※前年終盤の伸びしろを反映。パワー・変化球のキレは依然発展途上だが、改善の兆しが数値にも表れ始めている
打撃
弾道:3
ミート:A
パワー:C(引き続き最優先課題、オフに本格的なウエイト強化へ着手)
走力:C
肩力:A
守備:C
投球
球速:158km/h
コントロール:C→B(改善)
スタミナ:B
球種:直球・カーブ(実戦レベル)/ スライダー(発展途上→実戦レベルへ移行中)/ スプリット・チェンジアップ(発展途上)
新人王を満場一致で獲得した颯太だったが、オフに入ってからの過ごし方は、栄誉に浸るものとは程遠かった。
打撃コーチとの面談で正式に言語化された「パワー不足」という課題は、颯太自身のうちでも、すでに動かしがたい現実として受け止められていた。オフの自主トレーニングでは、例年以上にウエイトルームで過ごす時間が増加し、担当トレーナーによれば「体幹と下半身の連動を作り直す」ことに重点を置いたメニューが組まれたという。
投手としても、颯太は変化球のキレという一年目最大の壁と向き合い続けていた。ブルペンでの投げ込みでは、一球ごとの曲がり幅と落差をノートに記録するという、高校二年目の冬から続く習慣がこの年もそのまま継続されている。担当の投手コーチは、「去年の後半、スライダーには確かに手応えがあった。あれをシーズン通して安定させる、それがまず最初の目標や」と評したと記録されている。
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なんJ実況スレ(六甲ブレーブス・オフのキャンプ情報)より
1: 名無しさん@実況
龍崎、オフもガチでウエイトやっとるらしいな
9: 名無しさん@実況
新人王獲ってもストイックさ変わらんのか
17: 名無しさん@実況
去年の後半、スライダーだけは急に良くなっとったよな
あれが年間通して続けば化けるやろ
24: 名無しさん@実況
打つ方も長打力ついてきたらもう手つけられんぞ
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プロ二年目・レギュラーシーズン
四月、リーグ開幕。颯太は前年同様、開幕から一軍のスタメンに名を連ねた。
打者としては、シーズン序盤からその変化がはっきりと数字に表れ始めていた。持ち前のミート技術に、オフで鍛え上げたパワーが加わったことで、単打が長打に変わる場面が目に見えて増えていく。四月終了時点で、前年の年間本塁打数にすでに迫る勢いを見せており、地元紙は「アベレージヒッターからパワーヒッターへ」という見出しでこの変化を報じている。
投手としても、着実な進化がうかがえた。スライダーは前年終盤の水準を維持したまま安定し、加えてスプリットにも実戦で通用する精度が備わり始めていた。狙い撃たれる場面は前年と比べて明確に減少し、防御率もシーズンを通じて安定した数字を刻んでいく。
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なんJ実況スレ(龍崎颯太・二年目序盤)より
1: 名無しさん@実況
龍崎、二年目から早速長打増えてきたな
8: 名無しさん@実況
オフのウエイトが早速効いとるやん
15: 名無しさん@実況
投げる方もスプリットが実戦で使えるようになってきたらしいで
22: 名無しさん@実況
去年の課題二つとも同時に潰しにきとるやん、こいつ
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六甲ブレーブスというチーム全体も、颯太の成長と歩調を合わせるように勢いを増していた。前年のAクラス復帰で得た自信が土台となり、投打の主力が軒並み好調を維持。シーズン中盤にはリーグ首位を独走する展開となり、地元・六甲園球場は連日満員の観客で埋め尽くされたと球団関係者は振り返っている。
夏場を過ぎても六甲の勢いは衰えることなく、颯太自身も打者としてリーグ本塁打数上位、投手としても防御率上位に食い込む数字を残し続けた。九月、六甲ブレーブスはマジックナンバーを点灯させ、シーズン終盤の一戦でついにセ・リーグ優勝を決定させている。長年低迷を続けてきた古豪にとって、久方ぶりのリーグ制覇だった。
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なんJ実況スレ(六甲ブレーブス・セ・リーグ優勝決定)より
