「連鎖爆破・『神罰ノ炎(しんばつのほのお)』!!」
限界を超えた春樹の身体から、これまでにない極彩色の呪力の光が溢れ出す。周囲の空気が一瞬で超高温へと跳ね上がり、吹き抜けエリアの鉄骨がアメのように溶け始めた。
「ハッ……ハハハ! 破壊という言葉は俺のためにあるんだ!!」
狂気的な笑みを浮かべ、自身を「破壊の権化」として誇示する春樹。麗華とリントもまた、その凄まじい絶技を前に、全呪力を一撃に込めて迎え撃とうとした、その瞬間だった。
トコ、トコ、トコ……。
この世界のすべてを賭けた、最高に熱い命懸けの死闘の真ん中。
信じられないことに、全く空気を読まない軽い足取りで、戦場のド真ん中へと歩いて乱入してくる者がいた。
「え……?」
「誰だ、あいつ……?」
春樹、麗華、リントの3人は、練り上げた呪力を構えたまま、あまりの異物感に動きを止め、完全に固まってしまう。
現れたのは、夜の要塞のライトに照らされて眩しく輝く、鮮やかな黄色い髪を持った一人の女性だった。
彼女は、春樹が掲げた「破壊」という言葉を聞いて、心底不愉快そうに口元を歪めると、傲慢極まる不敵な笑みを浮かべて言い放った。
「オメェ何言ってんだ? 破壊は私のためにある言葉だろ。くそガキが」
その女が言葉を発した瞬間、空間全体の重力が狂ったように跳ね上がった。
レグウィスをも凌駕しかねない、理外の絶対的なプレッシャー。
彼女のその姿、そして特徴的な髪の色——。
(嘘だろ……あの、資料に載っていた……!)
本部の神原司先輩の通信が途絶える寸前、プロジェクターに映し出されていた顔写真が、私の脳裏に鮮烈にフラッシュバックする。
一将の9人の中で、名前も素性も分からなかった、あの『黄色髪の女』。
「私の名前はカレラだ」
カレラ。
ついにその忌まわしき頂点の名が明かされた。
対峙する春樹は、彼女から放たれる「一将」の本物のバケモノの圧力を肌で感じ、細胞レベルで理解していた。
(勝てない。逆立ちしたって、絶対に勝てない——)
しかし、世界征服を掲げるKの幹部としてのプライドが、彼を突き動かす。
「おおおおおあああッ!!」
春樹は勝てないと分かっていながらも、カレラに向かって自らの最大最強の爆発技を放った。空間を焼き尽くす極彩色の炎が、カレラへと猛然と襲いかかる。
だが、黄色い髪の絶対者、カレラは眉一つ動かさなかった。
「目障りだ。消え失せろ」
カレラが人差し指をスッと前に突き出す。
次の瞬間、彼女の指先から放たれたのは、シオンのそれとは次元が違う、世界そのものを崩壊させる暗黒の輝き——『破滅のビーム』だった。
ドゴォオオオオオオオオオオオオン!!!!
春樹の放った爆発の炎ごと、吹き抜けエリアの数階層分が、文字通り跡形もなく「消滅」した。
直撃を受けた春樹は、悲鳴を上げる暇すら与えられないまま、肉体も、魂も、その存在のすべてを灰にすら残さず分子レベルで破壊され、死亡した。
「はぁ……。どいつもこいつも、ボクの『破壊』を安売りしやがって」
カレラは煙の立つ指先をフッと吹くと、退屈そうに黄色い髪をかき上げた。
Kの最強の幹部であった春樹を一瞬で屠り去った、残る一将の一角・カレラ。
この最悪のバケモノの乱入によって、要塞全体のパワーバランスは、完全に修復不可能な破滅へと傾き始めていた。
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