※前年(二年目開始時)からの変化
打撃
弾道:3→4(上昇)
ミート:A
パワー:A
走力:C
肩力:A
守備:C
投球
球速:153km/h→158km/h(上昇)
コントロール:B→A(上昇)
スタミナ:A→S(上昇)
球種:
・直球
・カーブ(実戦レベル)
・スライダー(実戦レベル)
・スプリット(発展途上→実戦レベルへ昇格)
・チェンジアップ(発展途上→実戦レベルへ昇格)
秋季近畿大会で準優勝という結果を引っさげ、淡海学院は年明け早々にセンバツ出場の内定を受けた。二年連続となる選抜出場は、もはや「番狂わせ」でも「快挙」でもなく、一つの強豪校の当然の歩みとして報じられるようになっていた。地元紙の扱いも一年目・二年目とは明らかに違い、「連覇候補、淡海学院」という見出しが当たり前のように紙面に並んだ。
冬の間、颯太が取り組んだのは、二年目に痛感した二つの敗戦――夏の滋賀大会での彦根工業戦、そして国際大会決勝での敗北――から逆算した練習メニューだった。担当コーチの証言によれば、この時期の颯太は「打たせない投球」というテーマをより具体的な数値目標に落とし込み、変化球ごとの曲がり幅・落差をブルペン担当者に計測させていたという。
「ファウルで球数稼がれるだけの投球は、もう通用させへん」――この時期に颯太が漏らしたとされる一言が、当時の練習日誌の余白に書き残されている。
並行して、チームとしての改革も本格的に動き出していた。二年目の敗戦で表面化した「颯太一人に依存する脆さ」を解消するため、監督は二番手・三番手投手の育成に明確な優先順位を与え、守備陣にも専門コーチを新たに招聘している。
航もまた、颯太の投球スタイルの変化に合わせてリードの引き出しを増やす作業を続けており、二人のバッテリーとしての意思疎通は、この時点ですでに「阿吽の呼吸」と評されるまでの領域に達していた。
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なんJ実況スレ(淡海学院・三年目始動)より
1: 名無しさん@実況
淡海学院、三年目もセンバツ内定か
もう強豪校のそれやん
9: 名無しさん@実況
龍崎、冬の間も変化球の曲がり幅とか数値で管理しとるらしいで
ストイックすぎる
15: 名無しさん@実況
二番手投手の育成にもガチで力入れてるらしいな
去年の彦根工業戦の教訓生きとる
20: 名無しさん@実況
一年目は個人の才能、二年目は選抜優勝と挫折
三年目はどうなるんや
31: 名無しさん@実況
球速158まで伸びとるらしいで
去年から5キロ近く上がっとるやん
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四月、春季滋賀県大会が開幕した。三年目を迎えた淡海学院は、初戦から明確な余裕を見せる試合運びだった。二回戦では、監督の判断で颯太を五回までの登板にとどめ、六回以降は二番手投手に託すという采配が取られている。これは前年までには見られなかった試みであり、地元メディアもこの采配を「颯太依存からの脱却を意識した布石」と報じた。二番手投手は緊張しながらも要所を締め、リードを守り切って勝利に貢献している。
準々決勝・準決勝も危なげなく突破し、決勝でも打者・投手ともに危なげない内容で完投勝利。三年目にして初めて、春季大会での完全優勝を達成した。
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春の選抜大会・決勝
三月、選抜高等学校野球大会が開幕した。淡海学院にとって甲子園は三度目、選抜は二度目の舞台であり、連覇がかかった優勝候補の筆頭として大会前から注目を集めていた。
初戦から準決勝まで、颯太は投打で圧倒的な内容を披露し、危なげなく決勝進出を決めている。
迎えた決勝の相手は、これまで春・夏・秋と三度対戦してきた近江振徳高校だった。滋賀県内の実力校同士が、全国の舞台である選抜の決勝で相まみえるのは初めてのことであり、県内メディアはこの一戦を「県内因縁の完全決着」として大々的に報じている。
近江振徳の先発投手が、初回、颯太に対して選んだ初球は、真っ向勝負の直球だった。逃げない。この一球に、三年間積み重ねてきた近江振徳の意地が滲んでいた。
