「ブラックナンバー……。奴らの全容が、徐々に浮き彫りになってきた」神代弦は、懐から取り出した10枚の資料を、廃ビルの一室の崩れた机の上に並べた。そこには、きいを含めた、組織の核心を担う10人の呪詛師たちの名前と特徴が記されていた。「現在判明しているメンバーは10人。レグウィス、シオン、アクア、デリザスタ、マビキ、まつり、クラウン、ミラー、きい、解せぬボスのヒライだ」私は並べられた名前を睨みつける。その中に、かつての親友「きい」の名を見つけて、奥歯が軋んだ。「一応、全体のボスとして君臨しているのは『ヒライ』という男だ。だが、組織を実質的に統率し、リーダーとして動かしているのは最悪の男、『レグウィス』だ。そしてな……」神代は煙草の灰を落とし、淡々と説明を続ける。「こいつらは犯罪者集団の割に、わりと仲が良い。イメージとしては、同じクラスで普通に話すし険悪ではないが、放課後にわざわざ一緒に遊びには行かない……くらいの距離感だな。ただ、メンバー内で特に気が合ってつるんでいる奴らは何人かいるらしい」神代は資料を指で叩きながら、その「強さの序列」に話を移した。「強さの順に並べるとこうだ。トップはリーダーのレグウィス。次点で同格のシオンとアクア。この3人と、ボスのヒライとの間には、超えられない『強さの壁』がある。レグウィス、シオン、アクアの3トップは、呪術界全体で見てもバケモノの領域だ」神代の指が、さらに下の資料へと動く。「壁の下にボスであるヒライが位置し、そこからデリザスタ、マビキ、まつりと続く。お前たちの仇であるきいは下から3番目。その下にクラウン、最下位にミラーだ」(きいが、下から3番目……?)私は戦慄した。あの圧倒的な暴力で一般人を蹂躙し、私を絶望の淵に追いやったきいが、組織の中では「下位の実力者」に過ぎないという事実に、背筋が凍る。「おい、怯むなよ」神代が私の頭を軽く小突いた。「きいは下から数えた方が早いが、それでもお前たち4級から見れば遥か格上だ。ましてや、きいの上がゴロゴロいる。ベタベタした組織じゃないとはいえ、利害が一致すれば手を組んで動く。覚悟を決めろ」「あ……が……」足元で、動けないたくまの顔が、覚悟を決めたように鋭い眼差しを神代へ向けた。きいへの復讐、そしてブラックナンバーの壊滅。私とたくまの前に、あまりにも巨大で、歪な10人の壁が立ち塞がった。
たたらあなあはあらたた