夜海家長男はフラグをへし折り続ける   作:吉田正鷹

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episode11 久々の帰宅早々やらないといけないことがあるとちょっとナーバスになるよね

「ただいま〜……はぁ、つっかれた……」

「おかえりなさいテンマ。かなり疲れてるみたいだけど……」

「そりゃそうだよ、講習会行って数日バカンスするはずがなんで海女取島でまで魔人と遭遇しないといけないんだってーの、それもめちゃくちゃ面倒な能力持ちだったし」

「大丈夫だった?」

「大丈夫じゃなきゃ今ここにいないでしょうに」

「そっか」

「そうだよ。ま、心配してくれたのは素直に嬉しいけどね」

 

 久々の自宅はあまりにも癒しであった。何せ海女取島では過去イチ面倒臭い魔人を相手にしたワケだからな、いくらシイナとセツナを守る事が出来て恐らくアニメ1話部に関わる事が出来た達成感と喜びと興奮があるにしても疲れるに決まっている。

 

 まさか融合合体するとは誰も思わんだろだって。

 いや融合合体と言っても正確には違うというか、シイナが魔人化してる時のみセツナの意識と能力だけシイナの中に宿るというか……肉体は現実に残ってんだよな、分かりやすく言うと仮面ライダーW方式だ。この世界に仮面ライダーWが無いせいで説明が死ぬほどややこしいのが致命傷だが。

 

「でもその分誰かを守れたんだろ?やっぱりテンマは自慢の息子だよ」

「怪我が無くて良かったわ」

 

 家族って本当に良いもんだな、何年経ってもこの幸せを噛み締められる喜びが何よりの至福だ。

 

 そう言えば、というかシイナとセツナだが今後についてはどうするかは決めかねているという。

 

 

 

『あたしがセツナから貰った力で何が出来るか、セツナと考えてみてどこで何をやれるか決まったら連絡するよ。というワケではい、連絡先!交換しよ!』

『あ!しーちゃんだけズルい!わたしもおにーちゃんと交換する!』

『りょーかいりょーかい、また会えると良いな』

 

 

 

 まあ決まったら連絡くれるらしいし、これで繋がりを持てたってことになるだろうさ。また近いうちに会えるっしょ、多分。

 ちなみにセツナからは『テンマさん』ではなく『おにーちゃん』と呼ばれるようになった、命懸けで守ってくれたのが相当お気に召したとのことでめっちゃ懐かれた。それはもう家で飯食ってた時の比じゃないくらいに。

 

「姉さん、取り敢えずチームみんな集めてもらえる?ちょい込み入った話がある」

「分かった、みんな2階にいるだろうから呼んでくるね」

「さんきゅ」

「それじゃあ私はお茶とお菓子、用意しとくわね」

 

 ところで魔人狩りの皆様方だけど、シオリ以外はみんなここで暮らしている。暮らしているって言っても宿泊費を月にいくらか払って過ごしてるけど。最初は親父や母さんは金は要らないって言ってたけど、一気に3人住人が増えるとあってみんなこっちの負担を気にしてくれてたんだよな。優しい人らだよ。

 部屋も1人1つ用意するって言ったけどアオイとユーナは1つの部屋で良いって事で過ごしてる。

 

「おかえりなさいテンマ、話があるとのことですが」

「帰ってきて早々あんまり話すのはダルいけど、こればっかりは話しておかないと行けないと思ってね」

 

 メンバー1人目、最年長20歳の相沢シオリ。

 少し前ヤーさん達からの情報で瑞穂でも有数の財力を持つ家が狙われているとの事で向かい、シオリの家族が殺されるのを防いだ。ただそれは陽動だったようでシオリは魔人化させられてしまっていたが。

 そんな訳で今は成り行きでなってしまったとはいえ魔人の力で家族を守る為に魔人狩りに参加している。ここに住んでない理由としては、家がデカく力がある為にこちらの事情を知ってネットワークや財力を駆使してヤーさんを正式に雇い入れた為だ。