「今度こそ、全国の舞台で決着をつけたい」
試合前、近江振徳の監督がそう語ったと、大会プログラムに残されたインタビューに記録されている。
五回まで、両チームともに得点を許さない。近江振徳の先発投手は好投を続け、颯太も譲らない。三度負け越してきたはずの近江振徳が、この日だけは一歩も引かない投球を見せていた。
「春とはまるで別のチームや」
淡海学院のベンチで、そう漏らした選手がいたと、後年の証言に残っている。
均衡が破れたのは六回だった。カウント2―2、颯太が捉えたのは、近江振徳が最も自信を持っていたはずの決め球――外角低めへのスライダーだった。完璧に捉えた打球は、レフトスタンドまで一直線に伸びていく。
先制の一発。ベンチが沸く中、航が誰よりも先に颯太を出迎えた。
「三度目の借り、まとめて返してもらうで」
「知っとるわ、そんなん」
七回、近江振徳は反撃を試みたが、颯太の変化球の前に手も足も出ず、三者凡退に打ち取られる。八回、淡海学院打線がさらに追加点を挙げ、リードを広げた。
九回、近江振徳最後の打者を迎える。カウント1―2から、颯太が選んだのはこの試合何度も近江振徳を沈めてきたスライダーだった。低めへ鋭く曲がり落ちるボールに、バットが空を切る。
球審の右手が上がった瞬間、ベンチから選手全員がグラウンドへ飛び出した。颯太はマウンドの上で拳を突き上げ、駆け寄ってきたチームメイトたちに次々と抱きつかれる。淡海学院の選抜二連覇――そして三年間、四度に及んだ近江振徳との対戦に、全国の舞台で完全な決着がついた瞬間だった。
地元紙は「宿命の対決、ついに全国の頂で決着」という見出しでこの試合を報じている。試合後、近江振徳について問われた颯太は、こう短く語った。
「向こうがおったから、俺らもここまで来れた」
颯太個人は二年連続で大会MVPに選出された。表彰式後、「去年は『まだ半分』言うたけど、今年はどうなんかな」と問われた颯太は、少し間を置いてから答えている。
「夏、獲ってへんから、まだ半分は変わらへん」
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なんJ実況スレ(選抜決勝・淡海学院vs近江振徳)より
1: 名無しさん@実況
選抜決勝、まさかの淡海学院vs近江振徳や
県内対決を全国の決勝でやるとかできすぎやろ
15: 名無しさん@実況
近江振徳、これまで一勝二敗で負け越しとるからな
今度こそって気合入っとるやろ
34: 名無しさん@実況
六回、龍崎の一発で試合動いたな
52: 名無しさん@実況(近江振徳ファン)
三年間ずっと『いつか』って言い続けてきたけど
今日でその『いつか』は来んかったな
でも胸張ってええ試合やったと思うわ
70: 名無しさん@実況
試合終了ー
淡海学院、選抜連覇や
75: 名無しさん@実況
これで通算対戦成績、淡海学院の圧勝ってことになるな
80: 名無しさん@実況
「向こうがおったから、俺らもここまで来れた」で草
ちゃんとリスペクトしとるやん
90: 名無しさん@実況
「夏、獲ってへんから、まだ半分は変わらへん」
こいつまじで夏獲る気しかないな
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選抜連覇という結果は、淡海学院という学校の立ち位置をさらに一段階押し上げることになった。もはや「番狂わせを起こしうる新興校」ではなく、「打倒すべき絶対王者」として、県内のすべての高校から明確に照準を合わせられる存在になっていたのである。
とりわけ、前年の夏の滋賀大会で淡海学院を準々決勝で下した彦根工業高校は、この一年、対策により深く力を注いでいたとされる。一方の淡海学院も前年の敗戦を教訓に明確な変化を遂げていた。守備陣の連携ミスはほとんど見られなくなり、二番手・三番手投手の実戦経験も着実に積み上がっている。「颯太が投げれば勝てる」という一年前・二年前の空気は、この三年目にはほとんど残っていなかったと、当時の部員は振り返っている。
七月、全国高等学校野球選手権滋賀大会が開幕した。連覇候補の筆頭としてシード校となった淡海学院は、初戦から圧倒的な内容で勝ち上がりを見せる。
