俺救2   作:ネネネノノ

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46話『それはまずい』

「……みんな、緊迫した状況の最中にすまない。さらに最悪の戦況報告が入った」渋谷の『K』の本部。救急隊によって麗華たちが一命を取り留めた安堵も束の間、神原司先輩の切迫した声が、インカムを通じて全員の脳内へ響き渡った。司先輩の視野共有の術式が、日本各地の警戒マップに「極大の4つの呪力反応」を映し出す。「ブラックナンバーが製造・放出している『特級呪霊(知能あり・喋れる・実力は特級下位=四将クラス)』について話したのを覚えているね。……だが、奴らの工場はそれ以上の『最悪』を完成させていた」司先輩の眼鏡の奥の目が、かつてない恐怖に揺れる。「特級呪霊の中にも、厳然たる『上位』と『下位』が存在する。これまで警備の先輩たちが相手にしていたのは下位だ。だが今、『名前』を持つほど高い個我と圧倒的な呪力を有した『特級上位呪霊』が、同時に4体も世に放たれた」その4体は、かつて大阪で私たちを子供のようにあしらったきい(三将レベル)、あるいはそれ以上の戦闘能力を持つ、文字通り「災害」そのものの化け物たちだった。司先輩の口から、その悍ましい4体の名前が告げられる。骸喰(むくろぐい)大量の白骨を身にまとい、死者の呪念を喰らって無限に肥大化する、最凶の質量を持つ特級上位。厭魅(えんみ)四肢が長い影の姿をしており、言葉を喋るたびに周囲の呪術師の精神を汚染し、術式を暴走させる呪詛の王。無惨華(むざんげ)美しい大輪の赤黒い花のような姿を持ち、その花粉に触れた者の肉体を内側からドロドロの毒液に変えていく、美しくも残酷な植物型の特級上位。業火(ごうか)意思を持つ黒い炎そのものであり、存在しているだけで半径数キロメートルの空間を焼き尽くし、あらゆる防御術式を融解させる破壊の権化。「この4体は、知能も言語能力もこれまでの呪霊とは次元が違う。間違いなく『将システム』における『三将の上位』、あるいは『二将』に届きかねないレベルの化け物たちだ。今、日本各地の定期警備ラインが、この4体によって一瞬で壊滅させられようとしている……!」「あ……あ……」二級へと飛び級し、ようやく新技『因果傾転』で手応えを掴みかけていた私とたくま。しかし、司先輩の通信越しに伝わってくるその4体の呪力の桁違いなプレッシャーに、私たちの『天秤』が、恐怖でガタガタと音を立てて震え出す。前髪のないたくまの顔は、あまりにも次々と現れる世界のバケモノたちに、信じられないというようにただ目を見開いていた。「へえ、ブラックナンバーも面白い玩具を作るじゃないか」私たちの隣で画面を見ていたハツカが、中性的な顔に妖しい笑みを浮かべる。完全に味方となった奏(かなで)も、強さへの固執からその鋭い瞳をぎらつかせ、静かに本棚の書物を指でなぞった。「まい、たくま。そしてリント、優斗。君たちが渋谷から戻るのを待っている余裕はない。全員、今すぐ次の指示に従ってくれ」【呪術師、ブラックナンバー、K、殺し屋】の4つ巴の混沌に、突如として放たれた「名を持つ4体の特級上位呪霊」。ゴミ虫と呼ばれた最底辺から、二級へと駆け上がったまいとたくまの前に、世界を完全に焼き尽くすほどの巨大な試練が、その獰猛な牙を剥いて迫りつつあった。

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