1: 名無しさん@実況
六甲、リーグ優勝決めたああああ
9: 名無しさん@実況
何年ぶりや、これ
球団史に残る快挙やろ
17: 名無しさん@実況
龍崎入団二年目でリーグ優勝とか出来すぎやろ
25: 名無しさん@実況
六甲園、今日は朝から異常な熱気やったらしいな
33: 名無しさん@実況
これでいよいよCSか
リーグ優勝やしファーストステージ免除やな
40: 名無しさん@実況
ファイナルステージ勝ったら日本シリーズ、相手は当然博多やろな
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クライマックスシリーズ・ファイナルステージ
セ・リーグ優勝を果たした六甲ブレーブスは、レギュラーシーズン2位・3位球団によるファーストステージを免除され、クライマックスシリーズ・ファイナルステージから出場する権利を得た。ファイナルステージはリーグ優勝球団の本拠地で行われる最大6試合制で、優勝球団には1勝のアドバンテージが与えられる方式である。
ファーストステージを勝ち上がってきた相手は、セ・リーグ2位に食い込んだ東京インペリアルズだった。リーグ最多優勝を誇る名門・金満球団であり、選手層の厚さでは六甲を上回るとも評される強豪である。
アドバンテージにより1勝を先取した状態で迎えた第一戦、颯太は先発のマウンドに立ち、力強い投球で東京打線を五回まで無失点に抑える。打者としても長打を放ち、危なげなく勝利を収めて実質2勝目を確保した。
続く第二戦は接戦となり、颯太が先発しないこの試合で東京インペリアルズが意地の一勝を返す。それでも第三戦、颯太が打者として勝ち越しの一打を放ち、投手陣も終盤を締めて勝利し、実質3勝目とした。
迎えた第四戦、颯太は連戦の疲労を感じさせない投球で東京打線を要所で封じ込み、七回を無失点に抑える。打線もこの試合で追加点を重ね、危なげなく快勝。アドバンテージと合わせて4勝目に到達し、ファイナルステージを突破。二年目にして早くも日本シリーズ進出を決めている。
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なんJ実況スレ(クライマックスシリーズ・六甲ブレーブス日本シリーズ進出)より
1: 名無しさん@実況
六甲、CSファイナルステージ突破や
9: 名無しさん@実況
アドバンテージ生かして危なげなく勝ったな
17: 名無しさん@実況
去年はCSファーストステージで負けとったのに
今年はもう日本シリーズかよ
25: 名無しさん@実況
これでいよいよ榊原とのガチ対決やな
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日本シリーズ・初対決
パ・リーグを制したのは、この年も博多サンダーズだった。榊原航は正捕手としてほぼフルシーズンを一軍で過ごし、若手ながらチームの女房役としての地位を確立しつつあった。
六甲ブレーブスと博多サンダーズ――颯太と航、中学からの相棒にして生涯のライバルが、初めてプロの公式戦、それも日本シリーズという最大の舞台で相まみえることになった。この対戦カードが決まった瞬間、両者の出身地である滋賀のみならず、全国的な注目を集める一戦として大々的に報じられている。
第一戦(六甲園球場)
シリーズの舞台は、まず六甲ブレーブスの本拠地・六甲園球場に整えられた。開幕前から連日満員となっていたスタンドは、この日、球団史上でも記憶に残る熱狂に包まれていたと当時の関係者は振り返っている。
先発マウンドには颯太が上がった。序盤は互いに慎重な立ち上がりとなり、一回・二回とも両チーム無得点のまま経過する。均衡が破れたのは三回だった。二死一塁、颯太が投げ込んだ外角低めのスライダーを、航が完璧なタイミングで捉える。打球は右中間を深々と破る適時二塁打となり、先制点をもたらした。中学から颯太の球を誰よりも受けてきた男が、プロの舞台で初めて颯太から結果を残した瞬間だった。
それでも颯太は動じることなく、四回以降は変化球主体の組み立てで博多打線を封じ込んでいく。打者としても、六回に低めの直球を掬い上げるようにして左中間へ運ぶ同点の適時打を放ち、さらに八回には勝ち越しとなる長打で自らチームを援護。九回を投げ切り、8回2失点、自身の一打も絡めて六甲が接戦をものにした。
第二戦(六甲園球場)
