夜海家長男はフラグをへし折り続ける 作:吉田正鷹
という訳で次回以降の更新は最終回後になります
「これより現地に置ける侵略種、魔人化薬犯罪及び誘拐の容疑で強制捜査を執行する!調査員には護衛としてアリシア、リニスを着けるが油断なきよう!」
「はっ!」
「任せてコーイチ!」
「完璧に遂行してみせます」
「うむ!頼んだぞ!」
強制捜査の執行――ラボの場所を特定した後、古寺……こっちでは夜海姓だったな、夜海ユズの能力でゲートを繋げ調査員及び戦闘員を総動しラボへ乗り込む。
恐らくアニメでも似たようなシーンがあったのだろうがそれに関しては観測出来ていなかったので終ぞ知る事はないだろうが。
さて話を戻すがこちらは……篠宮と蔵木が作り出したのであろう人型の侵略種と対峙している、良くもまぁこれ程用意したものだ。
「はーい動かないでくださいねー!!聞いての通り危険不正侵略種隠蔽、不正利用、あと誘拐の疑いで強制捜査入りまーす!!」
この勧告を篠宮蔵木のラスボスコンビがどう受け取るか。
堅実且つ最も生存確率の高い行為は逃走だ、ラボと証拠品を残すから罪状が確定するもののリリカルなのは世界のラスボスを務めるのであればしばらく逃げおおせられる可能性は高いだろう。正直これを選択されると厄介この上ない。
もう1つが『迎え撃ち皆殺しにする』。ラボや証拠品を守る為に篠宮が迎撃をする事だ、生きるという事に重点をおいた合理性を選択するのであれば前者だが……篠宮と蔵木は10年以上この世界を牛耳ってきている、権力でも物理的な実力でも。
それを考えるのであれば――
『ラボの全職員に通達!侵入者は全員ブッコロでオッケー!施設と資産を守ってね!』
「了解しました」
やはりそう来るか、迎撃を選択した篠宮が部下である人型侵略種に指示すると見る見るうちに姿がおぞましいものへと変貌を遂げる、人間時の見た目だけであれば俺様の好みであったのだが……所詮は心を持たぬ侵略種風情、だとすれば斬り伏せるまで。
「――人型の怪物」
「人型侵略種、と言ったところであろうか」
「そうだね、その例えでも良いかもしれない」
「ならば話は早い、斬り伏せるまで!征くぞ!」
「敵対行動を確認」
「捜査妨害……してんじゃねえーー!!行くよセツナ!」
『おっけーしーちゃん!』
「……テンマを助ける」
「……俺様から離れるでないぞ、魔人狩りの諸君」
「分かってる、チーム行動は大切だから」
「にーやんの教えだもんね!」
「そのテンマが独断行動してなければ立派だったのですが」
「ほんと呆れるよ」
「フハハ!俺様もそれには同感だ!呆れて物も言えぬ!説教タイムとやらには俺様も参加させてもらおうぞ!」
「いいよ。キミなら信じられる」
「にーやんの友達だっけ?いちおー、にーやんが信じたアンタを信じてあげる!頼んだからね!」
「承知した!」
殲滅はいとも簡単に終わらせる事に成功した。そもそもとして俺様達があのような雑多な敵に苦戦する実力ではないがな。そんな事はどうでも良い、一刻も早くテンマを見つけ出せねばならない、それ以上の事は何も無い。
さて、それはさておき俺が最後に見た『リリカルなのは』の情報が確かなら篠宮マナは蔵木エイジに対して結構な情を抱いている、親友レベルの情念だ。このラボも蔵木が提供したものに違いない、捨てないと決めたのなら最後まで抵抗してくるだろう事は易く分かる。
「篠宮と接敵した場合、俺様が最前線に立って迎撃を行う」
「それはさすがに無いわー、いくらテンマの友達ったってアタシら4人が束になった時よりアンタが強いってのは信用出来ないわ」
「……ふむ、確かにまだ会って間もないのであれば疑われるのも無理は無い。ではこれはどうだろうか。最初は俺様が先陣を切る、様子を見て苦戦しているようであれば加勢してもらう。これであれば問題無いだろう?こう見えて俺様はテンマと戦って引き分けた事もあるのでな」
「それなら、うん。一度見極めさせてもらうね」
「テンマは強いよ〜!それこそあたしよりね!」
『そうだね、最初見た時はびっくりしちゃった』
「仕方ないなぁ。トワちゃんがそこまで言うなら信じてあげる、トワちゃんの言葉だから信じるんだからね?」
「死んだら承知しないわよ!」
「うむ!承知した!その約束必ず守ろう!」
