「めっちゃ鍛錬頑張ってんじゃん」
「む!ヴェスタか!……ふむ、お前進化したな?魔素量が上がってるぞ」
「ぇ?マジ?」
「「マジかよぉ!」」
「へっ!すぐ追いついてやるぜ!」
ミリムと鍛錬するための拠点から離れてから10日。最初に会ったときに比べると皆だいぶ強くなっているな。
レベルは……ペクスは18、アヴェルタ・アヴェスタたちは20、クライルは31になっているな。
……もしやと思っていたが、俺以外のポケモンはレベル上げがしやすいのか。
ココドラ自体レベルアップがしにくいポケモンなんだが、明らかに俺の経験値事情はおかしい。
俺とゴーリキーたちの差異点としては、多分進化しているかどうかだ。ポケモンの種族進化じゃなくて、竜魔吸収や精霊吸収みたいな感じの。
そこら辺が色々あるからレベルアップしにくいんじゃないのかと推測している。
まあ、強くなるのはありがたいんだけど……うん、進化したいんだよね俺。
「クライル、ちょっと戦ろう」
「へぇ。随分とやる気だな」
「あぁ。クライル、お前の実力次第でいつお前らの元棲家に突っ込むか決まる」
「ほう?そいつは面白い話だ。アヴェルタたちが育ち切る前に仕掛けるつもりか?」
「あぁ、言葉が悪かったな。相手がどれくらいの力を持っているのか、小手調べをしたいって話だ」
クライルたちがあの縄張り近辺に住まう以上、ついて回る問題はあのボスだ。
ミスを犯した者を罰するほどの器の狭いボスが組織から抜け出した奴らを許すとは到底思えない。
あとちょっかいかけて俺のレベル上げて進化したい。
「そういうことなら、仕方ないな。全力でこい、相手してやる」
「それでは、結構本気でいかせてもらおう。行くぞ、アンジュ」
『行きましょう……!』
「『
人間態の姿を包み込むかのように現れた紫色のマフラーは空を舞い、服装は精霊魔法を上手く編み込んだ黒い軍服が威圧を発している。懐に刺している刀は精霊因子と[鉱物加工]で作り上げたもの。
その名は精霊刀・
「『さぁて。少し暴れさせてもらいましょうか!』」
白の刃から溢れんばかりの暗黒のオーラは腕にまとわりつき、体にベタベタと触ってくる。
これは身体に強化を施すための必要な段階。分かってる、それは分かっているが、つい身構えてしまい、眉を顰め、目を逸らしてしまいそうになってしまう。
「『……パーフェクト。準備は完璧に整いました。思いっきり、構えなさい』」
「『
オーラが地面に侵食していき、その侵食領域を支配域として置く。だから侵食領域からニードルを出したり、爆発させたり。色々できるってわけだ!
そうした侵食領域のアドバンテージは、どんな敵でも後手後手に回らせる。そのイコールは防戦一方を強いることができる…!
「闇王一刀流……
「まもる!」
侵食領域+目の前の斬撃。【まもる】で守れるのはどちらか一つ。。
俺ならどちらかを守るのか、その思考でタイムラグが発生し、どちらも受けてしまうだろう。
だけど、クラウスは最初からこちらの【黒雨】に対してだけ完全防御を張っている。
さすが俺よりも戦闘経験を重ねているだけはある。俺だったら迷って全てを受ける未来が見えるね。
『戦闘に集中してくださいよ!』
分かってるって!
「『闇王一刀流……
二連続【まもる】が成功する確率は半分。さぁ、運試しといこうか!
「……っふ!」
(まもるを使わない!?真正面から受けても問題ないってか!)
