夜海家長男はフラグをへし折り続ける 作:吉田正鷹
本編と違ってトワがシイナに理解を示しているのと、指名手配まだされてないのと、それはそれとしてで戦い出すんで
「……驚いたよ、シイナ、セツナ。まさかEXCEEDSにいたなんて」
「と、トワこそ。まさか魔人狩りにいるとは……びっくりしたよ。ねえ、あたし達……話し合えるよね?この感じだと境遇は……テンマから聞かされてるんだよね?」
『わたしが魔人だったのも……聞いてる……よね』
「うん、聞いてる。そして出来ると思う。テンマから聞いてて、その上でシイナとセツナの友人になったから。……出会ったのは偶然だったし、友達になったのも本当に話が合って楽しいと思えたからなんだよ。それは本当」
「じゃあ……みんなで協力してこの事件を解決しよう?きっとそれが一番冴えてて賢いやり方だよ」
「うん。――でも、少しだけ戦いたいの、シイナとセツナと」
「は!?え!?なんで!?」
2人には悪いと思ってる、こんな時に友達と、それもお互いがお互いの立場を飲み込んで理解出来ているのに戦ってる暇なんて無いのは私も理解している、していて尚こうしている。
シイナとセツナの事は本当に大切な人、親友だと思っているしこれからもそれは不変の思いで一生変わらないものだと確信している。大切であれば、本当に戦場に居させて良いのかどうかの真価を見極める必要がある、それと同時にテンマに対する想いがどんなものかも見極める必要がある。
篠宮と蔵木を打倒するのが目的なのはそうだ、今すぐ殺したいのもそうだ、それは変わらない。だがそればかりに目が眩んで友達を失うのはもっと嫌だ、もう私には大切だと思える人達がたくさんいるのだから。自分1人で突っ走ってしまってはいけない、だからシイナとセツナを試す。シイナとセツナの為に。
「シイナとセツナが本当に戦場にいて良いのか、その覚悟があるのか……友達だからこそ、親友だからこそ、試したい。私は誰も失いたくないの」
「トワ……本気なんだね?」
「勿論。じゃなきゃわざわざこんな時に戦いたいなんて言わないよ。――行くよ」
「う〜ん……仕方ないかぁ。少しだけだからねー?セツナも、良いよね?」
『うん、トワちゃんが戦いたい理由はわかったから。わたしたちのことを考えてくれてそう言ってくれてるなら、断れない』
「分かってる、時間は取らせないから。……セツナもありがとう」
これは悲劇の為の戦いじゃない、お互いを知る為の戦い。
刀を構える私と、銃を構えるシイナと、シイナの中にいるであろうセツナ……そこに殺意は無い、それでいて全力で相手を打倒するという意志を出して、ぶつかると。
――どちらからともなく、動き出す。
いや、もしかしなくても同時だった。
こんなところまで一致するなんてね、私達本当に仲が良いよね。
『行くよトワちゃん!』
「先手必勝!そりゃ!」
「それくらいならっ」
素早く撃ち出された銃弾を弾く。そう言えば今までこの刀にも辛い戦いしかさせてこられなかったと感じてしまう、みんなを守る為とはいえ人を傷付け殺す為だけに使ってきた。ずっとずっと、血塗れの戦いばかりしかこの子にさせてあげられなかった。ああ……それを思うと。
「なんかちょっと楽しくなってきちゃったよ!これならどう!?」
「正直なところ、私もだよ。戦いがこんなにも楽しいのは初めて」
『も〜しーちゃんもトワちゃんもノリノリなんだから〜!』
「あっはは〜ごめんごめん」
「ごめん、でも本当に楽しくて。セツナの想いも一緒に伝わってくるから。……その力は、本当に魔人のものだけど、でも魔人とは思えないくらい温かい」
『……ありがとう、トワちゃん』
「大切な力だからね。ここまで生きてこられたのは間違いなくこの能力の、セツナの持ってたこれのお陰」
楽しいと思わせられる戦いが出来ているのは、この子への恩返しになるんじゃないかと場違いにも思ってしまうんだ。今はそんな事をしてる場合じゃないのに、時間を忘れて2人と戦っていたいと、いつまでも交えていたいと感じて。
戦ってるのに私も、シイナも、きっとセツナも、穏やかな顔を出来ていたのが本当に嬉しかった。
「でもまあっ!時間ないからねっ!っとと、どうだった?あたしの覚悟ってやつは?」
「そうだね、これだけ楽しくて気が抜けないと思えるなら私の背中は任せられる。頼んだよ、シイナ、セツナ」
「もっちろん!トワの背中は任せて!頼まれた!」
『トワちゃんと一緒に戦えるのは、嬉しい』
