俺救2   作:ネネネノノ

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27話『シオン、アクア』

「それじゃあ、最強の私の魔法、ちょっとだけ見せてあげる!」生意気な笑みを浮かべたシオンが、人差し指をパチンと鳴らした。次の瞬間、彼女の指先から、眩いばかりの光の集束が放たれる。——ビーム。それは呪術というよりは、文字通り物語に出てくる魔女の「魔法」そのものだった。超高密度に圧縮された光の濁流が、空間を焼き裂きながらようまとけいへと迫る。「しまっ……ッ!?」ようまが狂気的な呪力を壁にして防ごうとし、けいが空間を歪めてその軌道を逸らそうとした。だが、一将の放つ一撃は、二人の想定を遥かに超えていた。ドガァアアアアン!!!名古屋の公園が、昼間のような白い光に包まれる。光の奔流が収まったとき、地面には巨大なクレーターが穿たれ、ようまとけいは数五十メートルも吹き飛ばされて転がっていた。「が、はっ……!?」ようまが大量の血を吐き、衣服はボロボロに引き裂かれている。けいも膝をつき、肩から激しく出血していた。ほんの、軽いビーム。本気ですらない、挨拶代わりの一撃。それだけで、本部の誇る特級二人が致命的な大ダメージを負わされたのだ。「うそ、だろ……。これ、ただの出力勝負、なのか……?」けいが血を拭いながら、震える手で地面を支える。まだ動けはする。だが、寝不足の限界の肉体も相まって、本能が警鐘を鳴らしていた。(このまま戦えば、確実に死ぬ——)レグウィスに続いて、この18歳のクソガキもまた、自分たちでは絶対に届かない『一将』というバケモノなのだと、細胞が理解してしまった。「あはは! 何その顔! 特級とか言っておいて、私の軽い魔法でそんなになっちゃうんだ!」シオンは指先をフーフーと吹きながら、心底楽しそうに二人を煽る。「あーあ、つまんないの。レグウィスが言ってた通り、本部の連中って本当に弱いんだね。この私がわざわざ殺してあげる価値もないくらいの、ただの雑魚じゃん!」屈辱と絶望。インカムの向こうで、神原司先輩が「二人とも、即座に退避しろ……!」と悲痛な声を上げる。本部の画面越しにこの光景を見ている私や、動けないたくまの前髪のない顔も、一将の圧倒的な暴力の前に言葉を失っていた。「ちょっと、シオン。また勝手に一人で遊んでる」その時、夜霧を割って、もう一つの鈴の鳴るような、しかし冷徹な声が響いた。公園の入り口から、青い光をまとった美しい女性が歩み寄ってくる。ブラックナンバーのもう一人の女性一将。シオンと非常に仲が良い、同格のバケモノ——アクアが、そこに合流した。「あ、アクア! 遅いよー! 見てよこの雑魚たち、一発でボロボロになっちゃった!」シオンが生意気な笑顔でアクアに駆け寄る。一将が、二人生の前に揃い踏みした。限界を迎えたようまとけいの前に、大阪を超える最悪の夜が幕を開けようとしていた。

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