俺救2   作:ネネネノノ

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44話『お似合いですよ』

「うわー。すごいね」煙が立ち込める『ウェアー』のアジトの最奥。パチ、パチ、と気の抜けた拍手の音と共に、暗闇から一人の男が歩み出てきた。男の名前はルカ。誰もが思わず見惚れてしまうほどの抜群のルカは、死体の転がる血生臭い地下空間に、まるでモデルの撮影にでも来たかのような軽い足取りで近づいてくる。しかし、彼がまとう雰囲気は、ブラックナンバーのクソガキどもとも、Kのハツカとも違う、冷徹に洗練された「純粋な殺意」そのものだった。「チッ……こいつが、一将の殺し屋……!?」麗華が鋭い眼光でルカを射抜き、高密度の呪力を拳に集中させる。カナトも静かな殺気を爆発させ、真白が儚くも底知れない呪力で空間を縛ろうとした。修行の成果をぶつけるべく、特級の3人がルカに向けて一斉に攻撃を仕掛けようとした、まさにその一瞬。キィィィン……ッ!空間のすべての音が消え去り、銀色の閃光が走った。「——ガ、はっ……!?」次の瞬間、麗華、カナト、真白の3人は、何が起きたのかすら認識できないまま、地面を激しくバウンドして転がっていた。衣服が引き裂かれ、肉体から鮮血が噴き出す。特級であるはずの3人の身体が、一瞬にしてナイフで深く切り裂かれていたのだ。「……標的の無力化を確認」血の滴るナイフを一振りし、灰色の髪を揺らしたクロエは、冷酷な瞳で倒れ伏す特級の3人を見下ろした。睡眠時間を削ってまで強くなったはずの麗華、カナト、真白。その本部の最高戦力たちが、ピクリとも動けないまま血の海に沈んでいる。「へえ、クロエ、相変わらず容赦ないね。せっかくお喋りしようと思ったのに」ルカがイケメンな顔に苦笑いを浮かべながら、クロエの隣へと歩み寄る。先ほどまで敵を屠る冷徹なマシーンのようだったクロエの雰囲気が、ルカが隣に並んだ瞬間にだけ、わずかに、しかし確実に柔らかくなった。実は、このルカとクロエの二人は、恋人として付き合っている関係だった。お互いを深く、狂おしいほどに愛し合っている。二人はお互いに、過去に壮絶で血生臭い出来事をいくつも経験してきていた。特にクロエの傷は深く、彼は人間という存在を激しく嫌悪し、好まない。裏切りと悪意に満ちた世界の中で、クロエが唯一、完全に心を開いている存在が、目の前にいるルカだけだった。ルカ以外の人間は、彼にとってただの「排除すべき肉塊」でしかないのだ。「……ルカ、あまり無駄口を叩いては駄目ですよ。これは『仕事』ですから。……それに、貴方が怪我をしたら嫌です」クロエは、ルカをちょっと慕っている感じで、丁寧な敬語を交えながら、彼にだけは優しく響く声音でそう告げた。愛おしそうにルカの服の乱れを細い指先で直すその姿には、普段の冷徹な暗殺者の面影はどこにもない。「あはは、ボクがこの程度の雑魚に遅れをとるわけないじゃん? でも、クロエがボクのためにそう言ってくれるなら、早めに片付けちゃおうか」ルカもまた、クロエの灰色の髪に愛おしげに手を触れ、誰もが見惚れるような極上の笑みを浮かべる。凄惨な血の海の中で、お互いだけを見つめ合い、優しく微笑み合う美形の二人。そのあまりにも異常で、歪な純愛の光景に、倒れ伏す麗華たちは恐怖すら抱いていた。『麗華! 応答してくれ……! 嘘だろ、あの二人の呪力の交錯……何なんだ……!?』インカムの向こう、本部の管制室から神原司先輩の震える声が響く。地獄のような戦場の中で、お互いの過去の傷を埋め合うようにして、殺しの頂点へと登り詰めた二人の暗殺者。将の階級こそ不明だが、その「二人で一つ」の絶対的な強さは、世界を四分する混沌の戦場を、さらに深い絶望へと引きずり込もうとしていた。

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