れとろげ!〜無趣味な男がレトロゲー好きの女に振り回される日々〜 作:スーサン
「で、なんなんだその列車でゴーって?」
休日の朝と言うこともあり空いている電車のイスに座るとレイジは腕を組んで隣に座る天愛を見る。
天愛も得意げに人差し指を立てる。
「元々列車でゴーはアーケードで稼働したのですが後(のち)にPZで移植され一気に爆発的なヒットを起こしたんです!」
「へぇ……?」
あまり興味ないと言った顔で頷く。
天愛は気にした風もなく続ける。
「この列車でゴーのすごい所はリアルな列車の動きを再現したシミュレーションゲームで当時は子供がハマるというよりは列車に興味のあったお父さんがハマったって感じです。とにかくリアルでどれくらい正確なダイヤで駅から駅まで辿り着けるかがゲームの肝の通好みの傑作ゲームなんです!」
「それって面白いのか? 教習所の車のシミュレーションとなにが違う?」
「先輩!」
「な、なんだよ?」
肩を掴まれ可愛い顔を近づけられる。
天愛の目が力強くレイジの濁った目を持見つめる。
「先輩はロボットとか好きですよね?」
「あ、ああ……人並みにな」
サブスクでは90年代のロボットアニメばかり観てるか言うか言わないか迷った。
甘めの表情が華やぐ。
「実は置く場所の問題もあるので私は買う気がないんですがこの世界には超リアル志向のロボットを操縦する「鉄騎」というコントローラーがロボットの操縦桿になった超本格的なロボットゲーがあるんです!」
「そ、それがなんだよ……?」
「ロボットをリアルで動かせるとしたらやりたくなりません? 例え不便極まりなくっても?」
「ま、まぁ確かにな……」
ロボ好きとしては夢だろう。
天愛は手を空に切りながら電車の操縦桿を動かすジェスチャーをする。
「列車でゴーも運転士になることには興味なくってもリアルな列車を操縦したいというお父様が多いんです。ようするに先輩にとってロボットを操縦するのとお父様が列車を運転するのは同じなんです!」
「そ、そうなの」
「そうなんです!」
大きな胸をぶるんっと揺らしながら迫ってくる。
レイジは少し怯えた表情で頷く。
「わ、わかった! わかったから食い気味に近づくな! 怖いから!」
「これは失礼」
肩を離し、揺れる胸を手で支えながら一息つく。
「それじゃ列車でゴーのついでに鉄騎について説明しましょう。これはプレイしたことがないので人から聞いた程度の知識ですがいつかやってみたいものですね」
「そ、そうなの……」
「はい。まず私がなぜ場所の問題があるから買うのをやめてるというとその理由はコントローラーにあります。あ、ちなみに検索したので観てください」
「うん? うん?」
スマホに映し出された「ロボットの操縦コントローラー」を見て目を瞬かせる。
「なんだこれは? こんなガチのロボットのコックピットのような操縦桿のコントローラーがゲームのコントローラーなのか?」
スマホの画面に映るどう見ても気軽に遊ぶタイプのゲームでないコントローラーに小首をかしげてしまう。
天愛も自慢げに鼻を鳴らす。ついでに胸も揺らす。
「このゲームはZ—BOX専用ソフトでミクロソフトはこのバカげたコントローラーを見せられて歓喜したみたいです」
「なんでだ?」
「我々はこんなバカげたゲームを売りたくってハードを作ったんだと」
「ミクロソフトは世界一の技術屋だからな。この手のクレイジーなモノには目が無かったんだろうな……」
実際コントローラーだけ見るなら男の子なら誰でも欲しくなるだろう。
フットペダルまであるし……
「ちなみに赤字はギリギリ回避だったみたいです」
「赤字を回避しただけでもすごいな」
「今の時代ならギンテンドーズイッチ2でなんとかなりそうな気もしますけどね」
「売れればな……」
ハァとため息を吐く。
なにかドッと疲れた気がする。
(でもこのコントローラーでゲームはしたいよな)
家に帰ったら少し通好みのアニメでも見るかとバンザイチャンネルに入ってるレイジだった。
つづく