 ノブレス・オブリージュを実践しているから逃げない、そしてシオリはその最前線に立つ為家の人間として指揮を取っている。

 飛び抜けて綺麗なお姉さん。

 

「おっ、にーやんだ!帰ってたんだー」

 

 2人目、新名アオイ。

 この子は年少組14歳、偶然家族とドライブに行った時交通事故に見せ掛けてアオイの家族を葬ろうとしている魔人と遭遇。その際家族を守る為にアオイが魔人となって撃退した。

 アオイの家族は娘が人ならざる者になったことに多少及び腰ではあるが差別や罵倒はせず、少し距離は空いてしまったが生きているなら良いと自身が言っているからまあそれで良いという事にしている。

 助けた影響でめっちゃ懐かれてにーやん呼びをされているし一緒にたくさんゲームもしている、特にユズとは気が合うらしい。明るくて可愛い。

 

「おかえりおにいさん」

 

 3人目の古寺ユズは元々魔人化薬に手を出していた一家に生まれ実験台としてずっと使われていた最年少13歳。

 俺と姉さんで助け出してからすぐこの家に住まわせて、唯一下宿人という感覚より家族に近い感情を親父、母さん、姉さん、あと俺に抱いている魔人狩りメンバー。

 最初は感情らしい感情は何も無かったが次第に笑顔とかリアクションとかが増えて嬉しく思ったもんだったなあ。今では姉さんの次に距離感が近いと確信している、めっちゃ懐かれておにいさんとも呼ばれてるし良く甘えられている。

 本当にめちゃくちゃ可愛い妹みたいな存在だ。今じゃ苗字を夜海に変えてるからみたいというかちゃんと妹になってるが。

 アオイ、ユーナとは違って夜海姓だからって事で3人一緒の部屋にしようと提案してきたユズを2人が却下してずっと過ごしてきた姉さんの部屋で一緒にいる。

 

 というかユズと俺は似てる気がしてなんだか過保護になっちまうんだよな、実の両親を自らの手で殺したところとか孤独そうな目とか特に。

 普段物静かな雰囲気は姉さん似でそう言うところがまた可愛い。

 

「よーしまずはアオイもユズも座った座った、後でお兄さんがお土産あげちゃうからね〜」

「やったー!」

「おお〜」

「勿論ユーナ、シオリ、姉さんの分もあるから」

「私は別に良いんだけどねぇ」

「んな事言うなってユーナ、美味い菓子だから後でみんなで食おうぜ」

「そ?じゃあ貰う」

 

 ラスト4人目は丁度真ん中の17歳、喜多森ユーナ。

 褐色美人とは正にこの人の為にあるような言葉だろうユーナだけは俺が一切救出に関わっていない。姉さんの優しさに包まれて忠誠を誓っているレベルだ。

 まあそれはそれで性格がギャルっぽいから軽い友達みたいなノリで遊べて楽しいから良いけど、寧ろ俺が姉さん含め魔人狩りメンバー5人中4人の人生の分岐点にいたのがおかしいのかもしれない。

 

「さて、本題と行こう」

 

 閑話休題、今はとにかく本題を話さないとならない。

 まあお察しの通りシイナの事だ、もしも下手に遭遇したら殺し合いに発展しかねないし先に事情を開示して把握させておく必要がある。

 

「海女取島で俺はとある魔人に襲われた、倒すのに相当苦労した程だ」

「わお、にーやんがそこまで言うって相当だね」

「バケモノレベルの超回復で悪夢みたいに蘇ってきたからな」

「……お兄さんがそこまで言うなんて」

「つまりテンマ、貴方以外に協力者がいたんじゃないかしら。それも魔人の」

「さすがシオリ、ご名答」

 

 シオリは話が早くて助かる。

 その話が出てきた瞬間部屋の空気がピリッとヒリつく、そりゃここにいる連中みんな自分や家族が魔人絡みの事件で傷付けられて魔人は根絶がモットーになってるし当たり前なんだが。

