俺救2   作:ネネネノノ

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23話『悔しいです』

「——以上が、今回の大阪襲撃における戦況報告と、レグウィスが残した『将システム』の全容だ」本部の作戦会議室。安全圏である管制室から戻った神原司は、血の気の引いた顔でホワイトボードの前に立っていた。室内には、医療班の迅速な反転術式によって一命を取り留めたものの、全身に包帯を巻いた痛々しい姿の麗華とリント。そして一級リーダーの中野鈴、2級のあかり、4級の太一、ほのか。そして私と、異形の天秤となったたくまがいた。前髪のないたくまの顔は、レグウィスが残した規格外の絶望を反芻するように、じっと床を見つめている。「司先輩……その『将システム』の最高峰、『一将(いっしょう)』には、一体何人が該当するのですか?」1級リーダーの鈴が、震える声を必死に抑えながら問いかけた。司は深くため息をつき、眼鏡を押し上げる。「レグウィスが僕の視野共有に向けて開示した情報によれば、『一将』に該当する存在は、この世界に全部で『9人』いるらしい」9人。特級上位のリントや麗華、そしてあのきいですら「三将」の領域だというのに、その遥か上に位置する最高位のバケモノが9人もいるという事実に、室内の全員が息を呑んだ。「その9人のうち、ブラックナンバーのメンバーが5人。リーダーのレグウィス、同格のシオンとアクア、ボスのヒライ、そしてデリザスタ。……この5人が『一将』の座に就いている」「……待てよ、司」包帯まみれのリントが、苦痛に顔を歪めながら身を乗り出した。「一将が9人で、ブラックナンバーが5人……。じゃあ、あとの4人は誰なんだ? 奴らの組織の残りのメンバーか?」「いや……」司は首を横に振った。「レグウィスは不敵に笑うだけで、あとの4人が誰なのかは教えてくれなかった。 ブラックナンバーの他のメンバー(マビキ、まつり、クラウン、ミラー、きい)は、きいが三将であるように、一将の器ではない。つまり……」司の戦術眼が、ボードに書かれた『世界の4大勢力』の図を鋭く指し示す。「あとの4人は、ブラックナンバー以外の勢力……僕たち呪術師のトップか、謎の組織『K』の幹部か、あるいは闇に潜む最強の『殺し屋』の中に存在するということだ」会議室に、これまで以上の重苦しい沈黙が広がった。敵のトップだけでなく、世界そのもののバランスが「一将」という9人のバケモノたちによって牛耳られている。「あ……が……」自分の意志で動けないたくまの瞳に、激しい焦燥と、私を守るための絶対的な強さを求める渇望が宿った。今の私たちは、将の数にすら入れてもらえないゴミ虫。だけど、きいを倒し、たくまの身体を取り戻すためには、この『一将』が支配する狂った世界の頂点へと、泥を這ってでも近づかなければならない。「絶望している暇はない。世界は動き出した。まい、たくま。君たちの『天秤』の術式を、一刻も早く『将』の領域まで引き上げるぞ」司の冷徹な、しかし確かな闘志を秘めた声が、私たちの脳内に響き渡った。

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