れとろげ!〜無趣味な男がレトロゲー好きの女に振り回される日々〜   作:スーサン

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第十篇「たどり着いたゲーム街でまさかのガチャガチャを見つける話」

「えぇっと……ここを抜ければ……」

 

 レイジの手を引っ張りながら天愛は迷路を通るようにビルとビルの間をくぐり抜けていく。

 レイジは呆れたように言う。

 

「手を握らなくっても普通に歩けるから離してくれないか?」

「ダメです!」

 

 握った手に力を籠める。

 

「放したら先輩が逃げる可能性があるじゃないですか!」

「逃げねぇよ。約束は守ってもらいたいからな……」

「……」

 

 天愛の小首が少し上がる。

 

「訂正します」

 

 ため息を漏らす。

 

「私が先輩の手を握りたいから握ります。これでいいでしょう」

「そもそもなんで俺の手を握りたい?」

「そりゃ先輩の手は大きくって気持ちいいですからね。なんならお礼に私のこの胸を触らせてあげましょうか?」

 

 レイジの方に振り返りながら天愛は手を握ってないもう片方の右手で自分の巨乳を持ち上げる。

 レイジの視線が横を向く。

 

「ふざけるなら帰るぞ。メイド喫茶くらい自分で探せるしな……」

「うぅぅ……」

 

 支えていた右胸を放す。

 自由になった右胸が少し揺れる。

 レイジの目がまた泳ぐ。

 天愛はレイジの手を握りながら右手を腰に当てる。

 

「よしここまでくればもうサクトさんとは逢わないでしょう」

 

 ビルとビルの隙間を抜けると天愛の手がレイジの手から離れる。

 

「お待たせしました!」

 

 縁起かかった態度で両手を広げる。

 

「ここが私達の今日のデートスポット! 狐小路12番街通称「ゲーム街」です!」

「地味に狐小路って大きかったんだな?」

 

 馴染みあるつもりの地元なのに街の大きさに感嘆とする。

 天愛もふふっと笑う。

 

「日本でも変わり者だけが集まる街ですからね!」

「俺もその変わり者なのか?」

「さて、ゲーム街に来ましたし、まずは近場から行きましょう!」

 

 背中のリュックを背負い直す。

 ふとさっきまで握っていた手をふりふり振る。

 

「可愛そうですがここからは手は繋いで上げれません。荷物が多くなる可能性がありますしね……」

「別に残念じゃねぇよ……」

「ふふっ……♪」

 

 スキップするようにゲーム街に入っていく。

 ふと天愛の目線が小さなガチャガチャへと向けらる。

 

「レトロゲーガチャ……こんなの出来たんですね?」

 

 手作りのポップアップで「最大2000円のGTAソフトととDSソフトのレトロゲームが当たる」とちょっと古臭いガチャガチャのプラスチックケースに貼られていた。

 

「へぇ……面白そうだな?」

「興味がありますか?」

 

 天愛の顔がニヤニヤと近づく。

 

「鬱陶しい……」

 

 レイジの手が天愛の頭を引きはがす。

 レイジの目がギョッとする。

 

「って、一回五百円も払うの? いくらなんでも高すぎない?」

 

 天愛の目がキラキラする。

 

「でもレトロゲームをガチャガチャで当てるなんて浪漫がありません♪ やりましょやりましょ! もしかしたら持ってないGTAのソフトが当たるかもしれませんよ!」

「なぜ、ひと世代古いゲームの方を欲しがるんだ?」

「あ、小銭がない」

 

 がま口財布を開き目を瞬かせる。

 

「確か近くに自販機があったはず……先輩ってコーラ好きですか?」

「そこまでしてやりたいの?」

「はい! ガチャガチャが嫌いな奴はオタクじゃありません!」

「……確かに」

 

 レイジもオタクだからその辺だけは共感できる。

 ただ古いゲーム、しかもなにが出るか分からないゲームソストのために五百円も金を出す精神だけは理解出来なかった。

 

 

つづく

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