「…さて、話は変わるが、魔人よ。お前はここ最近、魔物の強さに異変を感じないか?」
「……確かに、全体的に強さが上がっている。
「そっちもか。実は、こっちの大森林でも魔物のレベルが上がっているんだ。魔素が急増していることも踏まえて、周りにも影響を与えるレベルの魔物が生まれたと考えるのが良さそうだな。…悪いが、魔人。今お前を返すわけにはいかなくなった」
「どうしてだ?」
「この大森林は、慣れていないと迷子になる。俺たち的には迷わないために民の誰かを連れて行ってやりたいところだが、民が傷つけられる可能性がある以上、それはできん」
「なるほど。了解した。では、この集落で過ごさせてもらうという認識で構わないか?」
「あぁ、良いだろう。だが、働かない者を養えるほど我らに余裕はない。ビシビシ働いてもらうぞ」
「応!任せろ!」
魔人の待遇を決め、彼ら二人が宮殿を出て行く。
……嫌な予感がするな。あの魔人もそうだが、この大森林全体にどんよりとしたオーラが覆っている。
あの魔人の内部を探ろうとしてレジストされたのもそうだ。気づいていなかった様子から見るに、魔人も知らないナニカが中に巣食っているという訳なんだろうが…。
ゴチャゴチャとした策略に巻き込まれている気がする…!
「パゼル。森の監視をもっと強化しろ。*1ヴェンゼル。兵への鍛錬レベルをもっと上げろ」
「…分かりました。しかし、ヴェスタ様がそこまで警戒するとは何があったのですか?」
「まだ"あった"ってレベルじゃねえよ。ただ、のほほんと放置しておくのは不安だってだけだ」
今この気持ちを言い表すのには「不安」っていう言葉が一番似合う。何かが起こったわけじゃないし、誰かの企みを知ったわけでもない。
ただ何もしないことに対して漠然と「恐怖」や「不安」があるだけだから。でも、確証がないからって何もしないのはダメだ。
それをしてしまったら、きっと俺は死ぬほど後悔をしてしまうだろう。
……焦りすぎだな。体を動かして発散してくるか。
「てなわけだ。付き合え、リューゼル」
「王の命だ。ならば、少し踊ろう」
ただ、自分のために。心配で荒れ狂う感情の波を消し飛ばすため、自分勝手な戦いをしようと思う。
だから
選ぶのは、竜。お前にしよう。
「
[
大衆がイメージするドラゴンの魔素が、俺の中にある。
「黒い竜騎士か。相手にとって不足なし!胸を借りるつもりで行くぞ、王よ!」
「こい…リューゼル!全力で相手をしてやる!」
「うぁー!染みるぅ!」
戦闘は引き分け……っつーか、激しくなりすぎて宮殿がぶっ壊れそうになったから中止だ。
まあでも、引き分けって言ってもほとんど俺の負けみたいなもんだがな。リューゼルのやつ新しいスキルを覚えてて、それでフルボッコ。
俺だって強くなったし、スキルの練度は上がったんだがな。やっぱり[剣人融合]や[
この大森林の怪しい空気に対応するためにも、この二つのスキルは頑張って使えるようにならないとだな。
[
さっさとモノにしたいところなんだがな。
「おっ、王様じゃねえか」
「あ、お前は件の魔人くん。…ここ、知る人ぞ知る温泉屋なのによく知ってるね。アルムからの紹介か?」
「まあな。……あぁ、気持ちいい。この世界に来てから温泉なんかなかったから、余計染みるぅ…」
「だよなあ。異世界に来て温泉を味わえるとは思ってもいなかったから余計に感じんだよな」
「分かるわぁ。……って!?王様も異世界人だったのか!?え、でもさっき生まれたばっかりって」
「転生したパティーンだ。ポケモンって聞き覚えないか?俺たち全員その種族なんだ」
「ポケモンって……マジか。すげえな。王様、アンタのポケモン種族はなんなんだ?」
「コドラ」
「中間進化で王になってんの!?余計すげえな。……くぅ!俺ここに永住したい!」
同じ話題が通じたことが嬉しかったのか、はたまたポケモンが大好きだったのか。どっちかは分からないが、とても喜んでもらえているのは分かる。
その表情を見ると俺も嬉しいので別にいいんだが……本当にそれでいいのか魔人くん。
キミ虐げられていたとはいえ、元は人類側の魔人だったよな?
