「うむうむ!よくやったのだ!…それで、そいつらはどうするのだ?」
「助ける」
「……敵を助けるなんて、どういう神経してるのだ。私だったら絶対やらないことだぞ?」
「別に恨みつらみが募っているわけじゃないしな」
きっと俺の選択は甘い。人によっては理解することが叶わないほどの甘ったれた選択だ。
けど、ゴーリキーたちは致し方ない理由で拳を取った。抱える立場がある以上、どうしようも出来ない理由だった。
だから、俺はそれを許せるポケモンに……いや、違うな。言い訳をするのは辞めてしまおう。
俺はきっと、気に入ってしまったのだ。ゴーリキーやワンリキーたちと命を奪い合わない選択肢を選べるのなら、そちらに舵をきりたいと考えてしまうほどに。
弱肉強食の世界では信じられない答え。きっと全てを疑ってかかり、邪魔する者は打ち倒し、敵対者には徹底的に叩きのめすのが正解なんだ。
けど、俺は出来ないから。まだ未熟で、弱くて、だから俺はこの選択を取るよ。
「…俺は、いったい……」
「お、起きたかゴーリキー。俺が治したんだ、感謝しろよ」
「お前が…?どうして…何が狙いだ?」
「そう勘繰るなよ。別にお前らに対して要求することなんてない。ただ気に入ったから助けた、それだけだ」
俺の言葉にゴーリキーが唖然としているのが見て取れる。
つってもなぁ……俺はゴーリキーたちが気に入った。その結果に助けるという選択肢が出てくるだけの話。
「……っ、はははは!なんだそれ!そんな理由で助けられたら、警戒している俺がバカみたいじゃないか!」
「そんな理由って……いやまあそうなんだけどさ」
「すまないな…。俺もワンリキーたちも治してもらって」
「気にすんなよ。俺が気に入っただけだからな」
そう、本当にそれだけ。だから気に病まないでほしい。いやほんまに。
「んで、どうすんだよ。これから。そのボスの縄張りに戻るのか?」
「……ボスはミスを犯した者を許しはしない。徹底的に叩きのめすのがあの方だ。失態を犯せば、戦士としてはもう…。しかし、俺には行く宛がない。どうしたものか」
「なら、俺の仲間になってみるか?師匠は厳しいけど、気に入ってくれる…かもだぜ?なぁ、師匠」
「ぇ?」
「確かに、お前の技は目を見張るものがある。ヴェスタと合わせて、ガンガン鍛えてやるのだ!」
おうおう、ミリムに対して驚いてんなぁ。確かにこんな可憐な少女が俺の師匠とは思わないよな。
でもなあ、クソ強いんだよなあ。強すぎてちょっと腹立ってくるぐらいには。
いつかその横面にグーパン入れてみたいぜ!思いっきり、こう!!
「んー、じゃあ名前あった方が良いよな?俺がつけても良いか?」
「いや、それは構わないが……大丈夫なのか?」
「大丈夫大丈夫!お前らもそれで良いか?ワンリキーたち」
「「大丈夫っす!」」
「それじゃあ、俺から見て右のワンリキーはアヴェルタ!左はアヴェスタ。ゴーリキーはクライルだ」
うおっ!なんか、結構魔素を持っていかれたぞ……え、なんで?
もしかして名付けって魔素を消費するのか?
……わりかし妥当だな。ミリムから名付けされて、確かに俺の種族は進化したし、魔素量も増えた。新しいスキルも得た。
そりゃそうなるわって加減だな。俺が[
ミリムさぁん!言ってくれよぉ!