颯太が先発しなかった第二戦は、序盤から両チームの主力が持ち味を発揮する打撃戦となった。航はこの試合でも初回から鋭い当たりを飛ばし続け、複数安打を記録。六甲投手陣を相手にコンスタントに結果を残している。それでも六甲打線がわずかに上回り、終盤の一点差をそのまま守り切って辛くも勝利。シリーズを2連勝とした。
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なんJ実況スレ(日本シリーズ・龍崎vs榊原・第一戦第二戦)より
1: 名無しさん@実況
六甲、まず二連勝や
9: 名無しさん@実況
榊原、初対決の第一戦からいきなり打っとるやん
17: 名無しさん@実況
中学からの相棒やし配球読まれとるんちゃうか
25: 名無しさん@実況
逆に龍崎も打者として仕事しとるし
これぞ二刀流対決って感じやな
33: 名無しさん@実況
このまま六甲がそのまま押し切りそうな空気やな
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第三戦・第四戦(博多サンダードーム)
舞台は敵地・博多サンダードームに移った。二連敗で後がなくなった博多サンダーズは、ここから本来の常勝軍団らしい底力を発揮する。
第三戦、颯太が先発しなかったこの試合で、博多打線は序盤から畳みかける攻撃を見せた。航もこの試合で本塁打を含む二安打を記録し、チームの猛攻を牽引。六甲投手陣は序盤の失点を最後まで取り返せず、大差での敗戦となった。
続く第四戦も、博多のペースで試合が進んだ。航はこの試合でも安打を重ね、シリーズ打率をさらに引き上げている。六甲打線は好機を作りながらも決定打を欠き、僅差のまま敗戦。二試合を終えてシリーズは2勝2敗の五分に戻された。
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なんJ実況スレ(日本シリーズ・博多二連勝で五分に)より
1: 名無しさん@実況
博多、地元でしっかり二連勝してきたな
さすが常勝軍団や
9: 名無しさん@実況
榊原、この二試合でも普通に打っとるやん
シリーズ通してずっと打率高いな
17: 名無しさん@実況
六甲も龍崎不在の試合はやっぱり苦しいか
25: 名無しさん@実況
これ第七戦までもつれ込みそうやな
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第五戦(博多サンダードーム)
迎えた第五戦、颯太は中三日での先発登板となった。連日の熱気で埋め尽くされたアウェーのドームで、颯太は立ち上がりから丁寧なコース攻めを続け、五回まで無失点に抑える投球を披露する。試合は終盤までもつれる接戦となり、七回を終えて同点という緊迫した展開が続いた。
八回、この試合最大の山場が訪れる。一死二、三塁、打席には航。颯太にとって、シリーズを大きく左右する一打席だった。
颯太は初球、際どい外角低めへ直球を投げ込みストライクを先取する。続く二球目、三球目は変化球でボールゾーンを突き、航にファウルで粘られながらもカウントを整えていった。迎えた五球目、颯太が選んだのはインコースへの直球。しかし、わずかに甘く入ったこの一球を、航は見逃さなかった。バットの芯で捉えられた打球は左中間を鋭く抜け、逆転の二点適時打となる。プロの舞台で初めて、颯太は勝負所で航に打たれることになった。
このまま試合は博多ペースで進み、六甲は反撃及ばず敗戦。シリーズは2勝3敗と、博多が再び優位に立った。
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なんJ実況スレ(日本シリーズ第五戦・龍崎、勝負所で榊原に屈す)より
1: 名無しさん@実況
八回一死二三塁、龍崎vs榊原、震える場面や
15: 名無しさん@実況
インコースの直球、僅かに甘かったな
20: 名無しさん@実況
やられたああああ
逆転の二点タイムリーや
28: 名無しさん@実況
榊原、プロ初対決からずっと打ち続けとるやん
これもう完全に龍崎の苦手キャラやろ
35: 名無しさん@実況
シリーズ後がなくなったな
第六戦どうなるんや
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第六戦(六甲園球場)
