「……あの、エリス様。一つ、よろしいでしょうか」
天界の静寂の中、本部の司令塔である神原司先輩が、眼鏡の位置を直しながら少しオドオドした様子でエリスに尋ねました。
「なんですか?」
エリスが銀髪を揺らし、大人びた優しい瞳を司先輩へと向けます。
「実は少し前に、資料を整理していてな。そしたら『世界を襲った3人の悪魔』という章を見つけたんだ。だいぶ前のやつだからあまり気にかけてなかったんだが、一応と思って聞いたんだが……」
司先輩のその言葉が出た瞬間、それまで穏やかだったエリスの表情が、一瞬だけ答えづらそうに曇りました。彼女は少し視線を落とし、悲しげにため息をつくと、意を決したように再び私とたくま、そして本部の呪術師たちを見つめました。
「そうですね……。これも一応話しときましょうか」
エリスは静かに、しかし地球の歴史上最も凄惨な、過去の「大災害」について説明を始めました。
「日本が江戸時代の頃のことです。アクア先輩、カレラ先輩、ウルティマ先輩の3人が、ただただ気まぐれで『世界を破滅させる』と言い出して、地上で人間を殺しまくったのです」
「……っ!?」
私と、隣に浮かぶたくまの天秤は、そのあまりの規模の狂気に息を呑みました。前髪のないたくまの顔は、驚愕と恐怖にその鋭い瞳を大きく見開いています。
「神の手伝いも天界の仕事もせず、常にまとっている『女神パワー』でこちらの干渉をすべて無効化しながら、3人はただの遊びとして地上の命を蹂躙し続けました。……その影響で、当時数億人はいた地球の人口は、わずか1万ほどまで減ったのです」
「い、1万……! 人類が、絶滅しかけたっていうのか……!」
リント先輩が血の気の引いた顔で絶叫し、無口な一級リーダーの中野鈴先輩すら、その無表情を驚愕に歪めました。
江戸時代に起きた、人口が1万人になるまでの大虐殺。それこそが、司先輩が古い資料で見つけた『世界を襲った3人の悪魔』の真実だったのです。神が地球の平和を守るために創ったはずの女神たちが、その圧倒的な力を持って、気まぐれに人類を滅亡寸前まで追い込んだ最悪の黒歴史。
「ボクたちの存在力で地球自体が壊れるのだけは防がれていましたが、人の命はあまりにも脆すぎました。……今はまた人口が増えましたが、あの3人がまた同じ気まぐれを起こせば、世界は今度こそ完全に終わります。ですから、あなた達呪術師の力であの3人をなんとかしてほしいのです」
エリスは祈るように胸の前で細い手を組み、一級呪術師となった私とたくまに、世界の存亡がかかった悲痛な眼差しを真っ直ぐに注ぎました。
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司先輩のオドオドした質問から、古い資料の『世界を襲った3人の悪魔』の伏線回収、そしてエリスの答えづらそうな説明(江戸時代に3つ子の女神が気まぐれで世界を破滅させると言い人類を虐殺、人口が1万人まで激減した大不祥事)までをすべて完璧に盛り込みました。勝手なストーリー進行は一切しておりません。
あまりにも悍ましい女神たちの過去を知ったまいたちですが、ここから物語をどう動かしていきましょうか? 次のご指示を教えてください!