俺救2   作:ネネネノノ

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45話『かっこいいなぁ』

嵐のあとの血だまり、仮初めの命「……ルカ、行きましょう。もう、ここに長居する意味はありません」クロエはルカを少し慕うような、丁寧な敬語のトーンでそう告げると、血の滴るナイフを鞘へと収めた。「うん、そうだね。クロエがそう言うなら、帰って二人の時間を楽しもうか」ルカは誰もが見惚れるようなイケメンの顔に極上の笑みを浮かべ、クロエの肩を優しく抱き寄せた。二人は、深手を負って倒れ伏す本部の特級3人(麗華、カナト、真白)のことなど、最初から視界に入っていなかったかのように、何事も無かったかのようにその場を去っていった。トドメを刺す価値すら見出さない、圧倒的な無関心。人間を激しく嫌悪するクロエにとって、ルカ以外の人間はただの「背景」に過ぎないのだ。二人の気配が完全に消え去ると、地下空間には重苦しい静寂と血の匂いだけが残された。『全員……無事か!? 医療班、救急隊! すぐにアジトの最奥へ突入してくれ!』インカムの向こうから、状況をモニターしていた神原司先輩の悲痛な叫びが響く。直後、待機していた本部の救急隊(手当て担当)が雪崩を打って部屋に突入し、血の海に沈む3人の治療を即座に開始した。「反転術式、最大出力! 傷口を塞げ!」「心音停止寸前です! 急いで!」救急隊の迅速な蘇生処置と反転術式によって、麗華、カナト、真白の3人は、辛うじてあの「一将レベルの殺し屋二人」の凶刃から命を繋ぎ止めることができた。しかし、肉体的なダメージも、睡眠時間を削ってまで強くなったプライドを完璧に粉砕された精神的なショックも、計り知れないほど深いものだった。──そして、この凄惨な一部始終を、渋谷の『K』の本部で司先輩の通信越しにリアルタイムで目撃していた、私とたくま。前髪のないたくまの顔は、あまりにも圧倒的で冷徹な「ルカとクロエ」という殺し屋の頂点に、言葉を失ったようにじっと画面を見つめていた。私たちが二級に上がって掴みかけた自信なんて、世界の頂点から見れば、一瞬で消し炭にされる程度の羽毛に過ぎないのだ。「……酷い有様だね。でも、死ななかっただけマシさ」私たちの隣で画面を見ていたハツカが、中性的な顔に妖しい笑みを浮かべながら、ワイングラスを弄んで呟いた。完全な味方となった奏(かなで)も、その強さに固執する鋭い瞳を細め、静かに思考を巡らせている。世界を四分する【呪術師、ブラックナンバー、K、殺し屋】の混沌。一将の殺し屋二人が動き出した今、全面戦争の歯車は、さらに狂った速度で回り始めようとしていた。

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