舞台は再び六甲園球場に戻った。王手をかけられた六甲は、後のない戦いに臨む。颯太は先発しなかったが、打者として初回から気迫のこもった打撃を見せ、二安打を記録。それでも投手陣が終盤に博多打線の集中打を浴び、僅差で試合を落とす。
航はこの最終戦でも安打を放ち、シリーズを通じて四割を超える打率を記録。日本シリーズは博多サンダーズの日本一という結果に終わり、航はシリーズMVPに選出されている。
試合後、颯太は多くを語らなかったが、後年のインタビューでこの一戦を振り返り、「あいつに一番大事な場面で打たれたんは、正直めちゃくちゃ悔しかった。でも同時に、やっぱりあいつはすごいなって、素直に思った」と語っている。
グラウンドで交わされた短いやりとりも、当時の関係者の証言として残っている。航が「悪いな、今日は勝たせてもらった」と声をかけると、颯太は「次は絶対打たれへん」とだけ返したという。
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なんJ実況スレ(日本シリーズ・博多サンダーズ日本一)より
1: 名無しさん@実況
博多、日本一やあああ
9: 名無しさん@実況
榊原、シリーズMVPか
龍崎から決勝打とか出来すぎやろ
17: 名無しさん@実況
六甲はリーグ優勝だけでも十分すごいけどな
25: 名無しさん@実況
龍崎の「次は絶対打たれへん」で草
負けず嫌いすぎる
33: 名無しさん@実況
これ来年以降の因縁の伏線やんけ
40: 名無しさん@実況
二人ともまだ若いのにもう歴史作っとるわ
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――――――――――
プロ二年目・主要成績まとめ
- 六甲ブレーブス:セ・リーグ優勝(数年ぶりのリーグ制覇)
- 日本シリーズ:博多サンダーズに敗戦(2勝4敗)、榊原航がシリーズMVP
颯太個人成績(打者)
- 出場:143試合
- 打率:.318
- 本塁打:22
- 打点:81
- 長打率:.542
颯太個人成績(投手)
- 登板:24試合(すべて先発)
- 投球回:158回
- 防御率:2.94
- 勝敗:15勝6敗
- 奪三振:187
- 四球:41
主要タイトル
- リーグ優勝への貢献が評価され、シーズンMVP投票では次点。日本シリーズでの航への敗戦が、シーズン総括において唯一の心残りとして報じられる
――――――――――
リーグ優勝という結果を残しながらも、颯太にとって二年目シーズンの終わり方は、素直に喜べるものではなかった。日本一に最も近づきながら、しかも他の誰でもない航によって決定的な場面で打たれたという事実は、颯太のうちに新しい種類の悔しさを残すことになった。
シーズンオフ、颯太は自らの練習メニューを大幅に見直している。打撃面では、さらなるパワーアップを目標に掲げ、ウエイトの負荷を前年以上に引き上げた。投手としては、スライダー・スプリットの精度をさらに高めると同時に、長らく発展途上のまま残されていたチェンジアップの実戦投入にも本格的に着手している。
「打つ方も投げる方も、まだ半人前」――一年目の納会で残したこの言葉を、颯太はこのオフ、担当コーチの前で改めて口にしたという。二年連続で似た言葉を繰り返す颯太に対し、担当コーチは「あいつは満足するっていう感覚自体がないんやろうな」と評したと記録されている。
――――――――――
なんJ実況スレ(龍崎颯太・二年目オフの調整)より
1: 名無しさん@実況
龍崎、日本シリーズの悔しさ引きずってオフも猛練習らしいな
8: 名無しさん@実況
チェンジアップも実戦投入目指しとるって
これで全部揃うやん
15: 名無しさん@実況
榊原に打たれたのがよっぽど堪えたんやろな
22: 名無しさん@実況
三年目、洒落にならんくらい仕上がってきそうやわ
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龍崎颯太 プロ三年目シーズン開始時ステータス
※二年目終盤からオフにかけての強化を反映。投打ともに、いよいよ高校三年目終盤に近い完成度へ
打撃
弾道:3→4(上昇)
ミート:A
パワー:C→B(上昇)
走力:C
肩力:A
守備:C
投球
球速:158km/h→160km/h(上昇)
コントロール:B→A(上昇)
スタミナ:B→A(上昇)
球種:直球・カーブ・スライダー・スプリット・チェンジアップ(すべて実戦レベルに到達)
