れとろげ!〜無趣味な男がレトロゲー好きの女に振り回される日々〜   作:スーサン

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第二十一篇「弁当を全て食われるも衝撃の真実を知ってしまい天愛が呆れる話」

「ふぅぅ……」

 

 膨れた腹を撫でる。

 

「久しぶりに人間の食事を食べた気がしました」

 

「人の弁当をまるまる食ったな」

 

「先輩のお母さんに美味しかったと伝えておいてください」

 

「はいはい……」

 

「あ、それよりも先輩? 頼んでいあったオリエンテーリングの書類出してくれました?」

 

「うん? ああ、たぶんアマハルが出してくれてるはずだ」

 

「それを聞いて安心しました。先輩は信頼がないですからね……」

 

「うるさい」

 

 ハァとため息を吐く。

 

「そもそも、なんでインドア派の俺がわざわざオリエンテーリングに参加しないといけないんだ?」

 

「それはもちろん、私が先輩とキラキラした青春の一ページを刻むためですよ!」

 

「それ、チーム千早と同じ発想じゃないか。安っぽい青春を送りたいって……」

 

「せんぱぁ~~い♡ 今度、私をチーム千早と同じと言ったらその口、縫い付けてやります♡」

 

「わ、わかったから俺の首をガクガク振るな! 酔うからぁ……」

 

「まったく……私の考える青春とサクトさんの考える青春は違うんです!」

 

「なにが違うんだ?」

 

「まず私の青春に先輩は必要不可欠です。例え嫌がっても私の青春白書に先輩の名前を刻んでやります!」

 

「そこ自分の思い込みで他人を害するサクとなにが違うんだ?」

 

「私には可愛げがあります」

 

「どっこいどっこいだよ」

 

 ギロッと睨まれるも無視することにする。

 

 親に持たせてもらったお茶を飲み、喉を潤す。

 

「でもオリエンテーリングって。俺は家でゲームをやるかアニメを観たいんだがな」

 

「アニメですか……なにを見てるんですか?」

 

「そりゃまぁ……最近は元気一発ガンバリウスを観てるぞ!」

 

「……今度は私が頭に「?」を浮かべてます」

 

「知らなくってもいいよ。90年代のアニメは通が知ってればいいだけだしね」

 

「先輩も大概面倒臭いオタクですね……」

 

 不意に思いついたように口を開く。

 

「そもそも先輩ってゲーム好きな割にゲーム詳しくないですよね? ゲーム好きなら多少知っていてもおかしくないゲームも知りませんし」

 

「そりゃ仕方ないだろう。ゲームにハマったのって今年に入ってから出し」

 

「はい?」

 

 意味が理解出来ず天愛の目が瞬く。

 

 レイジもそういえば言ってなかったなと納得する。

 

「俺、去年までは小遣いが千円しかなかったんだ」

 

「せ、千円?」

 

「それを今年から五千円に上げてくれてな」

 

「小学生の小遣い並しか貰えてなかったんですね」

 

「ちょうど親戚のオジサンがズイッチ2を買ったから古くなった旧型ズイッチを譲ってくれたんだ」

 

「オジサンナイスです!」

 

「だからそれまでは貰ってた小遣いはサブスク代に消えてたんだ。月千円でアニメ見放題だからな」

 

「な、なるほど……」

 

 思ったよりもリアルな方向でショッキングな話だった。

 

「バ、バイトする気は無かったんですか?」

 

「特に困ってたわけじゃないしな」

 

「趣味のメイド喫茶は五千円じゃ楽しめませんよ!」

 

「メイド喫茶は貰ってるお年玉を崩して行ってるんだ」

 

「く、くだらない……」

 

「月五千円で楽しくやってるよ」

 

 レイジも多少しょうもないと思ってるのかハハッと笑う。

 

「先輩!」

 

「な、なんだよ?」

 

 肩をガシッと掴まれ顔を近づけられる。

 

「バイトしましょう♡ 私が働いてる宅楽楼、力仕事が出来る男性スタッフを募集してるんです! 時給は高いですし、なによりもシフトさえ合えば私とずっと一緒にいられますよ♡ いいことばかりでしょ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」

 

「……ふっ」

 

「せ、先輩♡」

 

「い・や・だ!!!!!!」

 

 

つづく

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