迎えた準決勝、相手は前評判どおり彦根工業高校だった。同校は前年と同様、颯太との真っ向勝負を避ける方針を継続していたが、この日の淡海学院の対応は前年とは明確に異なっていた。颯太は際どい球で無理に空振りを狙うのではなく、あえてストライクゾーンの甘めのコースにも速球を投げ込み、早いカウントで打者を追い込む組み立てに切り替えている。颯太が四球で歩かされる場面でも、後続の打者が確実に長打で応え、得点を重ねた。前年は「颯太を封じれば試合を封じられる」という前提が成り立っていたが、この試合ではその前提そのものが崩れていた。
七回、颯太に球威の陰りが見え始めたところで、監督はためらわず継投を選択した。前年、経験不足から逆転を許した二番手投手は、この一年で確実に力をつけており、落ち着いた投球で後続を無失点に抑えている。淡海学院は前年の雪辱を果たす形で決勝進出を決めた。
試合後、彦根工業の主将は「去年よりさらに強くなっていた。付け入る隙がどこにもなかった」と取材に語っている。決勝は県内中堅校が相手となり、淡海学院は序盤から圧倒的な内容で試合を進め、コールド勝ちに近い大差で一年ぶりの夏の滋賀大会優勝を果たした。
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なんJ実況スレ(夏の滋賀大会準決勝・淡海学院vs彦根工業)より
1: 名無しさん@実況
リベンジマッチ、淡海学院vs彦根工業や
14: 名無しさん@実況
彦根工業また際どい球見送り作戦きたか
20: 名無しさん@実況
でも龍崎、今年は甘い球も普通に投げ込んどるな
去年より変化球がエグい
28: 名無しさん@実況
下位打線もちゃんと得点しとるやん
龍崎封じても試合封じられへんくなっとる
36: 名無しさん@実況
七回で継投したな
去年のトラウマ克服しとるやん
58: 名無しさん@実況(彦根工業ファン)
「付け入る隙がどこにもなかった」って主将のコメント、悔しいけど完全に事実やわ
64: 名無しさん@実況
このチーム、去年より確実に強くなっとるわ
夏の甲子園も期待できそうやな
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夏の甲子園・決勝
創部からわずか四年、淡海学院にとって二度目の夏の甲子園出場が決まった。大会前、メディアの論調は明確だった。選抜での二連覇という実績を引っさげながら、淡海学院はもちろん、滋賀県勢そのものが、夏の甲子園において一度も頂点に立ったことがない――この事実が、大会前の特集記事のほぼすべてで取り上げられている。
「選抜は二連覇したが、真の意味で価値が重いとされる夏はまだ」という論調は、地元紙のみならず全国紙にも共通していた。
初戦から準決勝まで、颯太は投打で圧倒的な内容を披露し、危なげなく決勝進出を決めている。特に準々決勝の四国地方の強豪校戦は七回まで無得点に抑え込まれる苦しい展開となったが、八回に下位打線の粘りが実を結んで逆転しており、大会を通じて最も苦しい一戦として後年語られることになる。
迎えた決勝の相手は、全国優勝経験を複数回持つ名門・帝都学園だった。東京都内屈指の伝統校であり、選手層の厚さ、投手陣の完成度ともに、この夏最有力の優勝候補と目されていたチームである。
決勝前日、地元紙は紙面を丸ごとこの一戦に割いた。県内のOBの一人が寄せたコメントが、その紙面の中心に据えられている。
「滋賀県は甲子園の歴史の中で、いつも『あと一歩』だった。その一歩を、今度こそ超えてほしい」
これは単なる一つの高校の決勝ではなかった。滋賀県が長年背負い続けてきた「あと一歩」を、今日という一日にすべて託す舞台になっていた。
試合は決勝という舞台にふさわしい緊迫した内容となった。帝都学園の先発投手は好投を続け、五回まで淡海学院打線を無失点に抑える。颯太も譲らず、五回までゼロ行進を続けた。
スタンドを埋めた滋賀県からの応援団の間には、誰からともなく、声を出さずに祈るような沈黙が広がっていたという。
均衡が破れたのは六回だった。颯太が自ら放った一振りが、右中間を深々と割る先制の三塁打となる。続く打者の犠牲フライで、待ち望んだ先制点が入った。
