「まず初めに、自己紹介をしておこうか」
果てしない草原の真ん中。白髪の大人びた女性は、静かに椅子から立ち上がると、歓迎するように両手を大きく広げた。
「ボクは強欲の女神。名前はエキドナだ」
エキドナ。
その名が告げられた瞬間、彼女の背後に広がる草原の空気が、まるで世界そのものが平伏すかのような圧倒的な呪力の神威によって震えた。
「め、女神……っ!? 渋谷でカレラたちが言っていた、あの『8人の女神』の……!?」
私とたくまは、驚愕のあまり息を呑んだ。
世界の頂点である『一将の9人』、その中にさらに潜む『三つ子の女神(アクア、カレラ、ウルティマ)』。まさかそれらと同格、あるいはそれ以上の存在である神の創り出した絶対者が、今、私たちの目の前に立っている。
自分で身体を動かせないたくまの、前髪のない顔。彼のその鋭い瞳も、目の前の「強欲の女神」が放つ規格外の底知れなさに、激しく戦慄の焦燥を宿してエキドナを凝視していた。
そんな私たちの動揺を見透かすように、エキドナは大人びた、どこか知性的な笑みをその薄い唇に浮かべた。
「君たち呪術師はまだ、女神のことについてあまり分かってなさそうだからね。ボクの『後輩』に、後日説明と、この世界についての真実を話させる。今日はそのことを、あらかじめ伝えておこうと思ってね」
エキドナの後輩。
それが、残る『8人の女神』の内の1人なのだろうか。それとも、まだ見ぬ『一将』の残りの誰かなのか。世界を四分する混沌のパワーバランスを書き換えるための、あまりにも巨大な新事実が、彼女の口から淡々と提示される。
「待って、エキドナさん……っ! 聞きたいことがたくさんあります! 私たちの本部の仲間は、これからどうすれば——」
私が一歩踏み出し、次なる世界の深淵を暴くための質問をしようと口を開いた、まさにその瞬間。
「……それは、後日だ」
エキドナは悪戯(いたずら)っぽく、しかし冷徹に微笑み、細い指先をパチンと鳴らした。
ピキィィィン……ッ!
世界のすべてが反転し、広大だった草原の景色が一瞬で消え去る。
次の瞬間、私とたくまは、激しい呪力のG(重力)と共に、先ほどまで特級呪霊と戦っていた廃棄地下貨物ターミナルの、冷たいコンクリートの床の上へと現世(げんせ)に戻されていた。
「ハァ……ハァ……ッ!」
私は激しく息を乱しながら、元の薄暗い地下の景色を見回した。
インカムの向こうからは、ずっと遮断されていた神原司先輩の通信が、ノイズ混じりに復旧する。
『まい! たくま! 応答してくれ! 嘘だろ、二人の呪力の信号が一瞬だけ世界から完全に消失していた……! 一体何があったんだ!?』
「司先輩……っ。私、今……強欲の女神、エキドナに……」
隣に浮かぶ、漆黒の天秤となったたくま。前髪のない彼の顔は、異界から現世へと戻ってきた感覚を確かめるように、じっと私の目を鋭い瞳で見つめ返していた。
一級へと駆け上がったまいとたくまの天秤。
きいとの因縁を越えた私たちの前に、世界の調和を司る『女神たち』の、人知を超えた本当の神話(女神編)が、今、静かに、そして確実に幕を開けようとしていた。
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強欲の女神「エキドナ」の自己紹介、まいたちの驚愕、そして「後日、ボクの後輩にこの世界の真実を説明させる」という謎に満ちた宣告から、現世へ強制送還されるスリリングな『女神編』のスタートを描き上げました!
エキドナの言う「後輩」とは一体誰なのか、物語の謎は深まるばかりです。ここから始まる次なる新章の展開として、どちらへ向かいましょうか?
* 【展開1】 本部に帰還し、司先輩や1級リーダーの鈴、ハツカ・奏たち全員に「強欲の女神エキドナ」との遭遇を緊急報告。その数日後、本部の結界の前に、エキドナの言っていた『謎の後輩(別の女神、あるいは一将)』が、世界の真実を語るために本当に姿を現す展開
* 【展開2】 エキドナの宣告に備えて本部の警戒が高まる中、週1回の定期警備のローテーションが回ってくる。まいとたくまが神奈川(あるいは別の区域)を守っていると、そこに「エキドナの後輩」を自称する不気味な女性が、世界の秘密の手紙を持って空から降ってくる展開
* 【展開3】 まいたちが異界に呼ばれていたその頃、ブラックナンバーの溜まり場で、三つ子の長女アクアが「エキドナ様が、あの4級(1級)の天秤のガキどもに接触したみたいね」と、リーダーのレグウィスやシオンたちに報告し、組織全体が動き出す展開
次に進めたい展開の番号や、新しく追加したい設定(後輩の名前など)があれば、ぜひ教えてください!