 

「テンマ、その魔人は『ならないと生き残れなかった』って事だよね?」

「姉さんは俺の言いたい事分かってくれて助かる。ピリピリしなくてもその子はそうでもしないと危なかったのは事実だ、俺1人で倒しきれていたとは断言出来ないからな」

「貴方がそう言うなら信じさせてもらいます」

「まあにーやん信じられなかったら誰も信じられないし」

「私は最初からおにいさんとトワおねえちゃんを信じています」

「分かったよ、その子の情報を言うから敵対はしないでって話ね」

「そゆこと」

 

 姉さんのフォローも五臓六腑に染み渡る、この4年ですっかり以心伝心で俺は嬉しいよ。

 

「はい、これが件の人。久瀬シイナ、自分と妹の久瀬セツナを守る為に魔人になったんだけど……まあその経緯がややこしいというか」

「ややこしい?おにいさんが言い淀むのは珍しい……」

「まあその、まずそもそも久瀬セツナが元々記憶喪失の魔人だったんだけどシイナに継承されたと言いますか、勿論食ったりとかはしてないけど継承された影響でセツナの方は魔人の力を一切合切失ったんだ。んで魔人の力使う時だけ融合合体した感じになっててあーいや、だからややこしいんだよなあ」

 

 俺の説明にザワつく一同、そりゃそうだよなまず元々魔人だったのが妹の方で姉に継承して妹は魔人の力を失って姉が魔人になってって俺だって言っててややこしすぎると思うくらいだ。

 

「う、うーん?なんかにーやんの言う事難しくない?」

「つまりその2人は見掛けても無闇に襲わない、報告はする、そう言う事ですねおにいさん?」

「それでよろしく。妹の方はどういう経緯で魔人になってるかまだ記憶を思い出せてないから襲わない、というよりは万が一が無い方がいいけどあった場合を考えて保留扱いで。あー……写真とか撮って持ってきたら良かったな。取り敢えずシイナの方の特徴はダークブラウンの髪の毛に女性としてはちょい高身長な感じだったな、ちょうど身長姉さんくらい」

「私くらい」

「ん。一応セツナの方も説明しとくとまだ小学生だからかなり小柄でピンク色の髪色だったな、そんな訳で把握よろしく」

 

 しかしこれなら写真の1枚でも持ってきたら良かった、あっちでは確かに思い出として3人で撮ったものがあるが全部あげちゃったからなあ……

 

「まいーや、今の名前と特徴だけ覚えてれば良いんでしょ?ねねねにーやん、話終わった?」

「はいよこれで終わりよ。さあここからはお菓子パーティーと行こう!」

「ぃやったー!」

「どんなお土産があるかわくわくです」

 

 でも今は後悔するよりお菓子パーティーを楽しむとしよう。

 ようやく帰ってきたという実感が湧いてきたと同時に出た溜め息に、苦笑いを浮かべてお土産を取りに自室へと向かった。




古寺ユズ→夜海ユズ
魔人狩り残り4人の中で一番変化のあったメンバー
最も孤独で最も愛を知らず、感情という感情を知らない中テンマとトワに救われいつしか苗字まで変えて本当の家族になっていた
トウヤとエマはノリノリであった
2人の明るい両親に当てられてコミカルで家族愛が強い面が目立つようになっている
トワに対しては『トワおねえちゃん』呼びになってたりもする
テンマが海女取島に行く日は魔人狩りメンバーで出掛けていた

久瀬シイナ&セツナ
融合合体化でゴリ押しした、魔人化してる時はシイナの中にセツナの意識と能力が入り込む感じになり身体そのものは現実に取り残される仮面ライダーW式
なので基本的にセツナはEXCEEDS本部にいるし、休暇日にもEXCEEDSの護衛隊員が市民に紛れ込んで見守っている
単体で能力を使う事はもう出来なくなっている(使用者そのものはシイナに譲渡という形になっており接続プロセスとしてセツナが存在している)
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