三塁ベース上で、颯太は小さくグラウンドの土を握りしめた。まだ、何も終わっていない。それでも、確かに一歩、動いた。
七回、帝都学園も反撃を試みるが、颯太の変化球の前にことごとく手が出ず、三者凡退に抑えられる。八回、淡海学院打線がさらに追加点を挙げ、リードを二点に広げた。
九回表、帝都学園は一発逆転を狙って上位打線をぶつけてきた。先頭打者への初球、颯太の直球はまだ球威を失っていなかった。二者連続で三振を奪い、迎えた最後の打者――帝都学園の四番、この夏ここまで無敗記録を支えてきた男だった。
カウント1―2。帝都学園ベンチも、淡海学院ベンチも、誰一人として声を出さなかった。打者は一度、大きく息を吐いてバッターボックスに戻る。
颯太が投じたのはスプリットだった。打者の目には、直球と寸分違わぬ軌道に見えていたはずだ。踏み込み、バットを振り出す。だがボールは打者の手前でふっと力を失い、バットの下をすり抜けていった。
一拍の静寂のあと、球審の右手が上がると同時に、甲子園全体が地鳴りのような歓声に包まれた。
淡海学院の夏の甲子園初優勝、そして滋賀県勢としても悲願の初優勝が、この瞬間、同時に決定した。選抜と合わせた春夏連覇の達成である。
颯太はマウンドの上で、両手を突き上げたまま動けずにいた。チームメイトが駆け寄ってくるまでの数秒間、彼の目に映っていたのは、スタンド全体で沸き立つ滋賀県からの応援団の姿だった。長年「あと一歩」と言われ続けてきた場所に、たった今、自分たちが立っている。
颯太個人は、この大会でも大会MVPに選出された。選抜・選手権の二冠、そして二年連続でのMVP獲得という、高校野球史上でも類を見ない実績を打ち立てたことになる。表彰式後の取材で、颯太は少し間を置いてから、こう語った。
「これで、やっと『半分』が終わった」
そして続けて、こう付け加えている。
「でも、これで満足するつもりはない」
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なんJ実況スレ(夏の甲子園決勝・淡海学院vs帝都学園)より
1: 名無しさん@実況
決勝、淡海学院vs帝都学園やな
滋賀県勢、悲願の夏制覇なるか
45: 名無しさん@実況
六回、龍崎の三塁打で先制やんけ
70: 名無しさん@実況
七回三者凡退、変化球でねじ伏せとるな
99: 名無しさん@実況
九回表、帝都学園上位打線ぶつけてきたで
最後の山場や
110: 名無しさん@実況
三振ー!!!
111: 名無しさん@実況
試合終了ー
淡海学院、夏の甲子園初優勝やあああああ
112: 名無しさん@実況
滋賀県勢、悲願の夏制覇やああああ
待ちに待ったこの瞬間や
120: 名無しさん@実況
龍崎、二年連続MVPとか意味わからん記録作っとるな
125: 名無しさん@実況
「これで、やっと『半分』が終わった」で泣いた
128: 名無しさん@実況
「でも、これで満足するつもりはない」
まだ上見とるのかこいつ
138: 名無しさん@実況
無名の新設校が四年で日本の頂点に立った瞬間、リアルタイムで見れて幸せやったわ
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夏の甲子園優勝の余韻も冷めやらぬ中、颯太のもとには三度目となる高校日本代表候補としての招集がかかった。航もまた三度目の代表選出を果たしている。
国際大会本番、颯太は開幕から圧倒的な内容を見せた。準決勝では、二年前に颯太たちを苦しめた「際どい球を徹底して見送る」戦術を得意とする強豪国と再戦し、この年培った「対策への対策」でこれを冷静に打ち破っている。
迎えた決勝の相手は、二年前、颯太たちが敗れた優勝候補筆頭の強豪国代表だった。雪辱を懸けた再戦。颯太は序盤から力の入った投球を見せ、五回まで無失点、打者としても先制本塁打を放つ。二年前は六回に一挙に失点を重ねて主導権を渡したが、この年は違った。九回、最後の打者を三振に仕留めた瞬間、高校日本代表の優勝が決定し、颯太は大会MVPにも選出されている。
試合後、颯太はこう語った。
