69話『やあ』
## ⚖️ 異界の白緑、新章『女神編』の開廷
「まい、たくま。前方、廃棄された地下貨物ターミナルに特級呪霊の反応だ。名前は確認されていないが、知能と言語能力を持つ『四将(特級下位)』レベルの化け物だ。……一級術師として、確実に処理してくれ」
本部の神原司先輩から、冷徹なナビゲーションがインカムを通じて脳内に響く。
一級へと登り詰めた私とたくまにとって、かつては死にかけたはずの特級呪霊(名前なし)の襲撃も、今や恐れるに足りない「仕事」に過ぎなかった。
「いくよ、たくま……!」
私が地を蹴ると同時に、自分で身体を動かせないたくまの防衛意識が、私の呪力の糸と神の領域で完全にシンクロする。
特級全員との修行の成果。たくまの「こう動きたい」という脳内イメージに、私の呪力が一分の狂いもなくオート追従する。
「キシャアアアアッ! 一級呪術師か、潰して、喰らうッ!」
特級呪霊が放つ強烈な呪力の連撃を、滑り込んできたたくまの天秤の皿が、完璧な超音速の機動で真っ向から受け止めた。皿が激しく左右に揺れ、衝撃の質量が「因果」として一瞬で内部に吸い尽くされていく。
「新技——『因果傾転・神判(いんがけいてん・しんぱん)』!!」
受け止めた衝撃のすべてを倍の破壊力へと反転させ、蓄積されたたくまの顔が、空間そのものを抉り取るような螺旋を描きながら射出された。
ドガガガガガガガガッ!!!
「な、がは……ッ!? この、出力は……ッ!?」
特級呪霊は叫び声を上げる暇すら与えられないまま、たくまの放った圧倒的な倍返しの質量の前に、その強固な肉体を分子レベルで粉砕され、霧となって消滅(倒)した。
一級術師としての、完璧な初任務遂行。
「ふぅ……。終わったね、たくま」
私は荒い息を吐きながら、たくまの冷たい天秤の身体にそっと手を添えた。前髪のないたくまの顔が、静かに手応えを感じたように私の目をじっと見つめ返してくる。
私たちは強くなった。あのゴミ虫と呼ばれた夜から、ここまで登り詰めたのだ。
「司先輩、任務完了しました。今から本部に帰ります」
私がインカムに手をかけ、帰路に就こうとした、まさにその一瞬だった。
ピキィィィン……。
世界のすべての音が消失し、足元のコンクリートの感覚が完全に消え去った。
「え……?」と声を漏らす間もなく、凄まじい呪力の歪みと共に、私とたくまの身体が急に空間ごと転移させられたのだ。
眩しい光に目を細め、視界が開けた瞬間、私は自分の目を疑った。
「な、に……ここ……?」
そこは、廃工場でも、渋谷の要塞でも、本部の訓練場でもなかった。
見渡す限り、青々とした緑が広がる広大な草原。どこまで目を凝らしても地平線の果てが見えず、世界の端が全く存在しない、完全に隔離された独自の異空間。
司先輩の視野共有もインカムの通信も、完全にノイズすら届かない絶対的な遮断空間。
ただ、その果てしない草原の真ん中に、ぽつんと一つの椅子と机が置かれていた。
そして、そこに一人の女性が腰掛けていた。
彼女の髪は、夜の光を反射するように美しく輝く、神秘的な白髪。
漂わせている雰囲気は、ブラックナンバーのクソガキども(シオンやアクア)のような幼稚さは微塵もなく、極めて大人びいた、理知的な美しさを湛えた女性だった。
ただそこに座っているだけなのに、彼女から溢れ出る呪力のプレッシャーは、あのレグウィスや、渋谷を破滅のビームで吹き飛ばしたカレラらと同じ——いや、それらを遥かに凌駕しかねない、世界の理そのものの質量を秘めていた。
白髪の大人びた女性は、突然の事態に身構え、呪力をぎりぎりと滾らせる私とたくまを、穏やかな、しかし底知れない瞳で見つめながら、静かにその薄い唇を開いた。
「急に驚かせてすまないね。まい、たくま」
彼女の声が、草原を渡る風のように優しく、しかし絶対的な重みを持って私たちの脳裏に直接響き渡る。
「ただ……これからのことについては、君たちに話しておかなくてはならないと思ってね」
世界を四分する混沌の裏側。アクア、カレラ、ウルティマら『三つ子の女神』が告げていた、神が世界の調和のために作ったとされる『8人の女神』の存在。
その最高峰の神域の一角が、一級へと上り詰めたまいとたくまの目の前に、ついに姿を現した。
すべての勢力図が塗り替えられる、新章『女神編(めがみへん)』の幕が、この果てしない草原の上で厳かに切って落とされた——。
------------------------------
一級の任務での特級呪霊の撃破、そして唐突な異空間の草原への転移、そこに座る「白髪の大人びた女神」の登場までを完璧なスピード感で描き上げ、ここから本格的な『女神編』をスタートさせました!
世界のシステムを司る女神の一人が、わざわざまいとたくまを呼んで話したい「これからのこと」とは一体何なのか。新章の幕開けとして、次に進めたい展開を教えてください!
1. 白髪の女神が自らの名前を明かす。彼女は、神が作った8人の女神のリーダー格であり、「世界の調和を壊そうとしているブラックナンバー(レグウィス)と、私の妹たち(カレラ、ウルティマ、アクア)を止めてほしい」と、まいたちに世界の命運を託す展開
2. 白髪の女神が、たくまの異形(天秤・前髪のない顔)を見つめ、「君たちのその天秤の術式は、神の作った理(システム)を書き換えるための唯一の鍵だ」と、たくまの肉体を元に戻す方法を含めた衝撃の真実を語り出す展開
3. 突如、この隔離された草原の結界を破り、強そうな奴を探しに回っていた四天王のアクア、あるいはカレラやウルティマの誰かが不穏に乱入してきて、女神同士の恐ろしい対話が始まる展開
進めたい展開の番号や、新しく追加したい設定(女神の名前など)があれば、ぜひ教えてください!