転生したらココドラだった件   作:鋼色

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不良パンダ(ヤンチャム)

ミリムと出会い、ぶっ飛ばされてから三日ほど経った。

 

種族が[小型竜魔金剛(ココドラ)]になった時に獲得した[竜魔之系列(ドラグーン)]が出来ること多過ぎて手に余るのが現状だ。

 

使える幅が大きいスキルは大歓迎だが、今の俺には扱えない。身体能力強化使えます、精度の高い分身作れます、魔素貯蔵できます。

 

キミ何なら出来ないんですかね。ミリム視点からしても[竜魔之系列(ドラグーン)]に内包されている能力は桁違いらしいし……。

 

一応今は乗りこなせるように鍛錬を重ねてはいるが、暴れ馬から従順な僕になるにはどのくらいの年月が必要なのか。

 

しかも、空中戦の課題があるからな。今の俺には。

 

固有能力(スキル)にある[竜翼]での飛翔、及び地上と同じまでの戦闘能力かつ継戦能力が課題だ。

 

転生する前も今も空とは無縁の種族だったから、あまり空を飛ぶのは慣れていない。

 

[竜翼]で空を飛ぶことだけに意識を集中させているのなら可能だけど、そこからの戦闘となってくると厳しいものがある。

 

ミリムは「そこは経験なのだ」とか言っていたけど、本当に何とかなるのだろうか。何とかなって欲しいなあ。

 

「ヴェスタ!何をしてるのだ?」

 

「あぁ、ミリム……さんか。さっき狩ってきたゴローンたちが持っていた宝石を食べてるんだ。なにか吸収できないかと思ったら……[熱変動耐性]、[状態異常耐性]、[自然影響耐性]、[聖属性攻撃耐性]、[元素支配(エレメントクラトス)]が手に入ったんだ」

 

「……ヴェスタのスキルは宝石にも効果は伸びているのだな」

 

「あれ、ミリムさんはもう知っているのかと」

 

「知っているはずないであろう?私の[竜眼(ミリムアイ)]は大まかな力を知るだけであって詳細は分からんのだ」

 

「むむ……困った。じゃあスキルの能力を知るには自己研鑽しかないじゃないか」

 

「そうだぞ。昔からその方法しかないのだ。…解析系のスキルがあれば話は別だがな?あれは自身のスキルにも解析鑑定が行える。ヴェスタも解析系のスキルと[段階上昇(レベルアップ)]があれば知れるのではないか?」

 

解析系のスキルを得る、ねぇ……。

 

なんと難しいことを言うのだこの人は。転生してスキルを貰い、名付けをしてもらってからスキルを貰った。

 

その結果からは連鎖できないが、スキルとは本来強い思いを抱き、鍛錬を続けなければ獲得できないものらしい。

 

何十年もの鍛錬と強い思い。そのプロセスがなければ共通能力(コモンスキル)も獲得できないほど。

 

それを考えたらポケモンってコスパは良いのかもしれない。スキルや技術(アーツ)がなくてもそれっぽいことできるし。

 

「アレは……ヤンチャム?」

 

「む?ヤンチャム?」

 

「俺と同類です。パンダ、黒と白が入り混ざるパンダで葉っぱを加えているポケ……魔物」

 

「ふむ…あれか。見事にボコボコにされているな。どうする?ヴェスタ、助けにでも行くか?」

 

「良いんですか?」

 

「…言っておくが私は手を出さんぞ?あくまでも動くのはヴェスタだ」

 

「ぇ」

 

「当たり前だろう?私はお前の母親ではないし、いつまでも巣にいるわけにはいかない。そう思わないか?」

 

「巣って……アンタが面倒みたの三日じゃないですか」

 

「魔王が三日も見ているのだ。充分ではないか?……ヴェスタ、助けるのには時間制限があるぞ?ほら、今助けなければ死んでしまうぞ」

 

ヤンチャムは周りにいる様々なポケモンから攻撃を受け、今にも倒れ伏してしまいそうだ。

 

背中に[竜翼]を生やし、空を駆ける。あまり慣れていないゆえミリムと比べたら速度は落ちるが、ヤンチャムを助けるには充分。

 

「悪いが、そこら辺までにしてもらおう」

 

「「「ッ!?」」」

 

「正義の味方気取ってんならどけ、潰すぞ……とゴーリキーさんが行っています!」

 

「そーだそーだ!」

 

