夜海家長男はフラグをへし折り続ける 作:吉田正鷹
――俺様は、リリカルなのは世界を知っている転生者だ。
とは言っても事細かに全てを知っているような知識チート持ちでは無い、一応偶然最新作の半分くらいまでは見たが元々前世で病気持ちだった俺様は最終話どころか残り半分くらいを見ずに死んでしまったのとTVシリーズ、劇場版シリーズ共にやや覚えてない設定がありそう……どれを覚えてないか覚えていないと言った感覚だった。
「ここは……」
まず転生して目が覚めた場所は孤児院だった。この時点では自分が何歳で今どの時系列なのかも不明だったが俺を引き取ってくれた結城家という家のお陰で色々把握出来たのはラッキーだったかもしれない。あのまま引き取られなかったら中途半端な場面からの参戦だったかもしれないからな。
把握した中で重要視したのは、その時点での時系列は原作1話よりも前で自身はなのは達の2歳年上ということ。
リリカルなのはについては二次創作も見ていたからこの後の展開はある程度複数予想出来た。
そして俺様は決めたのだ、俺様は自信を持って原作へ関わっていこうと。その為に自身を尊大に見せることも行った。
「そこの少女!キミは1人かな?」
「ふぇ……?」
なのはとの出会いは彼女が1人寂しくブランコを漕いでいる時だったな、きっと父親である士郎さんの怪我が原因で家族に迷惑をかけないようにと自分を閉じ込めていたんだろう。
「俺様は確かになのはと関わりを持ち始めて時間が短い。でも、話してくれたことに嘘は無いと思っている。だから言うが……彼女は寂しがっている」
「なのはが……?」
自分がなのはと家族の関係を取り持ったのも懐かしい、これで恭也さんに気に入られて度々話したり修行したりするようになったんだ。
ここからは話を加速させるが、なのはと仲良くなるに連れてなのはの友達月村すずかやアリサ・バニングスとも仲良くなった。3人の考えを読み取って仲介することも多くて心労が溜まったりもしたが……それに関してはフェイト関連でもそうだった。
そもそも俺のデバイスだが、何故か結城家の家に眠り続けていたらしい謎の日本刀みたいなものがそうだった。なんで置いてあったのかは分からないが代々伝わる家宝で父方の俺様から見ての祖父に当たる人が大切にしているものだと語っていた。
本来なら持ち出すのは御法度だったんだろうが、お国を守る為だと爺ちゃんが俺様に託すのを認めてくれたのは今でもとても嬉しく思うし、孝行だって沢山している。
さてそこからだが、やはりと言うべきか敵対することになってしまったフェイトとなのは2人の考えが分かっているから胃が痛かった。
ただ終盤、俺様が忘れていた設定の1つとしてプレシアの使い魔だったリニスと使い魔の契約を結んでいたことで事態が急変した。
「リニス!?リニスなの!?」
「本当にリニスなのかい!?」
「フェイト、アルフ……お久しぶりです」
リニスとの出会いは本当に偶然だった、何も知らずに拾ってきたら道中で魔力の流れを感じ取ったんだから大焦りしたもんだよ。後から聞いた話、リニスは俺様の魔力の匂いに無意識に釣られてきたと言っていたか……偶然に偶然が重なった結果まさか救済出来るとは。
使い魔契約そのものは覚えていたから咄嗟に魔力を流し込んで半強制的に契約、目が覚めたリニスからは困惑されたもののこれからのフェイト達の成長を見守れるかもしれないと感謝された。
そこからは怒涛だったな。
「――貴方、今なんて言ったの」
「俺様の力を使えば、アリシアを復活させられる。ただ、人間というより俺様の使い魔のような形にはなってしまうが」
「本当なのね?本当にアリシアを助けられるのね?」
「嘘だったら俺様を殺すと良い。……しかし、本当はプレシアの事も助けたいのだが……如何せん力が無かったらしい、申し訳ない」
「私は罪を重ね過ぎたわ、だからこれで良い。謝る必要は無いわ」
自分が神様から与えられた能力は『仮面ライダーディエンドをバリアジャケットに落とし込んだ能力』。但しカメンライドによるライダー召喚は出来ず、カメンライドのカードはずっと白紙だった。
それが初めて光ったのが時の庭園に乗り込んだ時の話、何故アリシアだけだったのか、プレシアにも光ってくれなかったのかは今でも分からない。
「ママッ!そこに正座!なんでフェイトにあんな酷いことしたの!」
「本当です、プレシア。貴方は不器用すぎるんです」
「……返す言葉も無いわ。フェイトも、今まで本当にごめんなさい」
「母さん……アリシア……」
ただ、それでもテスタロッサ家が全員揃い和解出来た瞬間があるだけ救いだったんだろうと思いたかった……そうでないと自分の無力感に押し潰されそうになるから。
「光一くんがいなかったら私、もっと無茶してたと思う。ありがとう」
「光一のお陰で母さんと仲良くなれたしリニスとも再会出来て、アリシアも助けられた。本当に……ありがとう」
そんな自分が踏みとどまれたのは、きっとこの2人のお陰だろう。
そこから半年経ってのA’s時期、あの頃は若気の至りか図書館ではやてに冗談でナンパ紛いの事をしたせいでヴォルケンリッターの女性陣には大いに追い回されてたな。
ザフィーラだけは戦闘中にその事を注意するくらいで留めてくれたが。