刃が肉体を切り裂き、鮮血が浮かび上がる。まともに斬撃を受けたクラウスの表情は動揺一つなく、全て掌の上とでも言わんばかりだ。
『
その言葉で全てが分かった。そして、俺の思考が一手遅れていたことも。
「ふんぬぅ!リベンジ!!」
直近で攻撃を受けたことによって威力が2倍になった【リベンジ】……。威力120、タイプ一致4倍弱点……腹に穴が空きそうなぐらい痛い。
まさかのまさかだな。後手だったのは侵食領域から攻撃を受けていたクライルではなく、まさかの俺だった。
進化したから、強くなったから。そんなクソみたいな理由で油断しすぎた。
あぁ、悔しい。
『ふふ……それにしては、随分と楽しそうなようですが?』
そりゃそうだろ。自分が助けたやつが一気にここまで強くなったら誰でもそうなる。
「『さぁ!ここからヒートアップしていきますよ!』」
「あぁ!こい!」
刀を構え、拳を構える。二つの矛が衝突……することはなかった。突如飛んできた斬撃によって、俺たちは模擬戦からガチ戦モードに切り替える。
「「『ぁ゛?』」」
「見つけたぞ、ゴーリキー、ワンリキーども。縄張りを抜けた罪、あがなってもらおう」
ドリューズだ。縄張り発言をしてるから、きっとクライルたちを追ってきた追手だ。
あぁ、苛立ちが募るのが理解できる。
「アンジュ」
『はぁ……分かりましたよ』
「『
マフラーが消え、軍服が消え、刀が消える。
手札を切り捨てた果てに手に入れたのは、新たな手札。進化したときに手に入れた竜魔の装甲。
「
黒い翼、黒い角、黒い騎士鎧。ただ一つ、煌々と輝く白い大剣。
「クライル。分かってるな?」
「あぁ。殺しはしない。ただ……」
「「全力でぶっ飛ばす!!」」
[
あぁ、駆け抜けた先はとても最高だ。強くなった実感がこもる。
だからさ、ドリューズ。特等席で完膚なきまでに負かしてやるよ。
「ざぁぁぁ!!!」「ぐぬっ……!?なんてパワーだ…!」
斬撃と斬撃の押し合い。だが、両者にこめられている重さ、まるで違う。
はっはっは!!そんなへっちょろの斬撃じゃ俺を押せないし、傷つけることは叶わないなぁ!!
「俺も忘れてもらっては困るな。とくと喰らえ」
橙色に輝く拳がドリューズに向かって打ち下ろされる。
思いっきり吹っ飛んだはずだが、それでも立ち上がるのはさすが鋼タイプと言ったところか。
「お前、……お前たちなど、このドリューズ様が本気を出せば瞬殺できるのだ!慢心するなよ!!」
「「じゃあさっさとやれよ」」
「クソがぁぁ!!ドリルライナー!!」
「ヴェスタ」
「ん。任せる」
クライルは地面技は効果抜群じゃんとか、脳裏をよぎることは色々あった。けど、もうなくなった。
そんな目ェされたら、信用するしかなくなっちゃうだろうが。
「ぐぅう、がぁぁあ……!!」
「なっ、なっ、なっぁぁ!?」
【ドリルライナー】を発動したドリューズを剛腕二つで押さえ込み、完全消沈させた。
やっぱり腕力化け物だな。俺じゃてきる気しねえや。
『あの…マスター。クライルさん様子おかしくありません?』
余計なことを考えていたら、アンジュの言葉で思考がクリアになる。
言葉通り、クライルの方を見れば青い光を発している。
あの光は……進化か。この世界ではゴーリキーがカイリキーになるのはどうすんのかなって思ってたけど、通信交換じゃなくても普通に進化できるんだな。
「うぉぉぉお!!俺は怪力だあぁ!!」
やかましいわ。
「おめでとさん。んで、どうする?」
「ボスさえ取れれば、闘志はそげるだろう。首、取りに行くぞ」
自身が吸収した因子を保持している精霊かつ、体と同居している存在しか合体できない超不便スキル。
ヴェスタとアンジュの合体調和の度合いが上がるほどパワーやスピードは底上げされる。
ちなみに上のクライルとヴェスタは戦い邪魔されて苛立ち、まともな思考ができていないの図です。