夜海家長男はフラグをへし折り続ける 作:吉田正鷹
「よ、久しぶりシイナ、セツナ。リアルで会うのは2ヶ月以上ぶりか?」
「そうだねぇ、トワとは何回か遊んでるんだけどやっぱテンマとも会いたかったから。こっち来てから一度も会えてなかったし」
「会いたかったよ!おにーちゃん!」
「おーおーよしよしセツナは甘えんぼだな、寂しかったか?」
「うん、こうしておにーちゃんの顔を見て、触れ合いたかったよ」
「そりゃ男冥利に尽きるこって。シイナも良かったら抱き着いてきて良いぞ?」
「い、いやぁあたしは良いよ」
「断りながらなんでちょっと羨ましそうに見てんだよ。てかちょっとしたジョークだってジョーク、さすがに年上の可愛いお姉さんにされると色々と男として言葉に出来なくなる」
「ストレートに言うねキミ……」
約2ヶ月ぶりのシイナ、セツナとの再会は開幕早々賑やかなものとなった。お互い会おうと思えば会えたんだろうが優先する用事とかが重なって島を出る日以来の再会が今日にまで延期になっていた、しかし2人とも元気そうでホッとした。
多分EXCEEDSに入ってるんだろうが、この前のEXCEEDSvs魔人狩りでシイナも傷跡が残るような怪我は無かったみたいだな。こう見えて心配してたんだぞとは言えない、言ったら魔人狩りなのがバレるからな。
シイナは可愛い女の子なんだから、そういうとこは本当に気をつけてもらいたいがそこはしばらくセツナに何とかしてもらうしか無いだろうな。
「さて移動すっか、好きなもんなんでも食えよ。今日は俺の奢りだ」
「え、それは悪いよ」
「しーちゃんもわたしもお金ならけっこうあるし、大丈夫だよ?」
「良いって良いって、今日は再会を俺が祝いたい気分なのさ。それに女の子にゃ優しくするもんだって親父も母さんも言ってたし、ここは奢られといてくれよ、な?」
「うーん、それを言われちゃ引っ込めるしかないね!ありがとテンマ」
「えへへ、それじゃ今日はお願いします、おにーちゃん」
「おう、任せとけ!」
3人でまず向かうのはオシャレなカフェ……ではなく近場のラーメン店、この子らめっちゃ食うんだよな。だからオシャレなモノも良いけどガッツリ系の食べ物もめちゃくちゃ好んで食べてるらしくて本当にここで良いのかうっすら思ってたけど揃って目を輝かせているので正解なんだろう。というかほんとこの2人似てるよな、マジでそっくりだわ。
「おう、らっしゃいテンマ!今日は女の子連れか?見ない子らだね」
「まあね、最近こっちに越してきた友達」
「そうかそうか!今日はどうする?」
「2人とも遠慮すんなよ、食いたいもん注文すりゃ良いから」
「豚骨大盛り!とごはん大盛り!」
「わたしもしーちゃんと同じで」
「んじゃ豚骨大盛り3つとごはん大盛り3つ!」
「あいよー!そこのちっちゃい子も見た目に似合わずたくさん食べるんだな〜、たくさん食べて大きくなれよ!」
「おっきくなります!」
入ったラーメン店は俺の行きつけでもある、美味い上に人の良い親しみやすいおっちゃんがやってるから何度も足繁く通ってる内に顔を覚えられたんだよな。
「あいよお待ち!豚骨大盛り3つにライス大盛り3つね!」
「ありがとおっちゃん!」
「おお〜美味しそう!」
3人で手を合わせていただく。うん、いつも通りここのラーメンはやっぱ美味えわ。仕事前、仕事終わりとかに姉さんやみんなで食ったりもしてるし家族で行くこともあるが全員紹介は俺なんだよな、色んな人に紹介したくなるような良い店なんだよほんと。
「美味しい!」
「もきゅもきゅ……」
2人も益々目を輝かせている、これは紹介して正解だったな。
……しかし、俺がいなかったらもしかしたらシイナとセツナの笑顔を守れなかった可能性があると思うとゾッとするな。
結局コウイチにはまだどれだけ原作を知っててこの2人が原作ではどうなってたか聞けてないから憶測と予測くらいしか出来ないが、今回の人がバタバタ死んでいく世界観を考えるとどっちかが死んでてもおかしくないんだよな。
それに関しちゃ姉さん、ユズ、親父、母さん、アオイ、シオリ、ユーナとかも該当する訳で。誰がどう死んでてもおかしくない、現に姉さんの施設にいた沢山の子ども達は犠牲になってると聞いているからな。
「すみません、替え玉お願いします!」
「わ、わたしもお願いします」
