俺救2   作:ネネネノノ

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48話『一将?!』

「ハァ……ハァ……! 厭魅(えんみ)、助けてくれ……!」意思を持つ黒い炎の権化でありながら、全身を銀色の閃光によってズタズタに切り裂かれた業火(ごうか)は、這うような足取りでようやく厭魅の潜伏先へと転がり込んだ。四肢が長い影の姿をした呪詛の王、厭魅は、見る影もなく瀕死の重傷を負った同胞の姿を見下ろし、驚きを隠せない様子でその不気味な口を開いた。「……あなたがそこまでやられるなんて珍しいね。相手は四将か三将、下手すれば滅多にお目にかかれない二将かもしれんな」知能を持つ特級上位呪霊として、プライドの高い彼らの基準でも、業火をここまで一瞬で無力化できるのは『将システム』の雲の上の存在だけだと推測したのだ。「違う……! そんな、レベルでは、ない……!」業火は恐怖に身体を震わせながら、懐から一枚の皺くちゃになった紙を取り出した。それは、彼らを製造・放出したブラックナンバーのリーダー、レグウィスから事前に与えられていた『将システムの顔写真付き資料』だった。そこには、レグウィスが自身の基準で格付けした、世界中の強者たちの顔が1将から4将まで網羅されている。業火は血の滲む指先で、4将の欄から、3将、2将の欄へと、必死にあの灰色の髪の男の顔を探していく。その様子を、渋谷の『K』の本部から神原司先輩の通信越しにリアルタイムで目撃していた、私とたくま。前髪のないたくまの顔は、特級上位呪霊をも恐怖のどん底に叩き落とした「殺し屋」の正体が明かされる瞬間に、じっと瞳を凝らしていた。ハツカも中性的な顔に妖しい笑みを浮かべ、奏(かなで)も強さへの固執からその鋭い瞳を細めて画面を見つめている。「……あった、こいつだ……!」業火の指が、資料の「ある欄」でピタリと止まった。肩より少し長めの灰色の髪をした、冷酷な瞳の美形。五大殺し屋組織『ウェアー』の頂点、クロエ。「厭魅……あいつは、あなたが言ったような、二将なんてレベルではありません。あいつはもっと上の……」業火が怯える声で、クロエの顔写真が掲載されている「最上段の枠」を指し示す。それを見た瞬間、それまで冷静沈着だった厭魅の長い影の身体が、信じられないというように激しく静まり返り、驚愕の声を上げた。『まさか……一将(いっしょう)なのか?!』世界の頂点、わずか9人しか存在しない絶対的な神の領域。ブラックナンバーの5人(レグウィス、シオン、アクア、ヒライ、デリザスタ)に続き、シオンたちが口にしていた「殺し屋の中にいる、ヤバい一将の二人」の片方が、まさにこのクロエであるという最悪の事実が、呪霊たちの口から証明された瞬間だった。「一将の、殺し屋……クロエ……」私は背筋が完全に凍りつくのを感じた。私とたくまはまだ、将の数にすら入れてもらえない二級呪術師。そんな私たちの遥か頭上、世界の理を司る化け物たちが、今、この全面戦争のチェス盤の上で牙を剥き始めている。「あはは! やっぱりね! ボクが言ってたバカカップルの片割れ、一将確定じゃん!」ハツカが手を叩いて笑う中、一将の上位を病的に尊敬する奏の瞳に、ぞっとするほどの渇仰の光が宿った。

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