れとろげ!〜無趣味な男がレトロゲー好きの女に振り回される日々〜 作:スーサン
「ぶっはぁぁぁぁ……」
ゲームを終えてレイジは口から煙を吐く。
割と太めの首がガクンッと落ち、伸びをする。
「クリア出来たぁ……」
GTを持ち上げながら晴れ晴れとした笑みを浮かべる。
天愛も手をパチパチ鳴らす。
「おめでとうございます。格好良かったですよ」
「そりゃどうも……」
小首をコキコキ鳴らす。
「はい、ゲームトイを返すよ」
「どうも……がっつり先輩の手汗がついてますね」
「悪かったな! はいハンカチ」
「気が利く男はモテますよ」
「モテてぇよ」
レイジから借りたハンカチでGTの持ち手部分を綺麗にする。
天愛は相変わらず少し淡々とした声と表情で両手を上げる。
「そんな気の利く非モテな先輩にいい情報と悪い知らせがあります。どっちを聞きたいです?」
「なんだよ……そのアメリカンな言い回しは?」
「ではまず、いい情報です」
「答えは聞いてないのね」
天愛の目がにっこり優しく笑う。
「ゲームに夢中になってる先輩の姿を見て私の好感度が上がりました。たった今、私の「状態」が「ときめきモード」に入りました。はい拍手」
パチパチと手を叩く天愛にレイジは眉を顰める。
「なんだよ……そのときなんちゃらって?」
「……こりゃ教え甲斐がありそうですね」
目の奥に少しだけハートマークが浮かぶ。
もっともレイジは気付いていないが……
「で」
ひと息間をおいて天愛の澄んだ瞳を見つめる。
「悪い知らせは……」
「……これ」
「これ?」
天愛の細い指がレイジの左手を指さす。
「……?」
左手を差され、無言で腕時計を認める。
「え……?」
ゾッとする。
「もう十六時じゃねぇか!?」
思わず絶叫する。
「俺、昼からずっと授業サボってこんな古いゲームをやってたの!?」
「しかもゲームオーバーを三回も四回も繰り返してラスボスまで行きましたからね……途中べそもかいてますし」
「やかましい!」
頭を抱え項垂れ、頭をぼさぼさと掻く。
「まさか授業態度だけはいい俺が昼の授業をボイコットするなんて……」
「いいだけでどうせ成績は良くないんでしょう」
「やかましい!」
「いいじゃないですか。半日くらいサボっても進級には影響しませんよ」
レイジの頭を撫でながら天愛はニコニコと笑う。
「ちなみに先輩は今日はお夕飯は家ですか?」
「うん……ああ、家で母さんが作ると思うけど……」
天愛の顔がどこか楽しのしそうに綻ぶ。
「だったら今日はお母さんに友達の家で食べると連絡をしてください。私のお家でご馳走します♡」
「………………………………………………………………はぁ?」
つづく