「んじゃ俺も替え玉1つ!カタメで!」
「替え玉普通2カタメ1な、あいよ!」
ちなみに思考はしているがそれはそれとして変に勘ぐられたくないのとラーメンは早い内に食べたいからマルチタスクで頂いている。
この店や世話になってる周りの店、近所の人、魔人狩りのみんなや姉さん、ユズ、親父、母さん……まったく、この4年で守らなくちゃいけないものが多く出来過ぎたよなあ、俺も。
ま、今は気にし過ぎたらいけないだろうな。
「すみませんもう1つ替え玉!普通でお願いします!」
「わたしも、お願いします」
「ハハハ!本当にたくさん食べるなあ!テンマ、こりゃ財布が軽くなっちまうな?」
「こう見えて稼いでんの俺は。だからこれくらい平気だって」
「そうかそうか!甲斐性あるなあテンマは!」
しかし本当に良く食べるなあ、姉さんとか魔人狩りの子らや俺もそうだけど魔人は燃費悪いのかも。
……いやシイナに関してはなる前から大食いだったな、うん。
「はぁ〜食べた食べた〜」
「おなかいっぱいだよー」
「他人の事言えないけどほんとめっちゃ食べたな。俺の食欲に着いてこられるのとか限られた姉さんとかその辺りの数人だけだったんだけど。ま、何にせよ気持ち良く食べてくれたのなら連れてきて良かったよ」
「ありがとうテンマ〜」
「おにーちゃんのおかげで良いお店たくさん知れたよー」
「どういたしまして」
ラーメンを食べたあとはたこ焼きだのピザだのクレープだのパフェだのと食べて回り最後はアイスを食べてベンチに腰掛け今に至る、まあとにかく本当に食べた。いっぱい食べるキミが好きとは前世で一時期流行ったフレーズだが、楽しくたくさん幸せそうに食べてくれる女の子を見るのはなんと眼福だろうか、それだけで心が満たされる。
後は夕暮れまで話そうか。腹が落ち着いたところで『そう言えば』と話を切り出す。
「姉さんと友達になったんだよね、どう姉さんは?」
「トワ?トワはね〜、最初落ち着いてる子だと思ってたけど良く笑ってくれるし話してて楽しいんだ。セツナももう1人お姉ちゃんが出来たみたい、なんて言ってるし。ね?」
「うん。しーちゃんもだけど、トワちゃんも良く膝枕してくれたり頭を撫でてくれたりしてなんだか落ち着くの。最初はずっと年上のお友達かな?と思ったけど、今はもう1人お姉ちゃんができたみたいなのかな?って思ってるの」
「へぇ、姉さんがそこまで」
「でも一番話が合うのはテンマの事なんだよ」
「一番が俺なの?」
姉さんがどんな感じで接してるのか聞き出そうとしたんだが、思わぬ形で一番の共通話が俺だと聞かされ困惑してしまう。
かなり2人に懐いてるようで、そこまで仲良くなってるのも驚いたがそれよりもこっちの話の方が驚きだった。
「そうだよ。おにーちゃんは優しくてかっこいいよね〜って良くお話するんだよ。しーちゃんもおにーちゃんの事になると良く口が回って――」
「せ、セツナ!?それは秘密の約束だよ!?」
「あ……ごめんなさいしーちゃん」
「俺って案外慕われてるんだなあ、うんうん男冥利に尽きますなあ」
「……しーちゃん、なんかカッコイイって言うの冗談みたいに思われてるみたいだよ?」
「ええ……ヒーローみたいにカッコイイって思ってるんだけどなあ。もしかしてテンマって色んな意味で自分に対して鈍感?」
俺がカッコイイとか言われてもあんまり実感湧かないが、慕われてて嬉しくない訳がないので困惑はしつつも嬉しさを噛み締めておく。
なんかあっちは2人でヒソヒソ話しつつ俺を見ているが、何を話しているのだろうか。まあいいや、恋愛感情を向けられてないのは知ってるから。
……これなら姉さんやユズも、俺がいなくなった後大丈夫そうかな。最初は少し悲しませるかもしれないけど、俺が死んだとしても2人が姉さんやユズ、それにみんなを立ち直らせてくれるはずだ。
いつ地獄に落ちても大丈夫なように、後で遺書でも書いとくかな。
仲良くヒソヒソ話を続ける2人を見つめ、いつか近い将来来るであろう俺の因果応報の死に向けての準備を進めようと決意するのだった。
Q.テンマと光一はスマホ越しのやり取りで転生の話をしているか
A.記録として残る場でそういう誰にも聞かれてはいけない話はしないとお互い認識しているのでしていません。あと遊ぶ時も街中なので誰が聞いてるか分からないからしていません