「あっ、あああ……あぁ、そうだ!邪魔すんなら覚悟しろ!」

 

「なら仕方ない。思いっきり叩き潰そう」

 

その言葉に反応したか、ゴーリキーの隣にいたワンリキー×2が襲いかかってくる。技も何もない単純な一撃。

 

タイプから考えれば圧倒的な不利。だが、俺に言わせりゃそんなの関係ない。

 

ミリムによって鍛えられた(三日間だけ)戦闘技術はワンリキーを遥かに凌駕している。

 

体を[分解]し、ココドラの肉体に[構築]しなおす。

 

「【まるくなる】」

 

ワンリキーたちが予想していた近さよりも低く変化することで動揺を誘う。

 

その狙い通り、ワンリキーたちは腕を振ったのちに僅かな硬直が生まれる。決して無視できない、戦闘中における致命的な硬直が。

 

「【ころがる】」

 

「ッ!【からてチョップ】!」

 

硬くなったかつ、とくせい【ヘヴィメタル】で重くなった体重を全て乗せ、ワンリキーの体に【ころがる】を直撃させる。

 

反撃として【からてチョップ】を受けそうになったが、[鋼鉄化]と[竜魔之系列(ドラグーン)]を用いることで防御。

 

もう一人のワンリキーは体重が重く変化したことを利用しようとして【けたぐり】を繰り出そうとするが、そこは【まもり】で防御したのちに【がんせきふうじ】で動きを止める。

 

地下之龍(ドラゴ・モグラ)

 

ミリムに使ったときとは違い、直線上に飛ばすのではなく、地下に侵入させてから突き上げる。

 

瀕死とはいかなくとも、それに近しいダメージを負ったことには違いない。

 

「…やるな、お前」

 

「そりゃどうも。さっさと諦めて逃げてくれたら助かるんだが?ほら、逃げてくれたら追撃はしないから」

 

「…それはできんな」

 

「なんでよ。足震えてんじゃん」

 

「その者が我らのナワバリを踏んだからだ…!!」

 

「なるほど。見逃して王に痛めつけられるのが怖いってわけね」

 

「……ノーコメントだ」

 

「それはもうYESって言っているようなものだろ」

 

先ほどと同じようにココドラの肉体を[分解]し、[構築]で人間態に戻ったのち、【メタルクロー】による飛ぶ鋼の爪技を放つ。

 

レベル28から進化するゴーリキーさんが避けられないとは感じておらず、その直観通りにゴーリキーは避け、【からてチョップ】を繰り出す。

 

俺の飛ぶ【メタルクロー】を参考にしてか、ゴーリキーの【からてチョップ】も飛ぶ格闘技になっていた。

 

意味がわからない。飛ぶ【からてチョップ】はもう【からてチョップ】じゃないだろ。

 

「っチ!」

 

予想外でちょい出だしが遅れ、少し掠った。かすり傷でさえないはずの傷が、ジンジンと痛む。

 

[物理攻撃耐性]があるとは言え、4倍弱点のタイプ一致は流石にキツい。

 

なんか転生初日にこの出来事あった気がするんだけど気のせいかな。気のせいだよな()

 

「はぁぁぁぁ!!」

 

「【きあいだめ】か…!随分と舐めた真似をするじゃないか!【ほえる】!」

 

「どっちがだ!!【きあいパンチ】!」

 

「なっ!!!」

 

クソ、【きあいだめ】を選択したのは俺に阻害させるための技……【ほえる】を発動させるためのトラップ……!!

 

本当の狙いは【ほえる】を発動した隙を利用した【きあいパンチ】の発動!!

 

【きあいパンチ】は相手から攻撃を受ければ不発動になる特殊な技。だからこそ俺に変化技や場面転換の技を使わせる必要があった。

 

こんの……ッ!見かけによらずよく考えてんなぁ!脳みそちゃんと筋肉ついてんだな!!

 

「上等だ!真正面からぶっ飛ばしてやる!」

 

【きあいパンチ】を発動する前に攻撃するのは無理でも、同時発動は間に合う!!

 

……例え間に合わなかったとしても、無理やり間に合わせる!!