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プロ三年目・レギュラーシーズン
三年目のキャンプ、颯太の変化は誰の目にも明らかだった。打撃練習では、これまでとは明確に違う打球音が響き、担当コーチは「もう去年までのパワー不足って言葉が、過去のものになりつつある」と評している。投球練習でも、五種類すべての球種がキャッチャーミットに小気味よい音を立てて収まる場面が続き、球団内では「ようやく高校時代の完成形にプロの体が追いついてきた」という声が上がっていたという。
四月、リーグ開幕。颯太は開幕投手を任されるまでの存在に成長していた。開幕戦、颯太は自ら本塁打を放ちながら好投を続け、チームを白星でスタートさせている。
シーズンを通じて、颯太の数字はもはや「新人」の枕詞を必要としないものになっていた。打者としては本塁打数・打点ともに前年を上回るペースで推移し、投手としても防御率は自己最高を更新し続ける。夏場を過ぎる頃には、投打二冠のタイトル争いに颯太の名前が挙がるようになっていた。
――――――――――
なんJ実況スレ(龍崎颯太・三年目シーズン中盤)より
1: 名無しさん@実況
龍崎、投打二冠あるんちゃうかこれ
9: 名無しさん@実況
去年までのパワー不足って言葉、もう完全に過去やな
17: 名無しさん@実況
投げる方も球種全部実戦レベルになったらしいで
もう隙がないやん
25: 名無しさん@実況
これで山本由伸の制球+大谷の球速って言われとる意味わかったわ
33: 名無しさん@実況
チームも独走態勢やしとんでもないシーズンになりそうやな
――――――――――
六甲ブレーブスもまた、颯太を中心に他球団を寄せ付けない強さを見せていた。九月には早々にマジックナンバーを点灯させ、前年に続くセ・リーグ連覇を決定。地元紙は「二年連続の頂点、しかし本当の目標はその先に」という見出しで、まだ手にしていない日本一への期待を書き添えている。
――――――――――
なんJ実況スレ(六甲ブレーブス・セ・リーグ連覇決定)より
1: 名無しさん@実況
六甲、二年連続リーグ優勝や
9: 名無しさん@実況
去年は日本シリーズで榊原に泣かされたからな
今年こそって感じやろ
17: 名無しさん@実況
博多も強いままやろうし、また対決濃厚やな
25: 名無しさん@実況
龍崎の「次は絶対打たれへん」の答え合わせが見れるんか
――――――――――
クライマックスシリーズ・ファイナルステージ
二年連続でセ・リーグを制した六甲ブレーブスは、この年もファーストステージを免除され、1勝のアドバンテージを携えてファイナルステージに臨んだ。
相手はファーストステージを勝ち上がった広島クリムゾンズ。地元密着・生え抜き重視の育成型球団として知られ、勢いに乗った若手選手を中心に前評判を覆す戦いを見せてきた球団である。
アドバンテージにより1勝を先取した状態で迎えた第一戦、颯太は先発として登板し、五回まで無安打投球を続ける圧巻の内容で快勝。実質2勝目を確保した。続く第二戦も六甲打線が序盤から広島投手陣を攻略し、危なげなく勝利。実質3勝目とした。
迎えた第三戦、颯太が先発しないこの試合でも、六甲打線は広島投手陣を序盤から攻略。危なげなく勝利を収め、アドバンテージと合わせて4勝目に到達した。3試合でファイナルステージを突破し、三年連続となる日本シリーズ進出を決定づけている。
――――――――――
なんJ実況スレ(クライマックスシリーズ・六甲ブレーブス三年連続日本シリーズ進出)より
1: 名無しさん@実況
六甲、CSも危なげなく突破したな
9: 名無しさん@実況
アドバンテージ生かして三戦で終わらせたか
17: 名無しさん@実況
これでいよいよ雪辱の日本シリーズやな
25: 名無しさん@実況
龍崎、去年の借り返す準備万端って感じやわ
――――――――――
日本シリーズ・雪辱の舞台
パ・リーグはこの年も博多サンダーズが制し、二年連続で六甲ブレーブスと博多サンダーズの対戦が実現した。榊原航はこの年も正捕手としてフルシーズンを戦い抜き、チームの中軸打者としても数字を伸ばしていた。
「龍崎vs榊原、雪辱の第二幕」――開幕前、スポーツ紙各紙はこぞってこの見出しでシリーズを煽った。
第一戦(六甲園球場)
