俺救2   作:ネネネノノ

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41話『ワオ』

「あはは、驚いた? ボクたちの組織——『K』のアジトは、地下なんかじゃなくて、あそこにあるんだよ」渋谷の薄暗い霧の向こう、ハツカが指差した先を見上げた瞬間、私とリント先輩、優斗先輩の全員が言葉を失った。そこにそびえ立っていたのは、東京ドーム3つ分はあろうかという、規格外の大きさを誇る円柱状の巨大な建物だった。渋谷のど真ん中に、そんな異様で巨大な建造物が存在している。なぜこれまで誰一人として気づかなかったんだと脳がパニックを起こすほど目立っているのに、Kの強力な認識阻害の結界のせいで、一般社会からは完全に『存在しないもの』として隠蔽されていたのだ。隣に浮かぶ漆黒の天秤、その体から突き出た前髪のないたくまの顔も、その巨塔の威容に息を呑むように瞳を凝らしていた。「さ、こっちだよ。ボスや他の狂信的な幹部たちに見つかると、色々と面倒なことになっちゃうからね」ハツカは周囲を警戒しながら、建物の死角にある目立たない隠し通路へと私たちを滑り込ませた。一歩中に入ると、外観の近未来的な冷たさとは裏腹に、そこは無数の古い書物と、妖しく明滅する最新のホログラムが混在する、まるで図書館のようであり、研究所のようでもある不思議な大部屋だった。「連れてきたよ、奏(かなで)」ハツカが部屋の奥に向かって声をかけると、高く積み上がった書棚の影から、一人の男がゆっくりと歩み出てきた。その男は、私たちがまとっている本部の呪力とも、ブラックナンバーの血生臭い呪詛とも異なる、極めて静かで、かつ澄み渡った独特の気配をまとっていた。「待っていたよ。ハツカ、それに呪術師本部の皆さん」男は私たち全員を見渡すと、中性的なハツカとは違う、落ち着いた大人の声音で静かに微笑み、胸に手を当てて一礼した。「初めまして。僕の名前は奏(かなで)。この組織『K』において、世界の動向を記録し、術式の本質を研究している者だ。ハツカから聞いている通り、僕は組織の『世界征服』というお題目には興味がない。どちらかと言えば、君たち呪術師の『味方寄り』として、この歪んだ世界のバランスを正したいと思っている」奏と名乗ったその男の自己紹介に、リント先輩が鋭い視線を向けたまま、身にまとう呪力をジリジリと震わせる。優斗先輩もまた、空間を歪める術式の構えを解かない。インカムの向こうでは、本部にいる神原司先輩が、こちらの視野共有を通じて奏のデータを必死に分析しようとしている形跡が伝わってくる。「……ハツカ、それに奏。ボクたちをわざわざここまで案内したってことは、それ相応の『手土産』があるんだろうな?」優斗先輩が冷淡に問いかける。『K』の心臓部、巨大な図書館の密室で、まいとたくまの天秤は、世界の真実を暴くための新たな観測者と対峙していた。

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