枯れた樹海と殺し屋たち   作:リンゴ丸12

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短めです。ケイの胸の内のお話。


それ以上でもそれ以下でも

大臣に頼まれた書類を提出したあとは、特にやることもなかったので、自室に戻った。どうでもいいが僕の部屋は宮殿内にあったりする。もちろん、堂々あるわけではないが別段隠しているわけでもないので、場所さえ分かれば誰にでも来ることは出来る。ちなみに部屋は帝国のはるか東にある島国のスタイルを元にしている。「タタミ」や「カケジク」といったものが置いてある。「ワビサビ」というやつらしい。

最近、やれナイトレイドを殺してこいだの、やれDr.の検査だので、あまり休めていなかった。今日は本でも読みながらゆっくり過ごすことにしよう。僕の湧き上がる殺人衝動も一人ならば湧き上がらない。たまには休息も必要だ。そう思い、僕は壁に寄りかかり本を読みはじめた。

 

三時間くらい経った頃だろうか。少しお腹が空いてきて何か食べようかと思っていたその時、コンコン、とドアをノックする音がした。僕は一応警戒し、日本刀を出しておく。(まぁ僕の場合、出しておく意味はあまりない。威嚇にはなるけど)そしてドアを開ける。

 

 

 

「ムナカタ!」

 

「……クロメちゃん」

 

そこには暗殺部隊の同期。アカメちゃんの妹、クロメちゃんがいた。

 

「どうしたの?いつ帝都に来たんだい?今は地方で仕事をしているって……あぁそうか、エスデス将軍の組織する部隊に配属されたんだっけ。」

 

「知ってくれてたんだ。…嬉しい…」

 

調べたばかりの知識だからね。

 

「まぁ、入りなよ。お茶でも出すよ。」

 

「うん、お邪魔します。」

 

 

 

「最近はどうだい?仕事をきちんとこなしているかい?」

 

「うん、今月だけで126人殺したよ。」

 

「へぇ、流石だね。僕は相変わらず大臣にこき使われる毎日だよ。」

 

「でも、それって大臣直属の部下ってことでしょ?やっぱり凄いよ、ムナカタは。暗殺部隊一番の出世頭だもん。」

 

クロメちゃんは僕のことを「ムナカタ」と呼ぶ。というか暗殺部隊の同期はみんなこう呼んでいた。僕が殺人鬼ケイであることを隠すためだそうで強制されている。…意味あるのだろうか。ちなみに同期の中で僕がケイだと知っているのは大臣他、一部の人間を除いたら暗殺部隊の同期だけだ。まあ、もうクロメちゃんしかいないけど。

 

「そんなことはない。ただの偶然だよ。クロメちゃんの方がよっぽど優秀な暗殺者だよ。」

 

「えへへ、ムナカタに褒められるのは悪い気がしないな」

 

…うん、そろそろやばいかも。我慢できなくなりそうだ。

 

「クロメちゃん、時間は大丈夫?今日はエスデス将軍の部隊の初顔合わせなんだろ。遅刻すると説教だけじゃすまないぜ。」

 

「え、あ!もうこんな時間!ごめんねムナカタ。もっと話したかったけど今日はここまで。また、遊びに来るね!」

 

「うん、いつでもおいで。今度はお菓子も用意しておくよ。」

 

「わーい!約束だよ!じゃあね、バイバイ!」

 

…今日も乗り切った。あの愛くるしく、それでいて殺しの時に見せるあの怪しい顔。二重の可愛さを持つクロメちゃん。あんまり一緒に良すぎると我慢できなくなる。

 

 

 

 

 

 

ーー殺したくなってくる。

 

僕の殺人衝動は人を選ばない。どんなに愛しい人でもどんなに憎い相手でも同じ一人の人間。殺害対象だ。

僕にとって他人は愛する相手でも憎む相手でもない。殺すべき相手だ。それ以上でもそれ以下でもない。

どんなに苦楽を共にしたって、どんなに相手が可愛くったって、どんなに親切にされたって。僕はその人に殺意を抱かずにはいられない。もちろんクロメちゃんも例外じゃない。

 

彼女を殺せたらどんなにいいだろう。どんなに気持ちいいだろう。そう考えると止まらない。自分を抑えきれなくなる。

 

でもダメだ。ダメなんだ。クロメちゃんを殺すのは。なぜなら…

 

「ケイ君?いいですか?また頼みたいことがあるのですが。」

 

ドアの前で大臣の声がする。僕は思考をそこでやめる。

 

「…今、行きます。」

 

やれやれ、短い休暇だったな。

 

 




今更ですが、サブタイトルはめだかボックスにならって本文の中から引用してます。黒子とかまどかもそうだったよね。
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