シリーズは前年と同じく、六甲ブレーブスの本拠地・六甲園球場で幕を開けた。先発マウンドには颯太。序盤から気迫のこもった投球を見せ、三回まで博多打線を無安打に抑え込む。
それでも航だけは違った。四回、颯太の投げたスプリットにわずかに詰まりながらも、しぶとくバットを合わせて内野安打で出塁。前年と変わらぬ勝負強さを、この日も見せつけている。
颯太は動じることなく試合を作り続け、七回を2失点にまとめる好投を披露した。打者としても六回に勝ち越しとなる適時打を放ち、八回にはダメ押しの一打を追加。チームを僅差の勝利に導いた。
第二戦(六甲園球場)
颯太が先発しなかった第二戦、博多は序盤から積極的な打撃を見せ、航も二安打を記録するなど気を吐いたが、六甲投手陣が終盤に踏ん張り、僅差で逃げ切った。
第三戦(博多サンダードーム)
舞台を敵地・博多サンダードームに移した第三戦、颯太が先発しなかったこの試合では博多の地の利が生き、航も三安打の固め打ちで打線を牽引。六甲は序盤のビハインドを最後まで跳ね返せず、敗戦。二試合を終えてシリーズは2勝1敗となった。
――――――――――
なんJ実況スレ(日本シリーズ・序盤三試合終了時点)より
1: 名無しさん@実況
榊原、今年も普通に打っとるやん
去年から全然衰えとらんな
9: 名無しさん@実況
龍崎登板試合は勝って、そうじゃない試合は星星分け合っとる感じか
17: 名無しさん@実況
地元紙が「龍崎にとって唯一の相性の悪い相手」って書いとったな
それでもシリーズは六甲優位なの草
25: 名無しさん@実況
第四戦、龍崎また先発らしいで
去年の借り返す番や
――――――――――
第四戦(博多サンダードーム)
迎えた第四戦、颯太は中三日での先発登板となった。試合は終盤までもつれる緊迫した投手戦となり、両チームともに決定打を欠いたまま九回を迎える。
九回裏、一死満塁というシリーズ最大の山場を六甲が迎えた。打席には航。前年、まさにこの場面で颯太は決定的な一打を許していた。
颯太は初球、外角低めへ直球を投じてストライクを先取する。二球目は際どいインコースへの直球で航に見送らせ、カウントを整えた。三球目、四球目とファウルで粘られながらも、颯太は表情を変えることなくコースへ投げ分け続ける。フルカウントからの最後の一球、颯太が選んだのは磨き上げたスプリットだった。低めへ鋭く落ちる軌道に、航のバットが空を切る。三振。
試合はそのままサヨナラのないまま延長戦にもつれ込んだ。博多サンダードームでの開催のためDH制が適用され、颯太はこの試合、打席には立たずマウンドに専念する形となっている。延長十回もそのまま続投した颯太は、その裏を三者凡退に抑える力投を披露。迎えた十一回表、六甲は下位打線から出た一打で勝ち越しに成功し、颯太はその裏を再び無失点に抑えて試合を締めくくった。劇的な接戦の末、シリーズを3勝1敗とする。
――――――――――
なんJ実況スレ(日本シリーズ第四戦・龍崎vs榊原の決着)より
1: 名無しさん@実況
一死満塁、龍崎vs榊原、去年と同じ場面来たああ
8: 名無しさん@実況
初球ストライク、二球目見逃し、これ完全に配球で追い込んどるな
15: 名無しさん@実況
フルカウントや、震えるわ
20: 名無しさん@実況
三振ー!!!
去年の借り返したああああ
28: 名無しさん@実況
榊原、シリーズ通してずっと打っとったのにここだけ抑えられたな
35: 名無しさん@実況
博多本拠地やしDH適用で龍崎自身は打席立てんのか
36: 名無しさん@実況
その分投げることだけに専念して延長二回も無失点とか化け物や
38: 名無しさん@実況
最後は下位打線が決めたか
チーム全体で勝ち取った勝利って感じやな
42: 名無しさん@実況
「次は絶対打たれへん」有言実行で草
48: 名無しさん@実況
榊原からコンスタントに打たれつつ、勝負所だけは絶対抑える
これもう完全に主人公のメンタルやろ
――――――――――
第五戦(博多サンダードーム)
王手をかけられた博多サンダーズは、第五戦、後のない意地を見せた。颯太が先発しなかったこの試合、博多打線は初回から畳みかける攻撃を展開し、航も長打を含む活躍で試合を決定づける。六甲は反撃及ばず敗戦し、シリーズは3勝2敗となった。
第六戦(六甲園球場)
舞台は再び六甲園球場に戻った。颯太は中三日での先発登板を志願し、自ら決着をつける投球を披露する。