「私は冗談通じる子やから問題無いけど、光一くんはイケメンなんやからそないな事軽々しくやったらアカンよ?」
「むぅ……申し訳ない」
「分かってくれたら良いんよ」
はやて自身とは仲良くなれたんだがそれが尾を引いたのかヴォルケンリッターとは原作通り終盤までずっと和解出来ずにいたなあ。ザフィーラは若気の至りと理解してくれたから除くが。
……しかし結局のところリィンフォースも救えなかった。
「良いのです、私はこの運命を受け入れます。もう充分な程に幸せになれましたから……だから大丈夫です」
俺様のカメンライドが光ったのは、リィンフォースではなくリニスだった。そもそもカメンライドで使い魔になると普通の使い魔と比べてかなり強化されるというメリットがあるのだがアリシアは気が付いたら使い魔なのに魔法少女になっていた。
リィンフォースを助けられなかった無力感にまた打ちひしがれたが、それでも最終決戦にリニスも強化されて『後ろ』ではなく『隣』でアリシアと共に戦ってくれたのは嬉しかったな。
「最後までリィンフォースを助けようとしてくれてありがとうな、光一くん」
そんな無力感に打ちひしがれた俺をみんなが抱き締めてくれて、それで俺様はまたギリギリで踏ん張れたのかもしれない。
ここまで辿って、正直果たしてTVシリーズなのか劇場版なのか判別付かなかったのはやはり知識不足としか言い様が無い。
ただそこから2年後にキリエが急襲してきたことでここが劇場版時空だと認識した。
大きな変化こそあまり無かったが、リーケン・ロックホルツ、リックというエルトリア生まれの転生者がアミタと共に来た事で主にモブ魔道士を助けたり苦戦を少なくしたりと協力関係を築きながら劇場版二部作の話を乗り越えた。
リックはエルトリアを復興させることと愛したフローリアン姉妹や夜天4姉妹、イリス達と平和に暮らしてグランツやフローリアン姉妹の母親の病気を何とか治せる方法が無いか探す為に帰って行った。
仲良くなっただけに寂しいがきっとリックも頑張っている事だろうと空の彼方にいる友人にいつもエールを送っている。
「光一くん、元気出ない時はいつでも私に言ってね!何が出来るか分からないけど頑張るから!」
「私も、その。光一が眠れない夜があったら子守唄歌うくらいなら出来るから」
「私はお料理で元気出させたる!だからお腹すいたらいつでも言うてな!」
「わ、わたしも!わたしだってコーイチとはたくさん一緒にいるし!元気分けてあげられるもん!」
「私だって負けてられません、光一さんに救われてこんなにも幸せに生きていられるのですから。やれる事があればなんだってやります」
「そっちの事はあまり分からないけど、光一のことを好きな気持ちはみんなに負けないからね!」
「わたしも……ま、負けないくらい光一くんのこと好きだよっ」
それはそれとして、俺様は別にどこかで誰かと恋愛が出来たらラッキーくらいの気持ちでいた。いたんだが……なのは、フェイト、はやて、アリシア、リニス、それにアリサとすずかに惚れられているのは果たしてなんでこうなった?という次元を越している。
嬉しいが誰か1人を選べないからハーレムにする!と宣言した時は一斉に殴られるんじゃないかと内心ビクビクもしたくらいだ。快諾されたから良かったが。
さて、劇場版二部作から2年、ようやくEXCEEDSに追い付いた俺様は漫画版の出来事を経て瑞穂へとやってきた。
やってきたは良いが明らかな異変が既に起こっていた。
「国連災害対策本部・危険生物調査機関『EXCEEDS』の調査員高町なのはと申します」
「俺様も同じく『EXCEEDS』の結城光一だ、よろしく頼む」
「う〜ん……どこの子達か知らないけど、あたしより年下っぽい子が来る場所じゃないから、ここ!それに女の子の方はセツナよりちょっと年上程度にしか見えないし、ねえセツナ?」
「え?う、うんそうだねしーちゃん。でもこの人達悪い人には見えないからちょっとくらいお話聞いても良いんじゃないかな?」
「えー?セツナは良い子過ぎるなぁほんと、でもあたしは国連とか信じないから!ほら帰った帰った!」
本来既に亡くなっているはずの久瀬セツナ、彼女が生きていた。
俺様は瑞穂に介入していない、つまりここには既に『転生者』がいる……そう確信した。
まあその転生者には感謝しているところも大きい、何故ならシイナが無理をしている雰囲気も無い、セツナも元気で生きている、そんな2人と仲良く出来ている、それは何よりも幸せな事だったのだから。
そうした中で瑞穂で出会った、気の合う同性として友人となったテンマと名乗る男。同じ年齢で今は養子として引き取られた先で幸せに暮らしていると言っていたが。
いやまさかなと、苗字が『ヨルミ』と言っていたが『夜海』だとしたらあまりにも偶然に偶然が重なりすぎているから違うと思った、思いたかった。
――だが、案の定だった。
「お、おまっ、嘘だろオイ!?」
「ふ、フハハ!ままままさかテンマがまじまじ魔人狩りだとはァ!?」
魔人狩りとEXCEEDSとの初邂逅、そこでなのはとタッグを組んでの行動になった俺様が出会ったのは――瑞穂で友人となった男、テンマであった。
転生者がいるとは確信していたがテンマがそれで、まさかそこの勢力にいるとは思わないだろぉ!!どうするんだこれ!!
