「が、はっ……! おい、自称最強のクソガキども……!」血の海のなかで、ようまが必死に上体を起こし、凶気的な目をぎらつかせながらシオンとアクアを睨みつけた。「そこまで俺たちを雑魚扱いするなら、一つ教えて、もらおうか……。お前ら『ブラックナンバー』は……新組織『K』や、闇の『殺し屋』について、何か知ってんのか……!?」ただでは死なない。ようまは限界の意識のなかで、本部のために敵の情報を引き出そうとしたのだ。シオンとアクアは顔を見合わせると、お腹を抱えてくすくすと笑い出した。「あはは! いいよ、教えてあげる! どうせお前らじゃ、知ったところで何もできないもんね!」シオンが生意気なガキっぽく鼻で笑うと、隣のアクアも退屈そうに髪を弄りながら口を開いた。「『K』も『殺し屋』も、もちろん知ってるよ。でもねー、『K』なんて私たちからしたら、そこまで問題じゃないの。 何かコソコソ企んでるみたいだけど、器が小っちゃいっていうかさ」アクアの言葉に、本部の管制室でモニターを見つめる神原司先輩が息を呑む。本部があれほど警戒していた新勢力「K」すら、一将の天才二人からすれば、歯牙にもかけない存在に過ぎなかったのだ。「問題なのは『殺し屋』の方! 銃とか振り回してるだけの普通の殺し屋はただのゴミだけど……呪術師の殺し屋には、マジでヤバいのが2人いるんだよね。」シオンが人差し指を2本立てて、不敵に笑う。「その2人はね、リーダー(レグウィス)の基準でも、間違いなく『一将』だよ。 だから、私たちの同格ってワケ。じゃ、お喋りはこれでおしまい! バイバーイ!」殺し屋の中に、残りの「一将」が2人も存在する。あまりにも衝撃的な情報を残し、二人が本当に興味を失って背を向けようとしたその時——。『待ってくれ……!』二人の視界を共有している司先輩の声が、インカムの術式越しに、戦場へ直接響き渡った。『どうして……そんな重要な情報を、僕たちに教えるんだ? 罠なのか、それとも……』司先輩の張り詰めた問いかけに、シオンは歩みを止め、振り返ることもせずに肩をすくめて言い放った。「は? 罠なわけないじゃん。深読みしすぎ、超ウケるんだけど」シオンは首だけをこちらに向け、最高に生意気で残酷な「天才の笑み」を浮かべた。「言ったでしょ? どうせお前らみたいな雑魚に情報を与えたところで、何もできないからだよ。 一将の殺し屋に会ったら、お前らなんて一瞬で消し炭だもん。じゃあねー、寝不足の雑魚たち!」「あはは、おやすみー!」アクアの嘲笑が夜霧に響き、二人の一将はそのまま闇の中へと完全に気配を消し去った。「あ……が……ッ!!」本部でこの全てを見ていた、自分で身体を動かせないたくまの前髪のない顔が、悔しさと怒りで激しく震えていた。情報を隠す価値すら与えられない、絶対的な見下し。【呪術師、ブラックナンバー、K、殺し屋】の4つ巴の勢力図の中で、隠されていた残り4人の「一将」のうち、2人が「殺し屋」であることが確定した。私たちは今、果てしない才能の頂が支配する世界の、最底辺に立たされていた。