## 幕引きの静寂、混沌の小休止
「——チッ。一将の女神どもに、今度はKの幹部かよ。……行くぞ、優斗!」
「あーあ、本当に面倒くさい。……でも、アクアにコケにされたままで終われるかよ!」
東側大回廊。アヴィと優斗の特級コンビは、黒い鎖を無数に操るKの敵幹部の女性・のあを相手に、猛烈な連撃を叩き込んでいた。のあは冷酷な笑みを浮かべ、女とは思えないほどの強固な呪力で二人の猛攻をいなし、空間を鋭く切り裂いてくる。睡眠時間を削って鍛え上げた特級のプライドと、世界征服を狙うKの幹部の意地。三人の激突は廊下の壁を次々と崩壊させ、一進一退の苛烈な攻防が続いていた。
しかし、その限界を超えた激闘の数々も、唐突にその「終わりの時」を迎える。
地鳴りのような轟音が、要塞の上層階から響き渡った。
三つ子の女神であるカレラとウルティマの、あの規格外すぎる姉妹喧嘩の余波、そして——すぐ近くのエリアで繰り広げられていた四天王同士の決戦、シオンの放つ超高密度光ビームとクロエの一瞬で特級を切り裂くナイフの激突が、巨大な円柱要塞の構造そのものを内側から完全に破壊し尽くしたのだ。
「……ルカ、足場が崩れます。今日の『仕事』はここまでにした方が良さそうですね」
「うん、そうだねクロエ。あいつら(シオンとアクア)と遊ぶのはまた今度にしようか」
四天王の一角である殺し屋・クロエ、そして恋人のルカ。
対峙していた自称最強の魔女っ子・シオン。
世界の頂点に位置する彼らの激突は、どこまでも凄まじく、しかしお互いが完全に互角の実力であったため、これ以上の深追いはリスクが高いと瞬時に計算し、大乱戦の最中でお互いに引く判断を下した。
「ちぇー、もう終わり? ま、シオンの魔法が一番最強って分かったからいいけどね!」
シオンが大きな帽子を直しながら不満げに呟く。
四天王の二人が引き、要塞のあちこちが物理的に崩落し始めたことで、世界の4大勢力が入り乱れたこの未曾有の大乱戦は、すべての戦局において、これ以上の戦闘は不可能として「一旦撤退」という形になり、幕を閉じることとなった。
「おのれ、呪術師どもめ……今日のところは生かしておいてやる!」
伊織と鈴の氷の術に追い詰められていたまつりも、瓦礫の煙に紛れて完全に退散。
アヴィたちと戦っていた女性幹部・のあも、崩れ落ちる天井を見上げながら「また会おう、本部の特級」と言い残し、闇の中へと消え去った。
カレラとウルティマの二人も、アクアに「いい加減にしなさい」と首根っこを掴まれながら、気まぐれにその場から立ち去っていった。
「あかり先輩……ほのか……っ……!」
最下層の通路。私は崩落する瓦礫をたくまの天秤で弾き飛ばしながら、きいが逃げ去った暗闇に向かって悲痛な叫びを上げていた。
きいは、変形させられて泣き叫ぶ『ほのか盾』と、尊厳を壊された『あかり(うんこゴーレム)』の二人を「大切なペット」として引きずったまま、この混戦のドサクサに紛れて完全に姿を消してしまったのだ。
「まい、たくま。……全員、直ちに撤退だ。これ以上の滞在は、崩落に巻き込まれる」
インカムの向こうから響く神原司先輩の声も、悔しさと焦燥で激しく震えていた。
隣に立つハツカと、強さに固執する奏(かなで)も、これ以上の追撃は不可能と判断し、私たちの肩をそっと叩いて退路を指し示す。
前髪のないたくまの顔は、大切な先輩たちを目の前で奪われ、トドメすら刺せなかった己の圧倒的な無力さに、血の涙を流さんばかりの激しい憤怒と焦燥を宿し、去っていった暗闇をただ鋭い瞳で見つめ続けていた。
四つ巴の大乱戦は、甚大な爪痕を残したまま一時的な終戦を迎えた。
世界を支配する『一将の9人』、そして神が作った『三つ子の女神』の全貌が明かされた今。
二級へと駆け上がったまいとたくまの天秤には、奪われた二人を取り戻し、あの天才どもを地獄へ引きずり下ろすための、これまで以上に重く、どす黒い復讐の質量が蓄積されようとしていた。
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乱戦の各戦局が要塞の崩壊によって「一旦撤退・小休止」の幕引きを迎え、女性幹部「のあ」の描写、四天王シオンvsクロエの互角の引き分け、そして仲間を奪われたまいとたくまの復讐への強固な決意までを描き上げました。これで『Kのアジト大乱戦編』は一区切りとなります。
戦いは一時的な休戦フェーズに入ります。次から始まる新章に向けて、どのような展開にしていきましょうか?
* 本部に帰還。傷ついた特級たちの治療を行いながら、司先輩や1級リーダーの鈴たち全員で、明かされた「三つ子の女神(アクア、カレラ、ウルティマ)」および「一将の殺し屋」に対抗するための、本部の総力戦プランを練る緊急会議のシーン
* あかりとほのかを奪われたまいとたくまが、強さに固執する奏やハツカの協力を得て、きいの「人間の形を変える術式」を破り、二人を元の姿に戻すための『天秤の術式の最終覚醒(将の領域への到達)』を目指す命懸けの特訓を始めるシーン
* 撤退したブラックナンバーの溜まり場で、きいが「まい達が二級に上がっててマジで焦った」とマビキやクラウンたちに愚痴をこぼし、次の防衛線を計画するシーン
次に進めたいストーリーや、新しく追加したいアイデアがあれば教えてください!