夜海家長男はフラグをへし折り続ける 作:吉田正鷹
「いやいやいやいやいやいや冗談だろオイ!?なんでコウイチがいるんだよ!!」
「そ、それはこちらの発言だぞテンマよ!!まさかお前がここにいるとは思わなんだぞ……」
お互いとんでもない冷や汗が流れている、言葉1つ間違えればその先は色々と面倒この上無い未来が待っているから慎重に交えないとならない。
一旦、俺もコウイチもこの時点でお互いが『魔法少女リリカルなのは』世界を転生世界に選択した転生者と言うのは何となく理解し合ったはずだ、リリカルなのはシリーズでメイン視点で前線に高頻度で出ているネームド男キャラなんて初期のユーノとStrikerSのエリオくらいなもんだからな。
こんな奇っ怪な男キャラがメインに出るなんて有り得ない、有り得るはずが無い。そしてそれは相手も思っているはず、リリカルなのはシリーズは支点をなのはとして女の子の物語として回っている。
その中にハーレムみたいに男がいるのは異常事態だ、ユーノならまだしもそれ以外でこの例に該当した男キャラはやはりエリオしか想像付かない。
「コウイチ、お前EXCEEDSの隊員って言ったよな?」
「そ、そうだ。俺様はここにいる人間に避難勧告をし大型侵略種駆除をする為にここに来たのだ」
「コウイチとは戦いたくないんだがな……ここの侵略種は俺らのターゲットなんだよ」
「ふむ、想像以上に強情なようだな。では、俺様とテンマどちらが上か……」
「はぁ、やっぱそうなんのね俺ら。まあ良いさ、勝った方の意見を聞くって事で!」
こうなっては仕方ない、一度戦闘して雌雄を決するしか無いか。
『怪力』を発動する、『硬化』は発動する前に牽制されてしまったのでこれだけだ。抜け目無いヤツめ。
ただ1つその前に言いたい事があるとすれば。
「ただな、1つ言わせてくれ」
「なんだ?」
「……そんな早くフラグ回収しなくても良いと思うの、いやほんとに。なんなのこれ?」
「それは俺様も言いたいくらいだ!全くもって同意しよう!」
さて言いたい事は言った、後はヤケクソだ。
とにかくぶつかってやり合ってやるよ、ちくしょうが。
「ゆくぞ『黒耀』!!今回は1対1でやるぞ!!」
『Roger master』
相手のデバイスはAI搭載型アームドデバイス、姉さんと似たような刀型だが姉さんは完全な刀なのに対してコウイチのはそれよりも強力なのは前提として見ておく必要があるだろう。
「フハハ!!思った通りやはり魔人か!!」
「言っとくがこちとらならないといけない理由があったからなっただけだから、な!犯罪者の方の魔人と同一視されるのは心外だ!それも友達のお前にそう思われるのはな!くっ、ったくつえーな!」
「なに、テンマがそのような男とは思っていない。俺様が友人と認めたのだ、たとえ対立関係にあろうとも……せいっ!人を見る目は確かだと自負しているので、な!」
肥大化した筋肉の塊の腕と日本刀のぶつかり合い、という如何にもなバケモノvs正義みたいな構図だがこの言い合いの通り俺達にそんな気は一切無い。
何ならお互い望まない形で一戦交えることになったものの、やるからには全力でぶつかろうと目と目で通じ合う友人同士の爽やかさまである、かもしれない。
しかし対立関係とはいえ明確に篠宮や蔵木みたいな人類の敵じゃなくて良かった、じゃなきゃ非殺傷設定にしてもらえてないだろうからな……1歩間違えてたら俺だって魔人狩りされる方の巨悪に手を染めてた可能性はある、否定は出来ない。
「強い!強いぞテンマァ!!お前のその能力、一朝一夕で鍛えたものではあるまい!!素晴らしいぞ!!是非ともその力をEXCEEDSに貸してもらいたいものだ!!」
「コウイチだって強過ぎるくらいに強いっての!!あとお誘いは光栄だがっ!!俺にも俺の仲間、とか!!ポリシーとか!!あるんでねっ!!悪いが今回はお断り、だ!!」
本当ならもっとお互い搦め手を使えるはずだが、男という生き物は非常にバカなもので条件が揃ってしまうと正面からの真っ直ぐなぶつかり合いを望んでしまう奇妙な生き物なのである。
姉さんに見られたら呆れられそうだが、バレないことを願おう。
しかし真正面からやり合うとは言ったがこれじゃ一生ぶつかり合ってるだけで終わりそうだな、ったく。
「ふむ!!このままでは埒が明かないな!!」