内心の心の叫びは誰にも届かず対面することとなってしまった……
結城光一
元は生まれながらにして持病を抱え若くして亡くなった青年
自分に自信を持たせるため尊大な言い回しをしているという変な思考回路の持ち主
転生時期は典型的な『無印1話前』で、なのはと高町家の仲を取り持ったのは二次創作のテンプレだが死にかけのリニスを拾ったりアリサとすずかの誘拐イベント(そもそも原作には無いがリリカルなのは二次創作のテンプレ)が無かったり、そもそも転生したのが劇場版時空だったりと割と変則的な道筋も歩んでいる
The踏み台転生者みたいな金髪オッドアイイケメンで尊大な言い回しがあるものの、自責の念が強くそれに押し潰されかねない精神性が本体
リニス
プレシアとの契約が切れ消滅しかかっている時に大きな魔力の匂いを見つけ、意志とは無関係に光一の元へ向かい拾われた
光一はリニスの存在を忘れていたが使い魔のシステムは覚えていた為九死に一生を得ている
誰かを必死で守り助けようとする反面傷つきやすい光一の精神性を最初に見抜いたのもリニスであり、間近で見て好きになった光一を支えたいと願った結果2ndA'sの時期に『ディエンドカメンライド』の力で強化され共に戦えるまでになった
「あの人を、光一さんを孤独にしてはいけない。絶対に支えます、私達が」
アリシア・テスタロッサ・ハラオウン
『ディエンドカメンライド』の力で光一の使い魔として蘇った
魂の状態でプレシアの所業を見ていた為蘇って即お説教をしていた
2ndA's開始前に時空管理局にデバイスを作ってもらい魔法少女となっている
テスタロッサ家を救ってくれた光一を心の底から感謝しており、また好きにもなっている
プレシアが亡くなった後はフェイトと共にハラオウン家の養女になっている
「大好きなコーイチの為ならなんだってするよ!笑顔になってもらいたいもん!フェイトもリニスもそう思うでしょ?」
プレシア・テスタロッサ
無印のラスボス
光一によってアリシアが救われた為蘇ったアリシアに説教された後フェイトと和解、本当の家族になることが叶った
だが病を治すことは叶わず、各方面が手を尽くすも劇場版二部作の1年前に死去
ただ、穏やかな死に顔であったという
「これからのアリシア、フェイト、リニスを……頼んだわよ」
リーケン・ロックホルツ
Reflection及びDetonationの一連の事件にエルトリアから来訪してきた銀髪無口なクールに見える転生者
エルトリア人でありフローリアン姉妹の幼馴染で事件当時17歳と姉妹の中間に位置(アミタ19歳、キリエ16歳)
武器は大型マシンガンとハンマーに可変可能な特注武器
光一と共にモブ魔道士をサポートしたりして負傷者を減らしイリスの強化を妨害していた(但しどうしてもイリスのことを心配していたのもあり途中騙されてエネルギーを吸い取られ結局強化される羽目になったが、それでも強化は原作比かなり弱め)
光一とは性格が真逆だがお互い愛する者への自己犠牲を躊躇無く支払える価値観や共闘で友情が芽生え、共にすごした時間は短いがお互いを親友と思っている
転生前は毒親の元に生まれて愛を知らずに育って大学受験に失敗し自殺
その為『愛』に固執しており、イリスが裏切ったあとも心配していたり、身内が傷付けられると容赦が無くなる。一連の事件後はフローリアン姉妹やマテリアル4姉妹、イリスと幸せになると宣言しエルトリアへ去っていった
その後はフローリアン夫妻の病をどちらも完治させられるように尽力している
ちなみにリリカルなのはの知識はA’sまでとBOA、GODのみで劇場版はReflectionの予告動画を見た後に公開を見届けることなく死亡しているので最初はかなり混乱したらしい
現在はエルトリアに帰還しているので本編には恐らく出てこない転生者
「……たとえもう二度と交わる事が無いのだとしても。俺達はいつまでも親友だ、光一」