れとろげ!〜無趣味な男がレトロゲー好きの女に振り回される日々〜 作:スーサン
「さぁつきましたよ!」
レイジの手を握ったまま振り返る。
「我らがホームグラウンド、振回市(ふりまわしし)繁華街! その名も狐小路通り(きつねこうじどおり)!」
意外と栄えている街を指差し天愛の日々、夢と共に大きくなる巨乳が揺れる。
「はぁ……」
レイジのつまらない作りをした顔がげんなりする。
「俺、人が多いところ嫌いなんだよ」
引きこもり系オタク特有の弱音を吐く。
「なぁ帰ってアニメでも観ない?」
「ダメです!」
手を握ったまま顔を近づける。
「今日は私とデートなんですよ! 例え吐いてでも付き合ってもらいますから!」
「鬼かお前は……」
またため息が漏れる。
天愛の豊満な巨乳が前に張られる。
「安心してください。今から行くところは意外と人が少ないので……」
握った手をさらに力を込めて走り出す。
レイジも慌てて手を引っ張られるまま走り出す。
「ちょ、引っ張るな!」
運動不足のレイジにとって日々、チーム千早で安っぽい青春を過ごして体力だけはついている天愛の力には敵わなかった。
「っ……」
途端、天愛の目が見開く。
「先輩、隠れて!」
「え……お、おい!?」
天愛に引きずられるまたビルとビルの間に無理やり隠れさられる。
「うっ……」
小さな手で口を押さえつけられる。
天愛は自身の巨乳をレイジの胸板にくっつけながらもう片方の手で人差し指を立てて静かにしろとジェスチャーする。
チッと舌打ちする。
「邪魔者がいました」
「ぷはぁ……邪魔者?」
ビルとビルの間に隠れながらレイジも天愛の視線を追って外の風景を見る。
レイジの目がキョトンとする。
「なんだサクじゃないか」
「なんで普通にフレンドリーな呼び方を?」
外では腕を組んでキザに笑う千早サクトとその取り巻きの一人だった少女がどこか他人を馬鹿にした雰囲気を出しながら歩いている。
どうやらサクトはチーム千早のメンバーの一人とデートをしてるみたいだ。
デート相手の女の子は背が高くどこか大人びている。
天愛はレイジの胸板から自分の巨乳を放す。
今いる方向と反対側を指差す。
「少し遠回りになりますがあの自己陶酔男と鉢合わせるよりはマシです。別コースを渡りましょう」
手を引っ張る天愛にレイジの声が呆れる。
「別に鉢合わせてもいいだろう。お互いデートみたいだし少し挨拶して」
「あの気に入った相手に馴れ馴れしいサクトさんが私の顔を見てダブルデートしようと言わないと思います?」
「……まぁ確かに気分をよくして俺の存在無視してダブルデートとか言いそうだよな。あいつ、基本自分に都合のいい方向に物事を考えるし。まぁそこがいい所なんだがな」
「だからなんで普通に昔馴染みの親友のように仲のいい関係にしてるんですか?」
「いや友達だからな。仲の方はすでに一度話し合って親交を深めてるしきっとあいつも俺のことを悪友と思ってくれてるはずだ」
「絶対に先輩がろくな会話せずに一方的に気に入っただけだと思いますよ」
「あ、その点を考えると俺もサクも似た者同士なのかもな?」
天愛の手がレイジの胸ぐらを掴む。
「今度、先輩がサクトさんと同じ穴の狢と言ったら二度と同じことが言えないよう調教し直します……」
「お、俺をなんだと思ってるんだ」
「いいから行きますよ……」
胸ぐらから手を離し、またレイジの手を握る。
「あの面倒な男に逢うとせっかくのデートが台無しです!」
「そこまで嫌ってるのになんでチームから抜けないんだ?」
「……」
顔を赤くする天愛にレイジは心からわからないと言った表情を浮かべる。
つづく