まあ、仕方ない。この続きはまたいつかどこかで。
お互い生きていればきっとまたやれるはず、そう信じて。
トン、と微笑み合いながら拳を突き合わせた。
「……まだ指名手配の情報は出てないか」
スマホで情報を確認しながら呟く。光一の情報と、事前に警察との連携を阻止するようにはやてに伝えておく話を地下室で伝えられていたことを照らし合わせると光一が動いていないなら本来ならもう指名手配情報が回ってきてても良いはずだから頑張ってくれたのだろう。
「わざと目立って動いたんだから、ちゃんと俺を指名手配してくれよ……警察さんよ」
俺には光一さえも騙していたことがある、それがINVISIBLEを使っての殲滅活動を行わなかった点だ。光一も聞いては来なかったがそれは何かしらメリットがあると思っていたからだと考えている、だが実際のところINVISIBLEを使わなかったのは『使わない方がデメリットがある』からだ。一見すると意味の分からない文章だろうが、このデメリットこそが俺の狙いだったとしたら?そうしたのならこれを利用しない手は無い。
「市民や末端の警察からは俺はヒーローに映るだろう、それもまた事実だけど……そんな末端の声なんて上は簡単に消せる。つまり魔人犯罪隠蔽の為、警察上層部は俺を『主犯』として体良くでっち上げるのが何よりも手っ取り早い。篠宮と蔵木が釣り出したかった姉さんは阻止して俺が代わりの盾になる、姉さんも守れて奴らの思惑を多少は覆すことも出来て最高に冴えた選択肢だ」
俺が敢えて目立つ動きを、それも一般人からは分からないが分かる奴が見れば分かるように魔人化もしていたのはこの為だ。
警察上層部は魔人を知っている、つまり俺が魔人化していれば自ずと見つけてくれる。篠宮と蔵木も同様、これだけ目立つように動いた以上見つけざるを得ない。そしてこれだけ殲滅行為を行った以上、公安側から見れば出てきた杭は打ちに、篠宮蔵木からすれば当初と予定が違ってきたものの俺でも代用可能と見て切り替えてくるはずだ。
奴らは有用に取り込めるのであれば選り好みはしないはずだからな、だからこそ非人道的実験を行ってた訳だし。
「さてと、そろそろか?いくら連携してなくてもEXCEEDSでも無い人間が先行して単独で暴れ回ったんだ……頼むぞ」
いつか散る命ならここで篠宮蔵木を葬って散るのも悪くないだろう、だから舞台を整えるのは頼んだからな、公安さんよ。
『ここで緊急ニュース速報です。第4管区で発生した侵略種を利用した大規模テロ事件の容疑者について、警察より発表がありました。容疑者は――夜海テンマ、15歳。職業はハンター』
「……よし、思い通りに動いてくれて有難い限りだよ」
『夜海は兼ねてより魔人狩りと称して犯罪者への私刑を行った容疑が掛けられており、今回の犯行はその延長として行われた疑いが――』
どちらにせよ俺は地獄に落ちるべき人間だ、実の親を死に追いやった人間なのだから当然の帰結だ。だが、死ぬならその命を使い果たしてからじゃないと死んでも死にきれない、俺が死ぬことによって大切な人達までもが死んでしまうようでは本末転倒だからな。
「さあて、侵略種倒しながら出頭しますか」
申し訳ないとは思ってる、多分かなり心配させてしまうと思う。
でもこれが一番冴えたやり方、俺が死んだあときっとシイナ、セツナ、光一が上手いことみんなの心の支えになってくれると信じてる。
「見つかってくれるなよ?」
仲間達、特に姉さんとユズに見つからないことを願いながら歩みを進めていくのだった。
「ねえトワ、セツナ、あたし達やっぱ息ピッタリじゃない?」
『うんうん、しーちゃんと2人でもとっても強い!って思ってたけどトワちゃんがいるともっともっと強くなったみたいに思えるよ!』
「……そうかな、そうだったら嬉しいかも」
「と、トワ!!」
「アオイ?」
「あ!?アンタは久瀬シイナ!?って今はそれどころじゃなくて!!」
「どうしたの?そんなに慌てて……誰かに何かあったの?」
「何かっていうか……えーとえーと……と、とにかくにーやんが!!にーやんが大変なの!!」
「……テンマが?」
「テンマに何かあったの!?」
『おにーちゃん……?』
シイナ・セツナvsトワ
まさかの本編とは真逆の爽やかバトル
トワ視点では既にEXCEEDS所属という以外の情報を貰っていたのと、その時に色々思うところはあるものの理解して飲み込んだ上で友達になっていたのが起因する
まあそもそも本編に沿うならセツナはもういないし色々本当に違っている