この試合でも航は序盤にヒットを放ち、シリーズを通じての勝負強さを最後まで崩さなかった。それでも颯太は動じることなく試合を作り続け、五回には勝ち越しとなる本塁打を自ら放って流れを引き寄せる。
七回、八回と危なげなく凌いだ颯太は、九回二死、最後の打者を三振に仕留めた。その瞬間、六甲ブレーブスの日本一、そして颯太自身にとってプロ入り後悲願の日本一が決定した。颯太はシリーズMVPに選出され、投打両面での圧倒的な実績が、この舞台でも証明される結果となった。
試合後、グラウンドで航と言葉を交わす場面があったと、当時の関係者は証言している。航が「シリーズ通してずっと打っとったのに、大事なとこだけ全部抑えられたわ」と苦笑いを見せると、颯太は「お前に打たれた分は、他のとこで全部返す。それでチャラや」と返したという。中学時代から積み重ねてきた、互いを認め合う関係性を象徴する一幕として、この会話は後年たびたび引用されることになる。
――――――――――
なんJ実況スレ(日本シリーズ第六戦・六甲ブレーブス日本一)より
1: 名無しさん@実況
六甲、悲願の日本一やあああああ
12: 名無しさん@実況
龍崎、シリーズMVPも当然か
20: 名無しさん@実況
榊原からずっと打たれとったのに勝負所だけ完封してるの草
これが噂の宿命のライバル関係か
28: 名無しさん@実況
「お前に打たれた分は、他のとこで全部返す」で泣いた
35: 名無しさん@実況
高校時代からずっとこの二人の関係性エグいわ
42: 名無しさん@実況
新人王、リーグ優勝、そしてついに日本一か
三年目でここまで来るとか意味わからん
48: 名無しさん@実況
これもう黄金期の始まりやろ
――――――――――
――――――――――
プロ三年目・主要成績まとめ
- 六甲ブレーブス:セ・リーグ優勝(二年連続)
- 日本シリーズ:博多サンダーズを4勝2敗で下し、悲願の日本一達成
- 颯太:日本シリーズMVP
颯太個人成績(打者)
- 出場:144試合
- 打率:.331
- 本塁打:34
- 打点:98
- 長打率:.612
颯太個人成績(投手)
- 登板:26試合(すべて先発)
- 投球回:182回
- 防御率:2.11
- 勝敗:19勝5敗
- 奪三振:224
- 四球:28
主要タイトル
- セ・リーグMVP獲得
- 日本シリーズMVP獲得
- 対榊原航・シーズン打率(通算):.400前後を記録される一方、日本シリーズの勝負所では無失点・無安打に抑え込む
――――――――――
三年目のシーズンを終え、颯太は打者・投手の両面で、名実ともにリーグを代表する存在へと駆け上がっていた。担当コーチの一人は、この年の颯太についてこう総括している。
「変化球のキレ、制球、球威――どれを取っても、もう穴らしい穴がない。強いて言うなら、榊原航という一人の男にだけは、シーズン通してずっと打たれ続けとる。それだけが、あいつにとって唯一の『攻略できてへん相手』や」
その言葉通り、颯太にとって航は、依然として特別な相手であり続けていた。シーズンを通じてはコンスタントに打たれ、通算打率でも高い数字を残されている。それでも、日本シリーズという最も重い舞台の、最も重い場面でだけは、颯太は決して航に屈することがなかった。
「あいつには、普段は普通に打たれる。でも、一番大事な場面だけは絶対に譲らへん。それでええと思ってる」――シーズン終了後の取材で、颯太はこの複雑な関係性について、そう率直に語っている。
勝てば勝つほど強くなる男と、負けられない場面でだけ牙を剥く投手――この非対称な関係は、以降のキャリアを通じて、颯太と航の対決を語る上で欠かせない構図として定着していくことになる。
シーズンオフ、日本一の美酒に酔いしれる間もなく、颯太は次のシーズンに向けた練習を早々に再開していたと、当時のチームメイトは証言している。
「一回獲ったくらいで満足しとったら、あいつやない」――納会の場で、ある古参選手がそう漏らしたという言葉が、この年の颯太を象徴するエピソードとして球団史に記録されている。
悲願の日本一を成し遂げた三年目のシーズンは、しかし颯太にとって、あくまで通過点の一つに過ぎなかった。淡海学院時代、「まだ半分」「まだ満足するつもりはない」と語り続けてきたあの姿勢は、プロという舞台に移っても、一切変わることはなかった。
六甲ブレーブスの黄金期は、この三年目の日本一を起点として、ここから本格的に幕を開けていくことになる。
(第六章 了)