「これは……っ、眠気?」
「傷は治したと言えど、体力までは治せてない。進化するには限界なんだろう。休め」
俺が進化したときのあの体の熱さ。アレはきっとミリムの因子を取り込んだからなんだろうが、進化にエネルギーを利用するのは間違ってはいないと思う。
そんなわけだから、こんな疲れ切った体で進化するにはキツいみたいだ。
「人間態での初めての実践にしては上出来であったぞ?」
「ありがとさん。でも、もっと強くなるぜ!それこそ、ミリムさんとガチでやり合えるぐらいにな!」
「……それは、魔王になると同義なのだぞ?ヴェスタは本当にそれでもいいのか?」
「俺きっと、これから出会う同類たちを見捨てれない。だから助けて、助け続けて。その先にはきっと超巨大な魔物の集団が出来上がってる。そいつらを守るために俺は魔王になるしかない。……まあ、全部仮定の話だけどな。そんで、その果てにミリムさんとは友達になる!マブダチってやつだ!」
「……お前には、特別に"ミリム"と呼ぶことを許してやろう。ヴェスタはマブダチ候補だからな!」
「さんきゅ。ミリム」
魔王になって、最古の魔王と友達になる……か。随分と大口叩いちゃったなぁ。けど、今更撤回はできない。
こんな嬉しそうなミリムを見たら、全力死ぬ気で努力して叶えたくなってくる。
「仲良しだな…」
「…ヤンチャムか。悪いな、騒がせて起こしちまった。…まあ、見ての通り、俺たちはもうお前を攻撃する気はない。満足するまで休んだらココから離れたら…」
「俺も、……おれも、お前らみたいな仲良しな仲間が欲しい」
「……!オーケー、じゃあ仲間になろうか。お前の名前はペクスだ。よろしくな」
「あぁ!さっさと強くなってワンリキーたちをボッコボコにしてやる!」
「仲良くしてくれよ?」
さっきまで敵同士だったからすぐ仲間になるのは難しいだろうけど、全員俺が名付けをしたんだ。
まあ、ボコボコに殴り合うのは辞めて欲しいけど。鍛錬ならいいけど、日常生活でやられると非常に面倒くさい。
まじ最悪なんだよな、あの[
しかし…ヤンチャムか。懐かしいな。よく俺の旅パに入っていたのを思い出すよ。ゴロンダ、あのデカくてイカつい感じが胸に刺さるんだよな。
やっぱりデカブツポケモンは正義だ。カッコよすぎる。
確か口に咥えている葉っぱは相手の動きを読む能力があるんだよな?ペクスが進化したら
「そういえばだがなヴェスタ。お前進化まであと何レベルだ?」
「6レベル。それでようやく中間進化が可能になるぞ」
「ふむ、6レベル、6レベルなのだな?……どうしたものか」
「え、なにか困った案件でもあった?」
「出来るのなら早く進化させたかったのだが、ヴェスタは強敵でなければ経験値は入らないのであろう?」
……そう、実はそうなのだ。この世界では強敵、もしくは現在の俺よりも選択的に優れたものでなければレベルは上がらない。
最初期にレベルアップした要因の宝石もそうだ。あのイシツブテの大群は、俺のレベルに近しい奴らが多かったからだ。
強弱にスキルの強さは適応されない。
んで、なんで強い敵じゃないとレベルが上がらないかと分かっているかと言うと、経験値が入る気配が見えないんだ。
この、感覚がないっていうか。だから俺とミリムは困っているわけなんだが。
俺の4倍弱点を取れる格闘タイプで、倒しても大丈夫なタイプの……敵。
「あ、ゴーリキーたちの縄張り潰せばよくね?」
「確かに妙案だが、今のヴェスタでは勝ち筋は見えない。もっと鍛錬、いや……うむ、ラミリスのところに行かせたら……ちょうど近くだし。そうだな。ヴェスタ、手っ取り早く強くなる方法がある。それには私と同じ魔王に気に入られなければならないが、やるか?」
「やるよ。そのラミリスって魔王様はどこなんだい」
「ラミリスは……」
魔力感知以上万能感知未満の感知能力とポケモンへの翻訳能力を宿す竜魔を宿したココドラ、コドラ、ボスゴドラ専用のスキル。多分竜魔を宿したココドラ系統はヴェスタしか出てこないので、ぶっちゃけヴェスタ専用のスキル。
ポケモンと話すことができたのもこれが要因。