「中学の時は『打たれる気がしなかった』って言うたけど、あの感覚がやっと戻ってきた気がする」
決勝終了後、航と短く言葉を交わす場面もあったという。航が「今日の投球、完璧やったな」と声をかけると、颯太は「お前が組み立ててくれたからや」とだけ返したとされる。中学時代から積み重ねてきたバッテリーとしての信頼関係が、一つの完成形として結実した瞬間だった。
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三年目のシーズンは、颯太にとってもチームにとっても、これまでの二年間で積み上げてきたすべてが結実する一年となった。春季滋賀県大会・選抜大会・夏の滋賀大会・夏の甲子園・国際大会――そのすべてで頂点に立つという、高校野球史上でも類を見ない結果を残している。
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三年目・主要成績まとめ
- 春季滋賀県大会:優勝
- 春の選抜大会:優勝(選抜二連覇)、二年連続大会MVP
- 夏の滋賀大会:優勝
- 夏の甲子園:初優勝(滋賀県勢として悲願の初優勝、春夏連覇達成)、大会MVP
- 高校日本代表:選出、国際大会優勝、大会MVP
颯太個人成績
- 投手成績:年間を通じて防御率0点台を維持。夏の甲子園・国際大会という最大の舞台でも安定した投球を披露し、「打たせない投球」がほぼ完成の域に達したと評価される
- 打撃成績:年間を通じて打率5割前後を維持しつつ、パワーの向上により長打率もさらに上昇
- 主要タイトル(三年目単年):春季大会優勝、選抜優勝・大会MVP、夏の滋賀大会優勝、夏の甲子園優勝・大会MVP、日本代表優勝・大会MVP
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創部からわずか四年での春夏連覇、そして滋賀県勢としての夏の甲子園悲願の初優勝という結果は、淡海学院というチームの立ち位置を決定的に変えることになった。一年目、練習試合の申し込みすら断られていた無名の新設校は、この三年間で、県内はおろか全国区の強豪校として完全に定着していたのである。
担当コーチの一人は、颯太たちの卒業を前にした取材に対し、こう語っている。
「颯太たちが作ったのは、一時的な強いチームじゃない。個人の力に頼らない野球、データを自分で管理する姿勢、そういうものを含めた『文化』そのものを、この三年間でこの学校に根付かせてくれた」
かつて練習試合の申し込みすら断られていた近江振徳・彦根工業といった県内の伝統校も、この三年間の対戦を経て、淡海学院を明確に「同格、あるいはそれ以上の存在」として認める姿勢に変わっていた。白紙のキャンバスから始まったこの学校は、四年という短い期間で、滋賀県における新たな野球の中心地の一つへと姿を変えていた。
卒業・進路を控えた颯太のもとには、プロ野球のスカウトが連日のように視察に訪れていたと、当時の学校関係者は証言している。投打両面で完成度を高めた颯太に対する評価は、ドラフト解禁を待たずしてすでに「文句なしの一位候補」でほぼ一致していたと、複数の球団関係者が後年のインタビューで振り返っている。
卒業式を控えたある日、後輩部員たちに向けて颯太が残した言葉が、当時の部内記録として残っている。
「実績がないなら、これから作ればいい――中学の時、俺はそう言ってこの学校を選んだ。お前らはもう、実績のある学校の後輩や。今度はお前らが、その実績を守って、超えていく番や」
短いが、颯太らしい直接的な言葉だった。それまでビッグマウスと評されてきた颯太の発言の中でも、この一言は、後輩たちへの餞として、部内で長く語り継がれることになる。
こうして、無名の新設校を舞台に始まった颯太の高校三年間は、春夏連覇・県勢悲願の夏制覇・日本代表優勝という、これ以上ないほどの結果をもって幕を閉じた。白紙のキャンバスに描かれたこの三年間の軌跡は、颯太個人の物語であると同時に、一つの高校、そして一つの県の野球史そのものを塗り替えた記録として、これから先も長く語り継がれていくことになる。
そして颯太の物語は、次のステージへと進んでいく。
(第四章 了)