 

竜魔之系列(ドラグーン)]の肉体強化を全て右腕に乗せ、[金剛化]で硬める、

 

竜星拳骨(ドラゴ・スター)!」

 

【きあいパンチ】と【竜星拳骨(ドラゴ・スター)】による衝突。両者のあまりのパワーに森が騒いでいる。

 

そして、騒ぎたいのはこちらも。同パワーのパンチ技で相殺しているとはいえ、とんでもない威力の格闘技だ。

 

僅かに入ってくる威力だけでも体が震える。【きあいだめ】が完全に成された果ての【きあいパンチ】をマトモに受けていたらどうなっていたことか。

 

想像するのも嫌になってくる。

 

「ぐがぁぁぁ……!!【がらでチョッブ】!」

 

「ふんぬぅぅ…!!!【まもる】!!」

 

片方の腕で襲いかかる【からてチョップ】は【まもる】で防ぐ……が、完璧に防げたとは言い難い。

 

全神経、全能力を【竜星拳骨(ドラゴ・スター)】に集中しているため、【まもる】にも意識を割きづらいのだ。

 

だが、これ以上静観の姿勢を取るのは悪手。【まもる】が二連続で成功する可能性は高いとは言えない。しかも精度が落ちているのだ。今度こそ完璧に守れるとは言えない。

 

なら……!!攻めるしかない!!

 

「………【マグニチュード】!!」

 

対象は地面じゃない。ゴーリキーだ。ゴーリキー単体を揺らし、ダメージ+集中力の低下を図る!

 

【きあいパンチ】はかなり集中しなきゃいけない技だ。発動するまでに攻撃を受ければ失敗判定をくらい、不発動になる程。

 

「がぁぁ!!」

 

「どうしたぁ!?ゴーリキー!!【きあいパンチ】の出力が弱ってきてないかぁ!?【きあいパンチ】じゃなくて「へなちょこパンチ」に改名した方がいいんじゃないのか!!」

 

「黙ってろ!クソドラゴン!」

 

「残念!!俺はココドラでしたぁ!」

 

「ふざけろっ!ココドラにドラゴン要素はないだろうが!」

 

「そういうのはなぁ…!!ノリと気合いでどうにかするもんだ!!」

 

【マグニチュード】を暴れることで解き、反撃として技を繰り出そうとするゴーリキー。

 

はっはっは!!!残念ながらなぁ!!俺のターンはまだ終わっちゃいねえんだよ!

 

誰がターン制なんてつまらん事言ったァ!

 

「一緒に受けようや……【いわなだれ】!!!」

 

俺とゴーリキー。二人ともに岩が降り注ぐ……が、そのダメージは均等じゃない。

 

鋼・岩の俺と格闘単タイプのゴーリキーは共に半減。だが、【いわなだれ】が起こったあと……かすかな光しか差し込まない環境を利用し、【メタルクロー】を浴びせた。

 

暗闇と突如の痛み。【きあいパンチ】を発動維持する上で必要な圧倒的な集中力を乱すには十分だった。

 

竜星拳骨(ドラゴ・スター)!」

 

もう一度叫び、ゴーリキーの腹部へと喰らわせる。

 

無防御での一撃。勝敗は、決まった。




交差之竜眼(クロスアイ)
竜眼(ミリムアイ)と名前は似ているが、性能は全く違う。ミリムのものは相手を突き止めるために用いるものであるが、ヴェスタのものは"空間を壊す"ために用いられるものである。

破壊眼とも言い換えてもよいそれは、目視した魔法式の破壊、敵と自分との距離の破壊、一定時間見つめた部位への任意破壊が可能となっている。

ゴーリキー戦で使用しなかったのは、シンプルにできなかったからだ。一応使用することはできるが、それは全集中を注ぐことで達成させる条件であり、今のヴェスタでは戦闘中では使用不可能である。

【ヴェスタ
種族
小型竜魔金剛(ココドラ)

レベル:26(進化まであと6レベ)

とくせい
・ヘヴィメタル


・たいあたり
・かたくなる
・メタルクロー
・ジュエルダスト
・かみつく
・がんせきふうじ
・ほえる
・まるくなる
・ころがる
・どろあそび
・アイアンバースト
・マグニチュード
・いわなだれ


共通
[発声]、[思念伝達]

固有
[竜翼]、[鋼鉄再生]、[竜探知]、[交差之竜眼(クロスアイ)

特別
[金剛化]、[分解]、[構築]、[鉱物捕食]、[鉱物加工]

特殊
超人気(カリスマ)]、[段階上昇(レベルアップ)]、[吸収者(スイツクスモノ)]、[再生者(モドスモノ)]、[竜魔之系列(ドラグーン)]】
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