れとろげ!〜無趣味な男がレトロゲー好きの女に振り回される日々〜 作:スーサン
「お帰り……」
悪友のアマハルの冷たい視線にレイジは不貞腐れた表情を浮かべる。
「なんだよその目は」
「別にぃ……」
アマハルの目がますます呆れる。
「昼休みに裏庭とは言え堂々とパンチラ盗撮トークをしてる奴を俺は友達だと思っている事に悲しくなっただけだ。それでも内に残る熱い友情だけは残ってるからことが余計にお前への幻滅を誘う」
「誤解だ!」
机を叩いて抗議する。
「盗撮なんてしてないし、ちゃんと理解もされた!」
「ああ、相手は知らんがお前にも春が来たんだな。今日のメイド喫茶やめとくか?」
「それは行く」
子犬のような視線を向ける。
というかコイツはプライドの塊なのではなくその場のノリで生きてるだけなのだろう。
それでもメイド喫茶だけは行きたいらしい。
「お前が行かなくっても俺は一人でも行くぞ! 俺にとってメイド喫茶は生きがいなんだ!」
アマハルの目が情熱を認めたように潤む。
「親友!」
「悪友!」
ガッチリ手を握り合い二人の間に謎の友情が強化されるのだった。
「でっ……?」
穢れたでも触ったように握りあった手を払う。
「なんであんな大声でパンチラの話なんかしてたんだ?」
「……」
レイジの顔が真っ赤になる。
「俺にも人としての尊厳がある。だから聞かないでくれ」
「見づらい場所にいるとは言え校内で堂々とパンチラ盗撮トークをしてたやつに尊厳もへったくれも無い気がするが……?」
「……」
言い返せず思わず涙が溢れてくる。
放課後になる。
学校を出るとレイジとアマハルはスキップするようにお目当てのメイド喫茶、宅楽楼へと向かっていた。
が、レイジの目が急に真剣になる。
「今日のシフトの娘、わかってるのか?」
「安心しろ!」
アマハルも鍛えられた腕でガッツポーズを取る。
「この辺のメイド喫茶のキャストの娘のシフトは完全ではないがしっかり予測できてる。まぁ多分に予想だがな……」
レイジの眉毛ぴくっと動く。
「本当ににゃーちゃんは今日はいないんだな?」
「それは保証する。今日はないはずだ。この前の時点で三勤目だから今週はもういないはずだ」
「信じてるぞ、悪友」
「前から思ってたけどお前、絶対に親友って言わないよな」
るんるん気分で二人は新しい開拓地であるチャイナメイド喫茶宅楽楼へと向かう。
「ただいまぁ♪」
「先輩、待ってましたよ♡」
「はっ……?」
奥のテーブルで「氷室天愛(ひむろあまめ)」が待ちくたびれたと言った顔で頼んでいたジュースを飲んでニヤついていた。
「メイドが仕事のない日に「ご主人様」になっちゃいけないルールはないですからね♡」
鋭い眼光で……
「逃がす気はありませんよ♡」
「……」
レイジの脳内にもう一人の悪友、千早サクトの言葉が思い出される。
『天愛に付きまとうな。このストーカー野郎』
(俺のほうがストーカーされてねぇ?)
つづく