れとろげ!〜無趣味な男がレトロゲー好きの女に振り回される日々〜 作:スーサン
ソラトメカをプレイしながらレイジの目が穏やかになる。
「結構難易度低いな」
「そうでしょうしょうでしょう♪」
天愛もレイジの隣で大きな胸を揺らしながら跳びはねる。
が、すぐに不機嫌になる。
「だからいい加減にゲームを返してください!」
天愛の手がゲームをプレイするレイジの手を掴もうとする。
「あ、ちょ、もうちょっと……もうちょっとだけやらせて」
レイジも慌てて天愛の手から逃げる。
天愛の目が涙目になる。
「そう言って一章めをクリアしたじゃないですか! もう私の番です! 返してください!」
レイジの持つギンテンドーDSを取り返そうと天愛の小さな身体が襲い掛かる。
「あ、おい……あぶなぁ!? うわぁ!?」
「きゃっ……!?」
レイジと天愛の身体が絡まるように倒れる。
「痛ぁ……くない? って!?」
「あっ……?」
天愛の顔が真っ赤になる。
自分の胸の中に埋もれるレイジを認める。
「……」
「……」
お互い顔を真っ赤にして固まる。
「おい……何度顔を洗わせる気だ?」
洗面台の前でレイジはまた冷水で顔を洗っている。
顔を洗えと命令した天愛は自分の胸を隠して怒鳴る。
「さっきの私の胸の感触が顔の表面から消えるまで洗ってください!」
「散々武器にしておいてこれかよ?」
「私にだって羞恥心はあります!」
「男を家に連れ込んでるくせに?」
「うるさいです!」
天愛の喉から怒鳴り声が響く。
レイジも借りた洗顔クリームをたっぷり付け、顔を洗う。
(ちょっと勿体ない気もするけどな……)
胸と顔だけはいい女だからなとレイジは思ってしまう。
「まったく……」
レイジの背中を見ながら天愛は自分の細い腕を組む。
「どうせ今日もお休みですし、今度こそデートの仕切り直しをしましょう」
「それはいいけどまた狐小路に行くのか?」
「サクトさんがいる可能性が捨てきれませんからね。今日は別のところに行きます……」
「別のところって?」
「ゲーム店はなにも「街(都会)」ばかりにあるわけじゃありません。むしろ田舎だからこそあるんですよ!」
「なんか面倒臭くなってきてたし俺、この家でゲームがしたいんだが?」
「いいから来る! せっかくお金を降ろして使わないなんて私は許せません!」
「あ、コイツ、金を使うことも好きなタイプなんだ……」
日々微々たる小遣いをどう使うかで悩むレイジには羨ましい生活だと思うのだった。
「ここどこ」
振回市の端にある小さな店が寄り集まった路地街にまで来るおレイジは小首を回す。
天愛もむっちりした足を踊らせるように走らせ頷く。
「はい。来るのに少し時間がかかるわりに回るのに十分もかからない小さな場所、振回市一番通り路地街です。この小さな一本道になってる路地街をあっちこっち入っては回ろうかと思います」
レイジも太い腕を組んで、一本道の路地街を見通す。
「なんか少し趣はあるな?」
狐小路のように発展してるとは言い難いが人の行き交いは負けてない路地街。
天愛の手がレイジの手を握る。
「ここならあの見栄っ張りのレイジさんなら絶対に来ません! キラキラした世界にしか興味のない男がこんな地味で狭い場所は好みませんからね! 自称陽キャ一軍勝ち組軍団にこの路地街の良さは永遠にわかりません!」
「お前ってちょくちょくあの男をディスるけどそんなに嫌いならチームから離れてもいいんじゃないか?」
「レイジさん……別に私はサクトさんを嫌ってませんよ。ウザいやつとは思ってますけど……」
「さいですか……」
手を引っ張られレイジも慌てて足を前に走らせる。
つづく