俺救2   作:ネネネノノ

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22話『将』

「おい、きい。……一つ、話すことを忘れていた」レグウィスが放つ絶対的な呪力の質量に、きいは「ひっ」と短い悲鳴を上げてその場に凝固した。私、あかり先輩、太一、ほのかの4人も、息をすることすら忘れてその場にへたり込む。動けないたくまの前髪のない顔が、再び戻ってきた最強の王を、ただただ戦慄の瞳で見上げていた。しかし、レグウィスの視線は、私たちにも、きいにも向いていなかった。彼は虚空を見つめ、まるでそこに『誰か』が存在しているかのように、冷淡な口調で語りかけ始めた。「……見ているんだろう? 管制室の指示役。お前の術式は、このガキどもの『視界』を共有している」(司さんの術式に、気づいている……!?)インカムの向こうで、神原司さんが小さく息を呑む気配が伝わってきた。安全圏である本部にいるはずの司さんを、レグウィスはその圧倒的な直感だけで正確に捉えていたのだ。「呪術界の連中は、特級だの一級だの、ずいぶんと誇らしげに階級を設けているらしいが……滑稽だな。俺の基準からすれば、そんなものは何の指標にもならない」レグウィスは退屈そうに首の骨を鳴らし、司さんに向けて、そして戦場にいるすべての呪術師の『価値』を書き換えるような、最悪の事実を告げた。「だから、俺が見て判断した『本物の強さの階級』を教えてやる。俺はそれを『将(しょう)システム』と呼んでいる。上から順に、一将(いっしょう)、二将、三将、四将だ」将システム。その不気味な響きが、赤黒い霧の中に重く響き渡る。「お前たちが絶対の戦力だと信じている『特級呪術師のトップ(上位)』……さっき俺が二割で踏み潰した連中も含めて、奴らがようやく『三将』の辺りだ。そして特級の下位レベル、あれはただの『四将』に過ぎない。それ以外の有象無象、一級や二級のお前らなんてのは、そもそも将の数にすら入れていないゴミだ」あまりの言葉に、あかり先輩が絶望に顔を歪めた。特級上位のリントや麗華が、レグウィスの基準では上から3番目の『三将』レベル。神代さんに至っては、最低ランクの『四将』。そして何より恐ろしいのは——。「だからきい、お前もだ」レグウィスは、自分の横で怯えるきいを冷たく一瞥した。「お前は組織の下位だが、その術式の殺傷性と潜在能力を含めれば、俺の基準では『三将』レベルに届いている。だからこそブラックナンバーに置いてやっている。……なのに、将にすら届かないゴミ虫ども相手に、いつまでおままごとで遊んでいるんだ?」「あ、あはは……ごめんなさい、リーダー……」さっきまで私たちを猫のようにいたぶっていたきいが、恐怖でガタガタと震え、顔を真っ青にしている。「……指示役。お前たちがいくらチェス盤を組み立てようが、駒の質が違いすぎる。次からは、せめて『二将』以上に届くバケモノを連れてこい。話はそれだけだ」レグウィスはそう言い残すと、今度こそ完全に興味を失ったように、きいを連れて霧の向こうへと消え去った。『全員……直ちに、総員撤退だ……!』インカムから響く司さんの声は、かつてないほどに激しく震えていた。世界の強さの基準を根底から破壊された戦場で、私はただ、喋れないたくまの冷たい天秤の身体を、涙を流しながら抱きしめることしかできなかった。

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