## 限界の向こう側、火花散る双璧
「ハァ……ハァ……! いいねえ、Kの幹部ってのも伊達じゃねえ……ッ!」
上層の吹き抜けエリア。リントは包帯まみれの身体から、文字通り血を噴き出しながらも、凶暴な笑みをその顔に張り付かせていた [INDEX]。
隣に立つ麗華も、限界を超えた睡眠不足のせいで視界が霞み、心臓が破裂しそうなほどの負荷を感じながらも、その長い髪を呪力で逆立たせ、鋭い眼光を崩さない [INDEX]。
対峙するKの幹部・春樹(はるき)もまた、衣服をボロボロに引き裂かれ、冷徹だった顔に生々しい焦燥と、そして初めて『本物の命懸け』を味わう歓喜の歪みを浮かべていた [INDEX]。
睡眠時間を削ってまで泥臭く強さを求めた特級のプライド(麗華・リント)。
世界を書き換えるという狂信的な野望を宿す絶対の力(春樹)。
お互いが一歩も、ただの一歩も引かない、どちらが勝ってもおかしくない極限の「いい勝負」が、崩壊していく要塞の天井を赤く染めていた。
「——連鎖爆破・『終焉ノ花(しゅうえんのはな)』!!」
春樹の手印が結ばれた瞬間、麗華とリントの周囲の空間そのものが、太陽が出現したかのような凄まじい熱量と共に大爆発を起こした。触れたものすべてを原子レベルで融解させる、春樹の最大出力の爆発術式。
ドゴォオオオオオオォン!!!
巨大な円柱要塞の上層階が、その衝撃に耐えかねて半分近く消し飛ぶ。
しかし、煙を切り裂いて飛び出してきたのは、全身を黒焦げにしながらも、限界を超えて『二将レベル』の呪力を覚醒させたリントの突撃だった。
「これで……終わりだッ!!」
リントが自身の全存在を懸けた呪力拳を春樹の顔面に叩き込み、同時に麗華が死力で絞り出した全方位からの高密度呪力弾が、春樹の防壁を完膚なきまでに叩き潰す [INDEX]。
「が、はっ……ッ!?」と春樹が大量の血を吐いて吹き飛ぶが、春樹もまた、吹き飛びながらリントの胸に手を触れ、肉体そのものを内部から爆破するカウンターを放った。
ドンッ!!と鈍い衝撃が響き、今度はお互いが同時に血の海へと吹き飛び、膝をつく。
誰の目にも明らかだった。
次の一撃、ほんの数センチの踏み込みの差、あるいは一瞬の呪力の瞬発力の差で、どちらかの命が完全に刈り取られる。
本部の神原司先輩の通信も、この最高峰の熱量にジャミングを起こしてノイズしか聞こえない。
最下層で仲間を奪われ、次なる復讐を誓うまいとたくまの視界の遥か頭上で、本部の特級とKの幹部は、互いの魂のすべてを削り合う最高に熱い決戦を繰り広げていた。
------------------------------