れとろげ!〜無趣味な男がレトロゲー好きの女に振り回される日々〜 作:スーサン
昼時間になる。
ロインに連絡が来る。
『今すぐに学校裏庭の時計台広場まで来てください!』
面倒臭かったが無視するともっと面倒臭いことになりそうだったから嫌々いくことにする。
指定の場所まで来ると……
「遅かったですね」
ゲームをしていたスマホを閉じ顔を上げる。
レイジの表情が不貞腐れる。
「五分も経ってねぇよ」
「予定がないくせに五分もかかるんですか?…」
「午前の授業終わってすぐに来いなんて言われてすぐに来れるか」
「そこに座ってください……」
「はぁ……」
ボロボロのベンチに座り腕を組む。
「……」
ポケットからハンカチを取り出し隣の席に敷く。
「先輩ってキザって言われません?」
「知るか」
レイジの敷いたハンカチの上に尻を乗せ座ると天愛はハッと気付く。
「まさか私のお尻で敷いたハンカチを欲しくな……あいた」
額に手刀をくらい目の前がくらくらする。
「バカ言ってないで要件を言え要件を」
「割と本気で手刀をくらわせましたね……」
脳が軽く揺さぶれながら天愛は手に持っていたスマホを弄りだす。
「昨日の私も今度の休日の予定をチェックしたんです。なにせ私自身もデートは初めてだからいろいろ気合が入って」
「サクトとはしないのか? アイツ、デートとか好きそうだけど?」
「デート? 適当に二人っきりになるよう誘われたことはありますね。自販機でお茶を買わせて帰りましたけど……」
眉間を指で揉む。
「サクトさんの暇潰しに利用されるなんて不愉快です!」
「……」
少しだけサクトが哀れに感じてきた。
(たぶん氷室さんが一番のお気に入りなんだろうけど一番相手にされて無いとは……)
可愛そうだから今度アマハルと一緒にメイド喫茶巡りにでも誘ってやるかと考える。
たとえあいつが嫌がっても……
「今度の土曜はまず九時半に駅で待っててください。その時間に到着して街である狐小路(きつねこうじ)まで出かけましょう」
「狐小路?」
「はい。電車で二十分くらいの距離の都会です。そこでゲームショップ巡りをします!」
「ゲームショップ巡り?」
「最低五件は回りますから前日はしっかり寝ててください」
「え、五件? まさかゲームショップを五件回るのか?」
「少ないですかね?」
「いや一件で十分じゃないのか? たかがゲームだろう。欲しいモノがあるなら最悪ダウンロードでもいいし……」
「バカを言わないでください! ストアが閉鎖した今、PZ以前までのゲームがダウンロード販売してと思いますか?」
「あ、やっぱり古いゲームを買うのね」
「当然です!」
ぷるんっと大きな胸を張る。
少しだけドヤァとレイジに見せつけるように自分の胸を揺らす。
レイジの目がそっと横に逸れる。
天愛は得意げに笑う。
「あっちこっち回ってレアなゲーム、面白いゲーム、少しクソなゲームを探しまくります! 考えるだけでワクワクしません♡ まだ持たぬゲームとの出会い♡ まるで気分はトレジャーハンター♡」
「出来れば家でゆっくりしたいからゲーム巡りは一人で」
「先輩……実は面接受けた時に貰った名刺なんですけど一枚あげます」
「こ、これは……水着風メイド喫茶「美黄似(ビキニ)」の名刺!? 存在してたのか!?」
「いります?」
「ああ!」
「デートは?」
「……よ、悦んで」
「この名刺捨てましょうか?」
レイジの失礼極まりない態度に天愛も不満を漏らし頬を膨らませる。
だって誰だって水着好きでしょう?
と、天愛の脳裏に謎の声が聞こえてきた。
(私も確かに好きですけど……)
自分の大きな胸を見て、今度の夏休み無駄金払って新品の水着でも買ってレイジに見せてやろうかと考えるのだった。
つづく