れとろげ!〜無趣味な男がレトロゲー好きの女に振り回される日々〜   作:スーサン

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第十七篇「新ハードでより美麗になった3Dギャルゲーの美しさと可愛さに興奮するモブ男と美少女が戯れる話」

「で、このフォトラブkissってなんなんだ? よくある完全版か?」

「いえいえ、これは言ってしまえばリメイク。もといフォトラブの究極体です! 先輩ってディジモンとか好きそうですよね」

「良く知ってるな?」

「捻くれ者ですからね」

「うるさい」

 

 額にチョップする。

 天愛もどこか愛おしそうに額を撫でゲーム機を指さす。

 

「まずは究極のハイスペ機PZvitaだからこそ可能なこの高グラフィックを堪能してください!」

「あ、妹のカノが現れた……ていうか画質上がって綺麗になってるな!」

 

 無邪気に懐いてくる妹を引きはがす。

 レイジはキメが細かくなった妹の画質に目を瞬かせる。

 

「昼やったものと比べると雲泥の差だな?」

「ふぅん♪」

 

 天愛の鼻息が得意げに荒くなる。

 

「なんとこのフォトラブkissは前作のPZPのフォトカノの画素数約13万ドットからの四倍の解像度の約52万ドットに跳ねあがっているんです。もはや画面だけでも別物です!」

 

 甘えるように肩と肩をくっつけ猫撫声を出す。

 レイジの腕が肩をくっつける天愛の身体を引き剥がす。

 

「元から可愛かったけど画質が良くなってより可愛くなったな。お、写真モードか?」

 

 妹のカノがポーズを取る。

 レイジもカメラを構える。

 

「うん? ジャイロモード? なんだこれ?」

 

 反射的にジャイロモードをオンにする。

 

「おっ……なんか画面がいきなり下を向いたぞ!?」

 

 足元を映す画面に天愛の手がそっとPZvitaの本体を真っすぐに傾ける。

 

「ゲーム本体を前に構えてください」

「え……?」

 

 重なる天愛の手に引っ張られ本体の位置を前に傾ける。

 

「あ……画面の位置がゲーム(カメラ)と同じ向きに直った」

「そうです」

 

 ぷるんっと大きな胸を張って自慢する。

 

「ジャイロモードとはPZvitaの新機能のジャイロ機能を利用して本体を傾けて自由な角度で写真を撮れるんです。私はこれにハマってしばらくこればっかりやってた時期がありました」

「た、確かにこれは面白いな……」

 

 画面の位置を自分の手で自由に角度を変えられることにレイジも思わず興奮する。

 ふと思い出したように聞く。

 

「これって近くで撮らないといけないのか? 確か前のゲームは近くで撮らないと高ポイント貰えなかったんだよな?」

 

 PZPのフォトラブは採点機能上アップで写真を取らないと高得点が貰えないシステムになっていた。

 逆に言うと引きの写真は高ポイントが貰い辛かったのである。

 天愛も目がますますキラキラと光る。

 

「それなら一度画角を引いて自分がいいと思った角度で撮ってください」

「こうか?」

 

 少し距離を取りながら妹と背景がいい具合に映るバランスを見つける。

 そのままカメラ(ゲーム)のRボタンをパシャッと押す。

 カチッと音が鳴る。

 

 ピロリンッ♪と気持ちのいいメロディーが流れる。

 画面右下にBeautiful890と出る。

 

「ある程度離れていても高ポイント貰えるのか?」

「どうです?」

 

 ふふんっとこれ以上無いまでに胸を張る。

 ついでに自分の胸がレイジの手にわざと当たるよう近づこうとするもやはり頭を押さえつけられ未遂に終わる。

 

「採点システムが改良されてユーザーがいいと思ったポーズや画角がゲーム内で柔軟に反応してポイントを割り振ってくれるようになったんです。これで前回(PZP時代)まではアップ前提の絵作りが基本でしたが、このゲームでは引きの美学も楽しめるようになってるんです!」

「それは面白い」

 

 レイジも前作の不満を解消した顔で目が輝く。

 

「どうせだからもう一枚Beautifulを撮って次はeroticismを獲得するか!」

 

 少し視線を下げながら空と妹が重なるようにアングルを固定する。

 

「先輩、一応言っておきますけど……」

 

 パシャッとシャッターを押す。

 ビヨンとどこか艶のある音楽が流れる。

 

「あれ……この蕩けるような淫靡なSEは?」

 

 eroticism900ポイントをゲットする。

 

「大してエロくない画角なのにエロ画像扱いされて高ポイント貰ったぞ?」

 

 小首をかしげるレイジに天愛もおかしそうに笑う。

 

「このゲーム謎の採点システムが発生してBeautifulを撮ったつもりがなぜかeroticismで高ポイントになるんです♪」

「へぇ……」

 

 レイジの目が冷たくなる。

 天愛も挑発するように耳打ちする。

 

「ムカつきます?」

「全然! むしろむっちゃ楽しいじゃん!」

「ですよねぇ♡」

 

 二人のテンションが上げ上げになり始める。

 その姿を見ていた喫茶店の裏側にいたチャイナメイド達の目がニヨニヨとする。

 

「あれって……そういうことよね♪」

 

 二人を眺めながらチャイナメイド達は年頃の女の子らしくウッフキャキャと噂話を始めるのだった。

 

 

つづく

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