しいのでは?」

 

「んー。まぁ『フィアツィヒ』だからねぇ。それなりの覚悟いるよね」

 

「『フィアツィヒ』?……あぁ………40番台の帝具のことですか」

 

「そ。『ヒトケタ』ほどじゃないけど力ある帝具だからねぇ」

「確か………未来の技術を使った帝具ですよね?」

 

「うん。1000年、2000年。物によっては100万年先の技術を使ってる帝具。基本的には一対多数の戦況に向いてる感じだね」

 

「グランシャリオと……あとアドラメレクもそうでしたか?」

 

「そうそう。ま、頑張ってって感じだねー。………ん?あぁ…ははっ!ついにあの子が来たか!さ、どんな風にいじめてやろうかなぁ!」

 

………?あぁ。あの人は直接安心院さんのところに行ったのか……。チャレンジャーだなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『久しぶり、安心院さん。僕だよ』

 

 

 

 




アスタロトは青エクの腐の王からとってます。
グランシャリオのはアイアンマンのジャービスをイメージしてます。映画版の。
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