「俺もそう思ってたところだよ」
「では提案と行こう!!お互いあと一発同士で雌雄を決しようではないか!!」
「そりゃ助かるが、引き分けた場合はどうする?」
「お互い見なかった事で手を打とう!!」
「なんて潔いんだコイツ、それに乗らせてもらおう!」
「フハハ!!疑うことをしないのだな」
「信頼ってヤツだ。友人として見てもストレートな物言いしかしなかった、更にこうして真正面からバカ正直にぶつかってきたコウイチが今更変な手は使わねえよ」
「良いだろう!!俺様もテンマのその粋な発言を信じよう!!」
なんで対立組織同士でこんな戦いしてるんだかほんと。
あーあ、早く和解しねえかなあEXCEEDSと魔人狩り。いや今回が初遭遇なんですけどね。
「『能力倍加』『硬化』……準備は良いかコウイチ」
『能力倍加』……俺があまり使ってこなかったピーキーな能力だ。これは単純に自分の能力を倍加させるのだが、自分の元の力が強過ぎる故に周りへの被害が出てしまうのと、初期段階では数秒しか付与されないので殆ど使った試しが無い。
今では切り札の一撃程度には使えるが、それでも周りへの被害を考えなくても済む時、つまり今みたいな所でしか使えないワケだ。
「俺様の取っておきを見せてしんぜよう!!」
『OK Lady』
《FINAL ATTACKRIDE KO KO KOKUYOU》
「は?おいちょっと待――」
格好良く最後の一撃を決めよう……って時になんか急に聞き覚えのある音声が聞こえてきた、嘘だろお前ディケイドかディエンドの力持ってるなんて聞いてねえよ。
「受けてみよ我が一撃!!せあああああああああぁぁぁ!!!」
「ふざけんなよお前!!今度会ったら説教してやるからなァ!!うおりゃああああああああぁぁぁ!!!!」
なんかめっちゃ締まらなかった、悲しい俺は悲しいよ。
先に言ってくれそういうのは……
ちなみに結果は引き分けだった、文句はめちゃくちゃ言いたかったがなんかもうどっちも一応はスッキリしたので退散したのは言うまでもない。
「大丈夫だった?」
「結構危なかったけどあっちも本気って訳じゃなかったから退散してくれたよ、お陰で合流最遅だけど」
「おにいさんが無事で良かったです」
「ま、にーやんが負ける訳無いけどね!」
コウイチとの一戦の後、再び使えるようになった通信で合流地点まで辿り着き全員の無事を確認。どうやら俺が一番遅かったらしい。
「さて、と。んじゃ大物ぶっ倒しますかね!」
「テンマは遅れたから見学」
「そんな殺生な!?」
「あはは!そゆことでにーやんはここにいてねー」
「倒したら連れて行きますから」
遅かったついでに唯一戦闘介入禁止令出された、まああの子らだけでもオーバースペックだろうけど悔しい。少しはっちゃけ過ぎたな絶対。
あと思うのは、近くに姉さんはいたはずなんだからなのはかフェイトは間違いなくいたはずなんだ。もっと上手く隠れられればなのはかフェイトには会えたはずなのに……しかも対立とはいえ積極的な戦闘はまだしないような関係なんだから今ご尊顔を拝見するのが何よりも安全だったのに。
悔しい、あまりにも悔し過ぎる。
「覚えてろよあんにゃろ」
トンデモ攻撃を喰らわせて来た友人にキレ散らかす、多分今キレるのは理不尽だとは思う。
だがやっとなのはやフェイトに会えるかもしれないというチャンスを逃したんだ、こんなことがあってはいけない。恋愛したいとかそういうのでは無い、高町なのはやフェイト、八神はやてとは俺の魂なのだ、アイドルなのだ、話して握手とかしたいじゃんだって……恋愛対象じゃないんだよあの子らは……
フルボッコにされる原種くんを眺めながらよよよと人知れず涙を流すのだった。
帰宅後のテンマと光一のメールでのやり取り
テンマ『ソウイヤ結局見テ見ヌフリッテ、ドウイウ感ジ二シタンダ?』
光一『素性ヲ知ラヌトイウ事二シタ。テンマモソウデアロウ?』
テンマ『ヤッパソコ二落チ着クノネ。俺モソウシトイタ』
光一『オ互イ苦労スルナ』
テンマ『友達売リタクハネエカラナ』
光一『良イ友ヲ持ッタモノダ』
テンマ『ソレハ良イガテメェ今度会ッタラ奢レヨ?アンナノ聞イテネエッテノ』
光一『フハハ!!アアイッタモノハ、サプライズダカラ良イノダゾ?ダガ奢リは引キ受ケタ!!次ノ週末デ良イカ?』
テンマ『了解、空ケトク』