まあ信用されないのはほぼ初対面なのだから当たり前だ、しかし篠宮マナ如きにそう易々と遅れを取る俺様ではない。油断は勿論しないがこちとらフェイト、ヴォルケンリッター、リインフォース、キリエ、イリス、マクスウェル等という世界を股に掛けて大暴れしてた連中からシリーズのラスボスを務めたキャラまで相手にしてここまで来たのだ簡単にやられていては管理局最上位魔導師の名折れだ。
原種0号は……なのはが担当することになったが簡単に倒してしまうだろうな、あの子はこの世界にはオーバースペックが過ぎる。
「結城君、シイナ、私達もバラバラに行動した方が良いと思う」
「ふむ、確かにそうだな。しかし全員が個々に行動をするのはリスクがあるだろう。俺様の組とシイナの組に分かれよう」
「じゃあ私がシイナと一緒に行く。みんなは結城君と」
「分かった、トワちゃん」
「見つけたら見つけた方が連絡、という事ですね」
「そゆこと!それじゃ、テンマを絶対見つけよう!」
『待っててね、おにーちゃん!』
二手に別れた俺様達はトワを除いた魔人狩りと共に行動だ。
「ここは立ち入り禁止です」
「捜査妨害及び敵対行動!投降の意志無し!殲滅する!」
「露払いは私達にお任せを。シイナさんが信用するあなたの実力を見込んで温存させた方が良いと判断したので」
「ちょっとはアタシ達にも良いとこ譲ってよ、ね!」
「ま、本番も危なくなったらアタシらが助けてあげるし」
相変わらず妨害してくる篠宮の人型侵略種を魔人狩りが颯爽と殲滅してくれる、ここでの戦闘は微々たる消耗だが消耗には変わりない。それを0で篠宮の元まで行けるのであればそれに越した事は無い、それにこんな雑兵相手であるなら魔人狩りが遅れを取る事は万に一つも可能性はなかろうて。
……待っていろ、テンマ。
『親友』として、必ず取り返して説教をしてやるからな、フハハ!!
――目が覚める、どうやら俺はまだ死んでないらしい。
「あ、起きたー?エイジくん、この子起きたよー」
『ああ、分かった。お前が夜海テンマか』
「蔵木エイジィ……!!」
しかし起きて早々何故か俺は篠宮によって蔵木と対面させられている、やはりナメられているらしい。
『まあ待て、質問に答えるなら生かしてやっても良い』
「あ?俺が今更命乞いするとでも思ってんのか?ナメてんじゃねえぞ!!」
更に言えばどうやら無様に命乞いでもすると思われているらしい、心底気分が悪い。そんな生半可な覚悟で俺はてめぇらぶち殺しに来てねえんだっつーの、寧ろまだ生かされてるのが屈辱的で堪らねえくらいだってのに……どっちも余裕そうな顔しやがって。
「えー?この子食べちゃダメー?」
『出来る事ならな。俺の予想を超える行動を取れるその頭の回転は寧ろ俺の部下にした方が後々のお前の為にもなる』
「うーん……まあトワちゃん食べられるならいっか」
「誰がお前なんかの部下になってやるか!!」
『夜海テンマ、お前はこの世界が理不尽だと思わないか?』
「理不尽?ああそうだな、この世は狂ってるくらい理不尽だ」
心底ドクズではあるが蔵木の言葉にも一理ある、間違いなくこの世は理不尽だからだ。
「頑張って生きている人間が、何の罪も無い人間が死んでいく。お前ら身勝手な奴らのせいでな」
『俺もこんな理不尽な世界に使い潰されて死にかけた。だから問いたい、全てを忘れてみないか?』
「なに?」
『俺の手元には、今までの記憶全てを忘れられる程存在を変質させられる……魔人化薬とは別の、夜海テンマお前だけに用意した薬がある。これを一度使えばマナの部下のようなバケモノになる代わりに力は今よりも桁違いの強さになり0から生き直す事が出来る、この世界の苦しみからも解放される』
「はっ、そんなのに乗ると思ったかよ」
だが、だからと言って口車に乗せられるようなタマじゃない。
何が全てを忘れ去って生き直すだ、俺は自分の罪を生涯忘れずに死んで地獄に落ちるから意味があると思っているんだそれが叶わないのであればその生に何の意味も生じない。
『……ま、乗って来たら失望していたところではあったな』
「んで、どーすんの?」
『もっと欲しくなった、だからこの薬を今から部下に届けさせる。それまでにもう一度縛り付けておいてくれ』
「はーい」
……オイオイ、死ぬと思ったら今度は死ぬより地獄を味わわされるってか?俺の最期が醜いものになるのは大歓迎だが、罪を忘れるなんてそんなバカげた事許すはずねえだろうが。
「じゃあ、エイジくんとアタシの未来の為に大人しくしててねー」
「する訳ねえだろカス!今度こそぶっ殺してやる!」
こっちの毒もそろそろ効いてくるはずだしな。
今度こそ反撃してやるよ。