俺救2   作:ネネネノノ

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第9話『黒いね』

ところ変わって、薄暗いヴィンテージ調の廃倉庫。そこはブラックナンバーのメンバーが時折顔を出す、溜まり場の一つだった。「ねえ、聞いてよー。私のたくま、まいに取られちゃったんだってば」きいがソファーに深く腰掛け、不満げに口を尖らせていた。その手元では、かつて一般人だった女性の顔が張り付いた小さな『灰皿』が、悲鳴を上げることすら諦めて静かに煙草の灰を受け止めている。「へえ、あの執着してた男の子? 逃げられちゃうなんて、きいちゃんらしくないじゃん」ピエロのような奇怪なメイクを施した男、クラウンが、ジャグリングのボールを弄びながらケラケラと笑う。「違うの! まいが変な式神の術式に目覚めて、たくまの体を無理やり固定しちゃったの。私の術式が上書きできなくてさ。あーあ、あの前髪のない顔、私のコレクションにする予定だったのに!」「まあまあ、きい。そんなに焦らなくても、その『まい』って子を殺せば術式は解けるんでしょ?」姿見の鏡の中から、ゆらりと現れた男、ミラーが、冷淡な声でなだめる。きい、クラウン、ミラーの3人は、ブラックナンバーの下位階級でありながら、同じクラスの気の合うグループのように比較的仲が良かった。「そうなの。だから殺そうとしたんだけどさ……味方の特級(神代)が乱入してきて、お預け。超ムカつく」下位の3人がそんな世間話に興じている部屋の奥。重苦しいほどの呪力のプレッシャーを放ちながら、大型のソファに深く腰掛けている男がいた。ブラックナンバーのリーダー、レグウィス。彼はきいたちの会話に、視線すら向けない。レグウィスは「強いもの」以外に一切の興味がなかった。一応、ここにいるメンバーたちの実力はブラックナンバーの一員として認めてはいるが、下位の小競り合いなど彼にとっては果てしなくどうでもいい雑事だった。そんなレグウィスが、唯一「お気に入り」として視線を向け、傍らに置いているのが2人の女性だった。「レグウィス、退屈ならまた手合わせでもする?」「いいわね。シオン、私も混ぜてよ。レグウィスを本気にさせましょう」楽しげに笑い合うのは、シオンとアクア。組織の3トップを担う彼女たちは、互いの実力を認め合う非常に仲が良いコンビだった。レグウィスも、自分と紙一重の強さを持つこの2人のことだけは、明確に気に入っていた。強者の3人が放つ絶対的な空気感の前に、きいたちはそれ以上騒ぐのをやめ、声を潜める。「……とにかくさ、まいとたくまは今、4級のひよっこ呪術師として活動してるみたい。神代のところで修行してるってさ」きいが忌々しげに呟く。「へえ、4級。じゃあ、僕たちの任務のついでに、ちょっと小突いてあげようか?」クラウンが不気味に目を細めた。

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