「住みたいなら住んでもいいぞ。…あぁ、でもあれか。お前元いた国で守護者的な立場だったから難しいか」
「そこは俺ンとこの王に話つけてくるから!どうか住ませてくれ!」
「そっちはそっちで解決するんだったらいいぞ?……まあ、俺のとこに住むんだったら名前なしは不便だからな。名前やるよ……あと、好きなポケモンは何かいるか?この集落にいるポケモンの因子内なら与えられるぞ」
「そっ、そそそ、それはそのポケモンになれるってことか!?!?ダンバル、ダンバルっていたりするのか!!」
「……センスいいな。ありまぁぁす!!よっしゃ、んじゃ仲間になれよ!確実に仲間になれよ!!」
「そんな恩知らずじゃねえっすから!おなしゃーっす!」
ポケモンの因子はダンバルで確定だとして。名前はどうするか。やっぱり600族になるポケモンだったらカッチョイイ名前がいいよな。
…そいえば、ギリシャ語で金属関連の単語でハーリヴァスってのがあったな。うん、これにしよう!
「お前の名はハリヴァスだ。これからよろしく頼むぜ!」
名付けと「ダンバル」の因子注入。二つの強化要素を携え、ハリヴァスの肉体は白く輝く。
日本人を象徴していた黒髪は銀髪に変わり、赤い宝玉を埋め込まれたメカメカしい1対1の翼が天へと広がる。
肌の見た目はあまり変わっていないが、明らかに肉体強度は強くなっているだろう。
そして、何より一番変わったのは魔素量。最初はクライルの方が少しだけ優っていた魔素量だったが、現在はパゼル、リューゼル、俺以外ならば敵わない魔素量を誇っている。
明らかに他のヤツらよりもパワー上昇度合いが上だ。こりゃ、とんでもないヤツになるかもな。
〈[
〈[
〈因子吸収により、
アンジュさん?
『なんでしょうか、マスター。なにか問題がありましたか?』
逆にどうして問題がないと思うの?キミ、[
これで[
『問題ありませんよ。私がスキルとなっても問題がないのはすでに計算済みです。それに、邪魔になるどころか、スキルになることによって調和が上がって強くなるんですよ?』
なぬっ!?アンジュさん、いつの間にそんな計算を……。
『ふふっ。因子を吸収して強くなるのは必ずしもマスターだけとは限りません。私だって、皆さんの因子を吸収して強くなっているんですから』
…なるほど、そういう。確かに俺の体内にいるアンジュなら因子吸収の影響を受けられるのも不思議じゃない。
でも、だからってそんなの耐えられるのか?…確かにアンジュには既に名付けを行い、[
『さすがに私もマスターみたいに一気に摂取はできません。なので、少しづつ摂取したんです!結構時間は掛かりましたけどね!』
……さっすが俺の相棒…!ラミリスからもらった精霊がお前でよかったって心底思うよ。
「うぅ……ううぅ…頭クソ痛ェェ!!」
「あっ、やべ!今回弄ってなかった!ごめんハリヴァス!今医務室に連れて行くから!」
アンジュ
種族
共通能力
……
固有
[暗黒威圧]、[暗黒変遷]、[精霊支配]
特別
[暗黒炎]、[暗黒腐水]、[暗黒激氷]、[暗黒大地]、[暗黒雷電]、[暗黒烈風]、[魔力操作]、[魔力感知]、[精霊眼]
特殊
[
耐性
[物理攻撃耐性]、[魔法攻撃耐性]、[自然影響耐性]