れとろげ!〜無趣味な男がレトロゲー好きの女に振り回される日々〜 作:スーサン
「て、ことでどうぞ……」
「意外と遠くに住んでるんだな?」
駅を何個か飛ばしてようやく天愛の家に到達するとレイジはクタクタになっていた。
「ええ、自分でも遠いと思います」
天愛も小首をコキコキ鳴らす。
「個人的諸事情で遠くの学校を選んだんです」
「その諸事情ってあの古いゲームに関係してるのか?」
「スリッパ入ります……?」
「お願い」
二階に上ると天愛はレイジを誘って自分の部屋へと上がる。
部屋に入ると天愛は短いスカートを二度、三度パンパンと手で叩き気分を入れ替える。
「先輩、ジュース持ってきますね」
「あ、お茶か水でいいよ。気を使わせると悪いし」
「ゴストコで大量に缶コーラを買ってるんですけど量が多いので誰かと一緒じゃないと飲めないんです。なんせひと缶で大きめのコップ二個も入りますから」
「自分が飲みたいだけなのね……じゃあ頼むよ」
「待っててください♡」
わざとスカートの丈をふわぁと舞わせるように背中を向ける。
そっと振り返りながら人差し指を唇の前に立てる。
「臭いを堪能しないでくださいね……」
「誰がするか!」
ふふっと笑いながら天愛は部屋を出ていく。
「……」
部屋に残されたレイジは首を右へ左へと向ける。
「汚い部屋だなぁ……」
物が溢れかえっている部屋を認め眉毛を顰める。
「本当に女の子の部屋か……?」
部屋の奥にはドンッと50インチの大きめのテレビがテレビ台の上に置かれ堂々としていた。
テレビ台のガラスケースの中にはいくつかの据え置きハードが乱雑に置かれ、コードがタコ足のように散らばっている。
「あ……ズイッチ2だ。持ってるんだ」
最新ハードを認め、レイジは少し羨ましくなる。
「俺、ネットに入ってないから応募資格そのものが無かったんだよなぁ……うん、なんだこれ?」
一番隅に置かれた正方形の白いハードを認める。
「これと紫のゲームハードだけ不思議と異彩を放ってるな……」
完全な正方形の紫色のハードと白く少し平坦な白いゲームハードに興味を持つ。
「こっちの紫野は見たことがあるな……確か「ゲームコア」だっけ? 銀天堂の爆死ハードって言う」
「爆死じゃありません! 当時にゾニーが強すぎただけです!」
「おっ……戻ってきたか?」
戻ってきた天愛を認めレイジの目が瞬く。
「着替えたんだ」
「部屋着ですけど先輩が目に焼き付けたいなら好きなだけ焼き付けていいですよ♡」
「それよりもこっちのゲームコアは知ってるけど、こっちの白いのはなに……?」
「それに目をつけるとはやはり先輩は見込みがありますね……」
コーラジュースの入ったコップを置いたトレイをレイジの前に置くと伸びをする。
少し大きめの胸が突起し、レイジは慌てて目を逸らす。
天愛は少し大きめのコントローラーを握る。
「ちょうどどら焼きを持ってきたので新しいゲームを紹介しましょう」
「新しいゲーム?」
「はい。ドリームカスタムが販売した時に同時に宣伝されたとっておきです♡」
ニコッと笑う天愛にレイジは……
(俺はズイッチ2を触らせてほしいんだけどなぁ……)
未だに手に入らない最新ハードを横目にレイジは手渡されたコントローラーを握る。
つづく